こせ)” の例文
「なんとどうでございます。声が悪くって節は附かぬが、新聞種には面白いよ。大方こんな事だろうと、昨夜ゆうべうちこせえておいた。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何をあわててるんだ。格子で鼻面を打ったり、弥蔵やぞうこせえたまま人の家へ飛込んだり、第一、突っ立ったまま話をする奴があるかい」
違えねえぜ。君がちょいと探検にでも行ってみてえと思ったら、ちょっとジョンじいに言って来いよ。持ってく弁当をこせえてやるからな。
「どうれ、けえつて牛蒡ごぼうでもこせえべえ、明日あした天秤棒てんびんぼうかついで支障さはりにならあ」剽輕へうきん相手あひておもしたやうにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
恒「何様な仔細があるかア知らねえが、とっさんのこせえた棚をたゝき毀して縁切の書付を出すとア、話にならねえ始末だ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おど! 駄目だ、おど。足さ合わせてこせえだのだがら、おど足さなど這入へいんねえがら……」
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「おめへは何だ? 何処のもんだ? 此様こんな帽子を誰にこせへて貰つた?」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
「働きもん亭主ていしに持ッて、洋服なとなんなとこせえて貰うのサ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「だが松下もめきめきと身上こせえたなあ!」
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
出すと、瀬戸物でこせえたやうな眼で、ヂツと宙をにらみ乍ら、——矢之助、矢之助——と二度ばかり旦那樣の名前を言つたやうだが
おいら一人も友達はこせえねえんだ、総曲輪でお前に、滝やッて言われた時にゃあ、どんなに喜んだと思うんだ、よく見てめてくんねえな。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうしたせてんのか、そんだられかんぜんよりこせえてやつかれえ」ぢいさんがさらにいつたとき返辭へんじがなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
長「へい、あれは、ヘイわっちこせえたので、仕事のすき剰木あまりっきで拵えたのですから思うように出来ていません」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ここにいる船員は他の船員と同じに自分たちの権利があるんだ、遠慮のねえとこを言えばね。で、お前さんのこせえた規則で、己たちは一緒に話し合ってもいいだろうと己は思うんだ。
「二升も買ってう。どっさりこせえて……」
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「何をあわててるんだ。格子で鼻面を打つたり、彌造をこせえたまゝ人の家へ飛込んだり、第一、突つ立つたまゝ話をする奴があるかい」
それからうちの漬物はさっぱり気が無いの、土用ごしの沢庵、至って塩の辛きやつで黙らそうとはおしが強い。早速当座漬をこせえて醤油おしたじ亀甲万きっこうまんに改良することさ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「よきわれはおとつゝあがそばママんだぞ、えゝか、ねえこれからわれ衣物きものこせえんでおはりくんだかんな、かねえとひでえぞ」と與吉よきちいてくいひふくめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
長「早くは出来ません、良くこせえるのには木の十年もからした筋のいのを捜さなけれアいけませんから」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに、さっき戦争があったろう。でお前さんの仲間が勝ったんだと思うねえ。それでここへ上陸してあの古い柵の中にへえってるのさ。あの柵は何年も何年も前にフリントがこせえたものだ。
巣鴨はまるで戦場だ、親分、ちょいと行って、何とかしてやっておくんなさい。放っておくと、請合怪我人ぐらいはこせえるぜ
ただね、材木を組んでいかだこせえて流して来るのが、この下を抜ける時、どこでも勝手次第に長鍵ながかぎ打込ぶちこんで、突張つっぱって、くぐるくらいなもので、旦那が買置かっときなすった。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
由「草へ掴まって…あぶねえなア、早く桟橋をこせえたら宜さそうなものだ……すべりゃアしないかい」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
巣鴨はまるで戰場だ、親分、ちよいと行つて、何とかしてやつておくんなさい。放つて置くと、請合怪我人位はこせえるぜ
鉄蔵は落着払い、「妙なものをこせえさしてそれをば見世物に出そうというのよ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「六百でも一貫でも借りは借りだ。十手なんか突っ張らかして半端な借りをこせえると、町内の鼻ッつまみになるぞ」
日本も日本、江戸の眞ん中、神田向柳原で、洒落れた野郎が『息子番附』といふのをこせえましたよ。表向は『息子番附』だが、内々は『美男番附』の積りでね。
「五郎助の傷は、俺がこせえたものらしいぜ、四文錢を一枚、縱にその傷に當てゝ見ろ、八」
何んとかして下さいよ、親分。十九になる神樂坂小町、ビードロでこせへて、紅を
「そうだろうとも、よい年増が、こんな穴をこせえて隣を覗くわけはねえ」
「さうだらうとも、よい年増が、こんな穴をこせえて隣を覗くわけはねえ」
長崎で一と身上こせえた長崎屋七郎兵衞の一家が、あんまりボロい儲けをしたので、長崎を引揚げて、江戸へ來てから三年にもなるといふのに、元の商賣敵からひどい嫌がらせをされて居るんです。
長崎で一と身上こせえた長崎屋七郎兵衛の一家が、あんまりボロい儲けをしたので、長崎を引揚げて、江戸へ来てから三年にもなるというのに、元の商売がたきからひどい嫌がらせをされて居るんです。
男をこせへて身を持ち崩し、たうとう背負ひ商人あきんどのお神さんになつたが、ちよいと見てくれの良い中婆さんで、あの娘は市之助の本當の子ではなく、お神さんの連れで三年前に轉げ込んだといふ——
「ところが土地の者が承知しねえ。いかにも畑は黒木長者のものに相違ないが、地藏樣は昔から此處にあつたもので、誰がこせえたのか、誰が建立こんりふしたかわからない筈だ。いかに長者の威勢でも、神樣や佛樣が儘になるわけはねえと來た」
「ところが土地の者が承知しねえ。いかにも畑は黒木長者のものに相違ないが、地蔵様は昔からここにあったもので、誰がこせえたのか、誰が建立したかわからないはずだ。いかに長者の威勢でも、神様や仏様がままになるわけはねえと来た」