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晃々
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こうこう
ふりがな文庫
“
晃々
(
こうこう
)” の例文
今彼が新九郎の
機微
(
きび
)
から見出したものは、実に薄衣に包んだ名刀が、
晃々
(
こうこう
)
たる光りをうちに隠して現われないような彼の天才である。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身を沈めて飛び来る石瓦をかわしながら、後ろを振返ってムクに合図をすると、竿の頭から五色の網を払いのける、
明
(
めい
)
晃々
(
こうこう
)
たる淡路流の短い穂先。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
前
(
せん
)
の向島の大連の時で、その経験がありますから、今夜は
一番
(
ひとつ
)
、
明
(
あかり
)
晃々
(
こうこう
)
とさして、どうせ
顕
(
あらわ
)
れるものなら
真昼間
(
まっぴるま
)
おいでなさい、明白で
可
(
い
)
い、と皆さんとも申合せていましたっけ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昼のように明るい冬の月が
晃々
(
こうこう
)
と高くかかって、
碧落
(
へきらく
)
千里の果てまでも見渡されるかと思われる大空の西の方から、一つの黒い影がだんだんに近づいてきた。それは鳥である。鷲である。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
晃々
(
こうこう
)
としてさし昇る日輪の強い光に、ぼい消されて、空が
赫
(
かっ
)
とする、もう仰いでいると、眼のまわりが、ぼやけてしまって、空だか山だか、白金のように混沌として分らない、霞沢岳や八右衛門岳は
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
すでに
霜
(
しも
)
と
植
(
う
)
えられた
龍牙
(
りゅうが
)
の
短刀
(
たんとう
)
、もしくはながき
秋水
(
しゅうすい
)
、
晃々
(
こうこう
)
たる
剣陣
(
けんじん
)
を作って、すばやくふたりの
逃
(
に
)
げ道をかこんでしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紺地に
金泥
(
こんでい
)
のごとく、尊い処へ、も一つの
室
(
へや
)
には名も知れない器械が、
浄玻璃
(
じょうはり
)
の鏡のように、まるで何です、人間の骨髄を
透
(
とお
)
して、臓腑を射照らすかと思う、
晃々
(
こうこう
)
たる光を放つ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
右往左往して騒ぐうちに、間もなくそこは、
晃々
(
こうこう
)
とした灯の明りに、物の蔭もなくなって、仰むけに寝かされた重喜の顔だけが青白かった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
茫
(
ぼう
)
と天井から
一幅
(
ひとはば
)
落ちたが、
四辺
(
あたり
)
が暗くて、その何にも分らぬ……両方の棚に、ひしひしと並べた明
晃々
(
こうこう
)
たる器械のありとも見えず、
寂
(
しん
)
となって隠れた処は、雪に埋もれた関らしく
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、こはいかに、そこには燈火の光が白日の如く
晃々
(
こうこう
)
と
耀
(
かがや
)
いてはいたが、人はみな酔い伏しているだけで、一人として起って振り向く者もいない。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
月は
晃々
(
こうこう
)
と露もある、停車場のたたきを
歩行
(
ある
)
くのが、人におくれて我一人……
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孫権は群臣と共に、階を隔てて
傲然
(
ごうぜん
)
と待ちかまえる。千余人の武士は、階下から宮門にいたるまで、
戟
(
げき
)
、
戈
(
ほこ
)
、鎗、
斧
(
おの
)
などを
晃々
(
こうこう
)
と連ねて並列していた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
対合
(
むかいあ
)
った
居附
(
いつき
)
の店の電燈
瓦斯
(
がす
)
の
晃々
(
こうこう
)
とした中に、小僧の
形
(
かげ
)
や、帳場の主人、火鉢の前の
女房
(
かみさん
)
などが、絵草子の裏、
硝子
(
がらす
)
の中、中でも
鮮麗
(
あざやか
)
なのは、軒に飾った
紅入友染
(
