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ふりがな文庫
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(
たばさ
)” の例文
旧字:
手挾
すると
安政
(
あんせい
)
六年の秋、伝吉はふと平四郎の
倉井
(
くらい
)
村にいることを発見した。もっとも今度は昔のように両刀を
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(
たばさ
)
んでいたのではない。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こう云うと老師は立ち上がり不思議な機械を小脇に抱え、
襖
(
ふすま
)
をあけて廊下へ出た。そこで数馬も大小
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(
たばさ
)
み後につづいて廊下に出た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
蔵人はそう言いながら、今の手紙をお礼の眼から隠して自分の袖に押し込み、両刀を
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(
たばさ
)
んでもう一度、春の闇の中へ出ようとするのです。
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「フフフ。武士たる者が
松原稼
(
まつばらかせ
)
ぎをするとは何事か。両刀を
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(
たばさ
)
んでいるだけに、非人乞食よりも見苦しいぞ」
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
九郎右衛門は花色木綿の
単物
(
ひとえもの
)
に茶小倉の帯を締め、
紺麻絣
(
こんあさがすり
)
の野羽織を着て、両刀を
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(
たばさ
)
んだ。持物は
鳶色
(
とびいろ
)
ごろふくの懐中物、
鼠木綿
(
ねずみもめん
)
の鼻紙袋、十手
早縄
(
はやなわ
)
である。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
それのみか、曹操は、忘れたように、帝の
彫弓
(
ちょうきゅう
)
金鈚箭
(
きんひせん
)
を
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(
たばさ
)
んだまま、天子に返し奉ろうともしなかった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ほほ、ほほほほ、それではまるで
下司下人
(
げすげにん
)
の
相対死
(
あいたいし
)
に……いいえ、無理情死とやらではござりませぬか。両刀を
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(
たばさ
)
むものが、まあ、なんという見ぐるしいお心根——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
一生涯が間身を放たで持ちたりける、五人
張
(
ばり
)
にせき
弦
(
づる
)
懸けて
噛
(
く
)
ひ
湿
(
しめ
)
し、三年竹の
節近
(
ふしぢか
)
なるを、十五束
二伏
(
ふたつぶせ
)
に
拵
(
こしら
)
へて、
鏃
(
やじり
)
の
中子
(
なかご
)
を
筈本
(
はずもと
)
まで打ち通しにしたる矢、たゞ三筋を
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(
たばさ
)
みて
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
小宮山は
切歯
(
はがみ
)
をなして、我
赤樫
(
あかがし
)
を割って八角に削りなし、鉄の輪十六を
嵌
(
は
)
めたる棒を携え、
彦四郎定宗
(
ひこしろうさだむね
)
の刀を帯びず、三池の伝太
光世
(
みつよ
)
が
差添
(
さしぞえ
)
を
前半
(
まえはん
)
に
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(
たばさ
)
まずといえども、男子だ、しかも江戸ッ児だ
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十
(
とを
)
の指
諸
(
もろ
)
に
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(
たばさ
)
む手裏剣のつぎつぎ
疾
(
はや
)
しうつ手は見えず
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
大小を取って
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(
たばさ
)
みました。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
出てお出でよ、鶴次郎、——鶴公、——女一匹が怖いのかえ、二本
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(
たばさ
)
んだって、素姓は争われない、何をキョトキョトして居るんだよ、野狐野郎
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
地丸は衣裳を着代えると、小刀を
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(
たばさ
)
