村中むらぢう)” の例文
ハイ、御覽ごらんとほり、むらではおほきな建物たてものです。しかしこのおてら村中むらぢう人達ひとたちめにあるのです。わたしはこゝに御奉公ごほうこうしてるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
以て當寺の檀家だんか一同へ御目見を仰付らるべし此旨村中むらぢうへ申達すべしとの事なり下男共げなんども何事も知らざれば是を聞てきもつぶし此頃迄臺所だいどころで一つに食事しよくじ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
葬式さうしきつぎまた近所きんじよひとた。勘次かんじりた羽織はおりはかま村中むらぢう義理ぎりまはつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一歩いちぶに、のかはをかれたために、最惜いとしや、おあき繼母まゝはゝには手酷てひど折檻せつかんける、垣根かきねそとしたで、晝中ひるなかおびいたわ、と村中むらぢう是沙汰これざたは、わかをんな堪忍たへしのばれるはぢではない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おくりける時に寶田村の上臺憑司親子四人の者は傳吉が村中むらぢうに居ざるを喜悦よろこびおごり増長して傳吉が人に預けし田地を書入にして金をこしらへ其上村の持山もちやま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
正月しやうぐわつのおかざりを片付かたづける時分じぶんには、村中むらぢう門松かどまつ注連繩しめなはなどをむらのはづれへつてつて、一しよにしてきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
和尚をしやうさん、和尚をしやうさん、こちらは大層たいそういお住居すまゐですね。このむら澤山たくさんうちがありましても、こちらにかなふところはありません。村中むらぢうだい一の建物たてものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まちしに此度は是迄とはかはおよそ百五十人餘りの大勢にて名主甚兵衞方へ着しすぐ村中むらぢうへ觸をいだして十五歳以上の男子なんし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)