手渡てわた)” の例文
正吉しょうきちははおんなこじきをて、もちだとると、ぜわしいなかを、ふところからさいふをだして、かね手渡てわたしてやりました。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、相手方あいてがたより一足ひとあしでも早く、この試合場しあいじょうへ持ってきて、それを検証けんしょう床几しょうぎのおかたに手渡てわたしすりゃあ勝ちというわけなんでございましょう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ヂュリ おゝ、はやうて! そしてこの指輪ゆびわわし勳爵士ナイトどのに手渡てわたして、訣別いとまごひにござるやうつたへてたも。
うをかほした歩兵ほへい其腋そのわきしたからほとんど自分じぶん身長せいぐらゐもありさうなおほきな手紙てがみして、れをモ一人ひとり歩兵ほへい手渡てわたしながらおごそかな口調くてうで、※公爵夫人こうしやくふじんもと毬投まりなげのおもよほしあるに
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ひとにもせずおとさぬやう御覽ごらんれろと吾助ごすけひしは、よりもきに相違さうゐはなし、是非ぜひ人形にんぎやうたまはれとて手渡てわたしするに、何心なにごヽろなくらきていちぎやうよむとせしが、物言ものいはずたヽみて手文庫てぶんこをさめれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
千代紙ちよがみなら、うちのはたくさんもっていますよ。そんなものはいりません。」といってことわりました。けれどおじいさんは、無理むり千代紙ちよがみをおばあさんに手渡てわたしました。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
郵便ゆうびん。」といって、息子むすこからきた新聞しんぶん手渡てわたすとまた、せっせときたみちむらほうへもどっていくのでした。そのとしごろは、ちょうど良吉りょうきちおなじくらいの少年しょうねんでありました。
母の心 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なにか、外国がいこく文字もじいてありますが……。」といって、おじいさんに手渡てわたしました。
片田舎にあった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)