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核
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たね
ふりがな文庫
“
核
(
たね
)” の例文
向ふの膝のすべてが——それをつくつてゐる筋肉と関節とが、
九年母
(
くねんぼ
)
の実と
核
(
たね
)
とを舌の先にさぐるやうに、一つ一つ私には感じられた。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
良寛さんは、
行
(
ぎやう
)
を修めるごとに、むきになつてゐた。真理といふものが、
何処
(
どこ
)
かにあるに相違ない、ちやうど、桃の中には
核
(
たね
)
があるやうに。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
するとね、くいほじった柿の
核
(
たね
)
を、ぴょいぴょいと桟敷中へ吐散らして、あはは、あはは、と面相の崩れるばかり、大口を開いて笑ったっけ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
炉ばたでは山家らしい
胡桃
(
くるみ
)
を割る音がしていた。おふきは二人の下女を相手に、堅い胡桃の
核
(
たね
)
を割って、
御幣餅
(
ごへいもち
)
のしたくに取りかかっていた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と声を立てた連中も、両手で輪切りの大きなのを一ツずつ
抱
(
かか
)
えこんで、盛んにそこらを
核
(
たね
)
だらけにしているところです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
核
(
たね
)
までがり/\
噛
(
かぢ
)
つちやつたな、
奇態
(
きたい
)
だよそんだが
桃
(
もゝ
)
噛
(
かぢ
)
つてつと
鼻
(
はな
)
ん
中
(
なか
)
さ
埃
(
ほこり
)
へえんねえかんな、
俺
(
お
)
れが
齒
(
は
)
ぢや
誰
(
た
)
れでも
魂消
(
たまげ
)
んだから
眞鍮
(
しんちう
)
の
煙管
(
きせる
)
なんざ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
以前この家に住んでいた人が、青梅や枇杷の実を食べて何心なくその
核
(
たね
)
を台処の窓から外へ捨てたものであろう。
枇杷の花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三四郎は柿の
核
(
たね
)
を吐き出しながら、この男の顔を見ていて、情けなくなった。今の自分と、この男と比較してみると、まるで人種が違うような気がする。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それは良い思ひつきぢやが、しかし和尚はもう随分な
齢
(
とし
)
ぢやないか、今から柿の
核
(
たね
)
を植ゑたところで……」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
純一は先生に返杯をして、支那の芝居の話やら、
西瓜
(
すいか
)
の
核
(
たね
)
をお茶受けに出す話やらを跡に聞き流して、自分の席に帰った。両隣共依然として空席になっている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして同じく紫蘇で美しく色づけられてゐる。これが何處に行つても必ず毎朝のお茶に添へて
炬燵
(
こたつ
)
の上に置かるゝ。中の
核
(
たね
)
を拔いて刻んで出す家もあり、粒のまゝの家もある。
樹木とその葉:02 草鞋の話旅の話
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「わしが食わないのは、佳い梨だから、この
核
(
たね
)
をとって種にしたいと思ってたからだよ」
種梨
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「うん、あったぞ。これなら
甘
(
うま
)
いだろう。」と、蟹は、その大きな
鋏
(
はさみ
)
を伸べて、チョキンと切って落しますと、椰子の実はストンと下へ落ち、肉が破けて、
核
(
たね
)
があらわれました。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
警官はピストルのサックを脱して騒ぐ群衆の中へ潜入した。すると、
核
(
たね
)
をくり抜くように中からロシアの共産党員が引き出された。辻々の街路に立って排外演説をする者が続出した。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ちぎっては口に入れ、その
核
(
たね
)
をペッと吐きペッと吐きしている。……間
好日
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
すべての空想のあたらしい
核
(
たね
)
をもとめようとして
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
竜眼肉の
核
(
たね
)
めいたつぶら
眼
(
まなこ
)
をむき出だし、今
深夜の道士
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
椰子の實の日にやけた
核
(
たね
)
を噛みくだいた。
青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
噛みすてた青くさい
核
(
たね
)
を放るやうに
萱草に寄す
(新字旧仮名)
/
立原道造
(著)
われは此評の殼を
噛碎
(
かみくだ
)
きて、其肉の甘さと其
核
(
たね
)
の苦さとを味ふ。人間派なきは大詩人なきなり、妙手なきなり。舊作家の固有派に屬するは、其凡手なるためなり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
胡桃のように堅い
核
(
たね
)
が、柔かな肉の中にあります。それを割ると中からソーダ水のような甘酸っぱい水と、豚の
脂
(
あぶら
)
のかたまったようなコプラというものが出て来ます。土人はそれを喰べます。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
が、ただ先哲、孫呉空は、
蟭螟虫
(
ごまむし
)
と変じて、夫人の腹中に飛び込んで、痛快にその
臓腑
(
ぞうふ
)
を
抉
(
えぐ
)
るのである。末法の凡俳は、
咽喉
(
のど
)
までも行かない、唇に触れたら
酸漿
(
ほおずき
)
の
核
(
たね
)
ともならず、
溶
(
とろ
)
けちまおう。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三四郎は
柿
(
かき
)
の
核
(
たね
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
しながら、
此
(
この
)
男の
顔
(
かほ
)
を見てゐて、
情
(
なさけ
)
なくなつた。今の自分と、此男と比較して見ると、丸で
人種
(
じんしゆ
)
が
違
(
ちが
)
ふ様な気がする。此男の言葉のうちには、もう一遍学生生活がして見たい。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そんなに柿の
核
(
たね
)
を
蔵
(
しま
)
ひ込んで置いて、
何
(
ど
)
うする積りぢやな。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
かなしきすももの
核
(
たね
)
を噛まむとするぞ。
純情小曲集:02 純情小曲集
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
コトコトと
嘴
(
はし
)
を鳴らし、
短夜
(
みじかよ
)
の明けた広縁には、ぞろぞろ
夥
(
おびただ
)
しい、
褐
(
かば
)
色の黒いのと、松虫鈴虫のようなのが、うようよして、ざっと障子へ
駆上
(
かけあが
)
って消えましたが、西瓜の
核
(
たね
)
が
化
(
な
)
ったんですって。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
天海はお
伽噺
(
とぎばなし
)
の蟹のやうに叮嚀に柿の
核
(
たね
)
を
懐中
(
ふところ
)
にしまひ込んだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
丸官はんに、柿の
核
(
たね
)
吹かけられたり、口車に綱つけて廊下を
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
核
常用漢字
中学
部首:⽊
10画
“核”を含む語句
核子
結核
核心
肺結核
腎臓結核
中核
瓜核顔
水素核
結核性
粟粒結核
瓜核
腸結核
肴核
真核
結核菌
脊髄結核
結核症
草乎苅核
陽核子
結核患者
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