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粲然
最後に
護身刀を引抜て真一文字に
掻切たる時に、
一朶の白気閃めき出で、空に舞ひ上りたる八珠「
粲然として
光明をはな」
真に是れ無縫天上の錦衣。古は先生の胸中に
輳つて
藍玉愈
温潤に、新は先生の筆下より発して
蚌珠益
粲然たり。
粲然としたる紋御召の
袷に
黒樗文絹の
全帯、
華麗に
紅の入りたる友禅の
帯揚して、
鬢の
後れの
被る
耳際を
掻上ぐる左の手首には、
早蕨を
二筋寄せて
蝶の宿れる
形したる例の腕環の
爽に
晃き
遍りぬ。