み大刀を提げ、手下二、三人を後ろに従え、中庭の方へ足を向けた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ただ、変らないのは、愛刀
物干竿
(
ものほしざお
)
だけで、これは太刀作りを、ふつうの拵えに直して横に
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(
たばさ
)
んでいた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
舟が舟番所の前まで來ると、太兵衞は槍を
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(
たばさ
)
んで、兼ねて
識合
(
しりあひ
)
の
番所頭
(
ばんしよがしら
)
菅右衞門八に面會を求めた。さて云ふには、在所へ用事
出來
(
しゆつたい
)
して
罷
(
まか
)
り下る、舟のお
改
(
あらため
)
を願ひたいと云ふのである。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ただちに乾坤二刀をひとつに
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(
たばさ
)
んで郷藩中村へ
逐電
(
ちくでん
)
しようと考えていた左膳の見こみに反して、坤竜栄三郎は思ったより強豪、そこへ泰軒という快侠の出現、いままた五人組の登場と
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その頃は両刀を
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(
たばさ
)
んだ笛の名手、踊りの達人が、大手を振って殿の恩寵を受け、それをまた、不思議とも思わぬほど世人の神経は麻痺しておりました。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と云うと衣裳を脱ぎ、下帯へ短刀を
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(
たばさ
)
むと、
屹
(
きっ
)
と水面を睨み詰めた。両手を頭上へ上げると見る間に、
辷
(
すべ
)
るがように飛び込んだ。水の音、水煙り、姿は底へ沈んで行く。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かつは一を知って十を知る
悧発
(
りはつ
)
であるばかりでなく、
四川弓
(
しせんきゅう
)
と呼ぶ
短弓
(
たんきゅう
)
を
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(
たばさ
)
み、わずか三本の矢を帯びて郊外に出れば、必ず百
禽
(
きん
)
の獲物を夕景にはさげて帰るというのでも
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おろおろする鹿の子を押し
退
(
の
)
けるように、余吾之介は両刀を
手挟
(
たばさ
)
むと、雪駄を爪先探りに、パッと飛びだします。
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
直垂
(
ひたたれ
)
の上に腹巻を着け
黄金作
(
こがねづく
)
りの小刀を
癇癪
(
かんしゃく
)
らしく
前方
(
まえ
)
へ
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(
たばさ
)
み、鉄扇を机に突き立てた様子は、怒れば
関羽
(
かんう
)
笑えば
恵比寿
(
えびす
)
、正に英雄
偉傑
(
いけつ
)
の姿を充分に備えているではないか。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
面貌
(
おもて
)
は深い
熊谷笠
(
くまがいがさ
)
に隠して
唇元
(
くちもと
)
も見せないが、
鉄納戸
(
てつなんど
)
の紋服を着た肩幅広く、石織の帯に大鍔の大小を
手挟
(
たばさ
)
み、
菖蒲革
(
しょうぶがわ
)
の足袋に草履がけの音をぬすませ、ひたひたと一巡りしてから
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
砥
(
と
)
の
粉
(
こ
)
を塗って、
隈
(
くま
)
を入れた顔、尺八を持って一刀を
手挟
(
たばさ
)
んだ面魂は、五尺五六寸もあろうと思う
恰幅
(
かっぷく
)
の、共にいかさま敵役に打って付けの油屋兼吉です。
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
騎馬の女性は、坂の口のてまえまで来ると、ふと、駒を止めてしまい、吹いていた笛を、
笛嚢
(
ふえぶくろ
)
に納めて、帯のあいだに
手挟
(
たばさ
)
んだ。——そして——眉の上に当る
被衣
(
かつぎ
)
の端に手をかけて
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人娘の嫁入りの儀式に
連
(
つら
)
なる礼装の
麻裃
(
あさがみしも
)
、両刀を高々と
手挟
(
たばさ
)
んだのを、後ろに廻して、膝の汚れも構わず、乗物の中に手を突っ込み、娘の首を起してハッと息を呑みました。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蒼白い顔と、
華奢
(
きゃしゃ
)
な身体を見ると、両刀は
手挟
(
たばさ
)
んでも、武芸などとは縁の遠い男に見えますが、その代り眼の鋭い、鼻の高い、
細面
(
ほそおもて
)
の唇のよく締った、いかにも智恵と意志を思わせる顔立ちです。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
挟
常用漢字
中学
部首:⼿
9画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