きらめ)” の例文
かく言いつつ他の一個ひとりはその庖丁を白糸の前にひらめかせば、四ちょうの出刃もいっせいにきらめきて、女のを脅かせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
る/\うち長蛇ちやうだ船列せんれつ横形わうけいれつへんじて、七せき海賊船かいぞくせん甲板かんぱんには月光げつくわう反射はんしやして、劍戟けんげききらめくさへゆ、本艦ほんかん士官しくわん水兵すいへい一時いちじ憤激ふんげきまゆげた
彼のふところを出でたるは蝋塗ろぬりきらめ一口いつこうの短刀なり。貫一はその殺気にうたれて一指をも得動かさず、むなしまなこかがやかして満枝のおもてにらみたり。宮ははや気死せるか、推伏おしふせられたるままに声も無し。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
取に左仲は最早もはや生懸命しやうけんめいこしの一たうき放しきつて懸ればソリヤぬいたぞと兩方より手に/\きらめ山刀やまがたなうけつ流しつ切結きりむすぶ左仲は茲ぞ死物狂ひと働け共二人の賊は事ともせず斬立々々きりたて/\切捲きりまくれば終に左仲は斬立られかなはじとにげ行を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不思議と左を見詰めると、この飾もまた、光を放って、かいなを開くと胸がまたきらめきはじめた。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
海賊船かいぞくせん此時このとき砲戰ほうせんもどかしとやおもひけん、なかにも目立めだ三隻さんせき四隻しせき一度いちど船首せんしゆそろへて、疾風しつぷう迅雷じんらい突喚とつくわんきたる、劍戟けんげきひかりきらめその甲板かんぱんには、衝突しやうとつとも本艦ほんかん乘移のりうつらんず海賊かいぞくども身構みがまへ
粲然ぱつとしたる紋御召のあはせ黒樗文絹くろちよろけん全帯まるおび華麗はなやかべにの入りたる友禅の帯揚おびあげして、びんおくれのかか耳際みみぎは掻上かきあぐる左の手首には、早蕨さわらび二筋ふたすぢ寄せてちようの宿れるかたしたる例の腕環のさはやかきらめわたりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
渠は胸中の劇熱を消さんがために、この万斛ばんこくの水をば飲み尽くさんと覚悟せるなり。渠はすでに前後を忘じて、一心死を急ぎつつ、蹌踉よろよろみぎわに寄れば、足下あしもとに物ありてきらめきぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
沢庵たくあんを洗い立てたるように色揚げしたる編片アンペラの古帽子の下より、やっこ猿眼さるまなこきらめかして
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)