接吻キッス)” の例文
そうして妾は力一ぱい貴方を抱いて、つづけさまに二十ぺんも接吻キッスしてあげるわよ、貴方が息ができなくて、苦しくなってくるまで
華やかな罪過 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
彼はきっと、それは太陽サン接吻キッスされたという意味だと主張した。カリフォルニヤはいつも明るい空の下に、果物がいっぱい実っている。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
私は中に立つて、其の夫人と、先生とに接吻キッスをさせるために生れました。して、遙々はるばる東印度ひがしインドから渡つて来たのに……口惜くやしいわね。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
空には白い綿のような雲が低く、花の村を接吻キッスするように穏やかに通った。私は、この時、小鳥を庭に持って来て、花の見える所に置いた。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
廷臣ていしんひざはしれば平身低頭へいしんていとうゆめとなり、代言人だいげんにんゆびはしればたちま謝金しゃきんゆめとなり、美人びじんくちびるはしればたちま接吻キッスゆめとなる。
そこに、奇矯を絶したファウスト博士の懺悔ざんげ文が現われてくるのだ。勿論伸子は、それ以前に或る物体を、『接吻キッス』の像の胴体に隠匿いんとくしておいた……
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
此間も帰りがけに私を捉えて失礼な接吻キッスをしようとしたり……那麽奴に接吻される位なら、私は伊勢えびに接吻して貰う方がいい。同じ人間で斯うも違うものか知ら。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「一度でもいいから、もし彼女の片足にでも接吻キッスすることが出来たら、僕は満足するのだが……」
育ててゆくのは、このベアトリーチェの役目なのです。それですから、あなたの接吻キッスと……それから私の命のそのかんばしい呼吸いきとを、わたしに下さらなければならないのですよ
彼は、そう決心すると、ソファに倒れているリザベッタのそばに近づいて、その冷たい額に軽い名残りの接吻キッスを与えた。彼女は、今明らかにダシコフ大尉のものではなかった。
勲章を貰う話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
うれしそうに少年は、両手を廻して未亡人のくびを抱いた。そして頬に接吻キッスをする……。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
その接吻キッスにはにがい涙があり、その逸楽には苦痛がまじるので、この若い二人は、自分たちはたしかに人生に従順なる奴隷であり、沈黙と虚無の忍耐強い召使いであると思うようになった。
「おばちゃんに、接吻キッスをして頂戴よ。ねえ! 接吻をして頂戴よう。」
接吻を盗む女の話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
左様して数多度熱い接吻キッスをして、後生大事と宝を抱えながら帰った。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
「だけど、たった一度私はあの男に接吻キッスを許したわ、あの晩」
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
今のような甘ったるさでは接吻キッスぐらいでは済まされそうも無いが……それにしても女のあの腕の力は何んと魂消たまげたものでは無いか! あの力でグイと抱き締められたとしたら? おお青年は壊れるかも知れない。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「最後に、たった一度だけ、あたしに接吻キッスして下さい」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「例の接吻キッスの話ですか」と自分は聞き返した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そっと接吻キッスをした時の姿であったのです。
そっと、与えた、投げ接吻キッス
大阪を歩く (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「話に聞いた人面瘡じんめんそう——そのかさの顔が窈窕ようちょうとしているので、接吻キッスを……何です、その花の唇を吸おうとした馬鹿ものがあったとお思いなさい。」
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私はそれを枕の下においてみたり、懐に抱きしめてみたり、まるで生きた恋人にするように接吻キッスしてみたりして、長い長い一日々々を送っていたのでした。
悪魔の聖壇 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
ああ、たしか広間サロン煖炉棚マントルピースの上に、ロダンの『接吻キッス』の模像が置いてあったじゃないか。サア、これから黒死館に行こう。僕は自分の手で、最後の幕の緞帳どんちょうを下すんだ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
パリス おゝ、かりそめにも勤行ごんぎゃうのおさまたげをしてはならぬ!……ヂュリエットどの、木曜日もくえうびにはあさはやうおむかへきませうぜ。それまでは、おさらば。このきよ接吻キッス保有しまっておいてくだされ。
発動機エンジンを買う許しを得に来て、お母様有難う有難うと頸を抱いて接吻キッスして行ったと主張している母夫人や、当主公爵夫妻、その他の召使たちの証言は、一体これを、何と解釈したらいいであろうか?
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
接吻キッスをして頂戴よ。ねえ! 接吻をして頂戴よう。」
接吻を盗む女の話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
接吻キッスばかりは見合わせよう——こう思ったからである。
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ひざまずいて、夫の足に接吻キッスをする位なものよ。誰がさせるの、早瀬さん。——貴下の意地ひとつじゃありませんか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こう言ったかと思うと妾は、いきなりあの人の手を口のとこまでもってきて接吻キッスしました。あの人は無感覚な顔をして、だまって妾のするままにさせていました。
華やかな罪過 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
それは無言の現実だった。ロダンの「接吻キッス」の胴体から取り出したものを、法水が衣袋ポケットから抜き出した時、思わず二人の眼がその一点に釘付けされてしまった——乾板。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
殊にその一人の、エーディトという女中は、若様が大奥様のお頸に両手を廻して接吻キッスしていらっしゃるところを見たと、ハッキリ証言している。これは事件の大きな決め手ともなるべきことであった。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
接吻キッスをして頂戴よ。ねえ! 接吻をして頂戴よう。」
接吻を盗む女の話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
そのお嬢さんの接吻キッスなるものが。
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ええ憎らしいその咽喉のどへ喰附いてやりたいねえ。「へ、へ、唇へ喰附いて、接吻キッスならば希望のぞみだが、咽喉へは真平御免こうむる。どれ手を下ろして料理りょうろうか。と立懸たちかかられて、 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すると、あの人は突然、妾の首にとびついて、左の耳のあたりに滅茶めちゃ々々に接吻キッスしたかと思うと
華やかな罪過 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
お孝は胸にいだいて仰向けに接吻キッスしていた、自分のよりは色のまだ濡々とくれないな、お千世の唇を放して
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(後で洗いますよ。)とまろげて落した。手巾ハンケチは草の中。何の、後で洗うまでには、蛇が来て抱くか、山𤢖やまおとこ接吻キッスをしよう、とそこいらをみまわしましたが、おっかなびっくり。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時は、ああして抱いて、もとは自分から起った事と、はだくもり接吻キッスをする。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此の御本ごほんの先生を、う其は……贔屓ひいきな夫人があつて、其のかたが私を飼つて、口移くちうつしにを飼つたんです。私は接吻キッスをする鳥でせう。してね、先生のとこへ贈りものになつて、私は行つたんです。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひやひやと罎の口で接吻キッスをさせた。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)