べにいりゆうぜん
)
の影に、くっきりと
顕
(
あらわ
)
れる。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかもその頃になると、空はふたたび晴れて、
晃々
(
こうこう
)
たる月天に返り、一時の黒雲は夢かのように考えられた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
月
晃々
(
こうこう
)
たる霜の夜も、
雨
(
あめ
)
蕭々
(
しょうしょう
)
たる夏の朝も、行者の必死な練磨は間断なくつづいた。時には鳥獣を
対手
(
あいて
)
に技を試み、ある時は飛魚を狙って術の
会得
(
えとく
)
をあせる様子。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
評定
(
ひょうじょう
)
の
間
(
ま
)
のあかりは、
晃々
(
こうこう
)
と照って、席には一族の
権六勝敏
(
ごんろくかつとし
)
、おなじく
勝豊
(
かつとよ
)
、
徳山則秀
(
とくやまのりひで
)
、
不破光治
(
ふわみつはる
)
、小島
若狭守
(
わかさのかみ
)
、
毛受勝介
(
めんじゅかつすけ
)
、
佐久間玄蕃允
(
さくまげんばのじょう
)
など、
万夫不当
(
ばんぷふとう
)
の北国衆が
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鞘
(
さや
)
を払ってみたところが、研げていないどころではない——
晃々
(
こうこう
)
と百年の冴えを
革
(
あらた
)
めて、
淵
(
ふち
)
の水かとも、深くて蒼黒い
鉄肌
(
かねはだ
)
から——
燦
(
さん
)
として白い光が
刎
(
は
)
ね返したのである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこの部屋からも、明り一つささないが、家の中央の広間からは、
晃々
(
こうこう
)
と灯影が洩れていた。そればかりでなく、一種異様な人間臭さがむうと、そこから
温
(
ぬる
)
くながれてくる。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弦之丞の
烈刀
(
れっとう
)
にあたって血みどろになったものが、少なくも八、九名はのた打っている筈だが、残余の氷刃が一ヵ所に
晃々
(
こうこう
)
と
集立
(
しゅうりつ
)
すると、いっこう人数が減ったとはみえない。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その挙止は
縹渺
(
ひょうびょう
)
、その眸は
晃々
(
こうこう
)
、雲をしのぐ山とも見え、山にかくされた月とも思われる。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
向うを見ると、雪の間、
青嵐
(
せいらん
)
の
間
(
ま
)
、
秋錦
(
しゅうきん
)
の間、小さな燭が
晃々
(
こうこう
)
とかがやいて、今しも、酒宴の終ったところか、鉤の
手
(
て
)
の廻廊を退がって来る侍の影が点々とお錠口へ流れてくる。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
晃々
(
こうこう
)
たる宝刀の
刃
(
やいば
)
に向って、
掌
(
て
)
の髪の毛を、ふッと静かな息で吹き起すと
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晃々
(
こうこう
)
と、
燭
(
あか
)
りと家臣をそこに集めて、すぐ翌日の
手筈
(
てはず
)
や協議であった。家臣たちの顔もみな硬ばっている。誰も、深夜の内匠頭の青白い顔や、食事の量にまでは、気がつかないであろう。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晃々
(
こうこう
)
たる菊の
間
(
ま
)
の燭へ正面を切ッて、
臆
(
おく
)
する色もなく重喜の
面
(
おもて
)
を見上げた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
破
(
わ
)
れ
鐘
(
がね
)
ごえでこう叫んだのを見ると、雲つくような大男が三人、大小
打
(
ぶ
)
ッこみ、侍すがた、へべれけに
酔
(
よ
)
って
熟柿
(
じゅくし
)
のような
息
(
いき
)
をはき、
晃々
(
こうこう
)
たる大刀をぬきはらい、花や
女子
(
おなご
)
の踊りにまじって
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晃々
(
こうこう
)
、文醜の大剣。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晃
漢検準1級
部首:⽇
10画
々
3画
“晃”で始まる語句
晃
晃然
晃乎
晃刀
晃耀
晃山
晃峰