トップ
>
愁眉
>
しゅうび
ふりがな文庫
“
愁眉
(
しゅうび
)” の例文
「急に意識が回復し始めて来て、
主治医
(
しゅじい
)
もこの分なら生命に別条なかろうと申しましたので、今朝は一同
稍〻
(
やや
)
愁眉
(
しゅうび
)
を開いたところです」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
むしろ、一
党
(
とう
)
の人は、それで
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいていた。しかし、愁眉のひらかれぬ気がかりは、ご
神罰
(
しんばつ
)
に
刑
(
けい
)
せられている
忍剣
(
にんけん
)
の身の上——。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敵は全く進退
谷
(
きわ
)
まり、そしてあと四、五分のうちに殲滅されてしまうものと思われ、キンギン国軍は、やっと
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいたのであった。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
きり開かれたその
路
(
みち
)
には、あかるい光りが
溢
(
あふ
)
れていたのだ。何よりも無邪気に、すッと
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいたのはおんなどもであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
仕事にかかる瞬間から終るまでの間、去ることのない
愁眉
(
しゅうび
)
が一時に開いて行くような、静かな表情の変化が
陽灼
(
ひや
)
けた顔に窺えるだけなのである。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
▼ もっと見る
が、別に殿中では、何も
粗匇
(
そそう
)
をしなかったらしい。宇左衛門は、始めて、
愁眉
(
しゅうび
)
を開く事が出来るような心もちがした。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
愁眉
(
しゅうび
)
を開いたかのごとくに群集の中から叫んだ声が挙がったかと思われるや同時に、いかさま仲之町通りを大門口の方から悠然とふところ手をやって
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そこでも同じくらい待ち、第三の取次ぎが第三接待へ導いた。こうして第五の接待の間へ通されたとき、前田老職がようやく
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいたという顔で
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
上陸が出来るか出来んかと皆
固唾
(
かたず
)
を呑んで待って居たがこの日は上陸が出来ずに暮れてしもうた。翌日の十時頃に上陸の事にきまったので一同は
愁眉
(
しゅうび
)
を開いた。
病
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「あれ、あんなことをいっていらっしゃるよ。」と嬉しそうに
莞爾
(
にっこり
)
したが、これで
愁眉
(
しゅうび
)
が開けたと見える。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幸いにお君の病気は大したことはなく、四日ばかりするうちにすっかりなおってしまい、お君はやっと
愁眉
(
しゅうび
)
を開いていると、そこへ甲府から便りがありました。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もし
赦免
(
しゃめん
)
に預らば、積善の余慶、長く家門に及び、栄華は長く子孫に伝わらんものと思い候。さすれば、義経年来の
愁眉
(
しゅうび
)
を開き、一生の安穏を得るものと思い候。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
終日
佛間
(
ぶつま
)
にいて、
冥想
(
めいそう
)
に
耽
(
ふけ
)
るとか、
看経
(
かんきん
)
するとか、何処かの貴い
大徳
(
だいとこ
)
を招いて佛法の講義を
聴聞
(
ちょうもん
)
するとか、云うような日が多くなったので、乳人や女房たちは
愁眉
(
しゅうび
)
を開いて
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
相談の上、妾
先
(
ま
)
ず帰京して彼の決行果して
成就
(
じょうじゅ
)
するや否やを気遣いしに、一カ月を経て親族会議の結果嫡男哲郎を祖父母の
膝下
(
しっか
)
に留め、彼は出京して夫婦始めて、
愁眉
(
しゅうび
)
を開き
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
中川も
忽
(
たちま
)
ち
愁眉
(
しゅうび
)
を開き「それは全く御尽力の結果だね、さぞお骨が折れたろう」小山
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
三条の宮の人たちも
愁眉
(
しゅうび
)
を開いた。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
大佐はようやく
愁眉
(
しゅうび
)
を開いて
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
一瞬ぱっと
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいた。
HUMAN LOST
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
直義は
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいた。どうやら、これまでのことは、名越軍も六波羅でも、まったく感知していないらしい。天のたすけぞと思われた。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これを聞いた、山崎、岩田、上木の三人は、また、
愁眉
(
しゅうび
)
をあつめて評議した。こうなっては、いよいよ上木の献策通り、真鍮の煙管を造らせるよりほかに、仕方がない。
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
莞爾
(
かんじ
)
として
笑
(
え
)
みをのせると、かちりと強く
金打
(
きんちょう
)
して見せましたものでしたから、たのもしげな右門のその誓約にようやくお小姓は
愁眉
(
しゅうび
)
を開いて、事の子細を打ち明けました。
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
これをもってせば欣弥
母子
(
おやこ
)
が半年の扶持に足るべしとて、渠は
顰
(
ひそ
)
みたりし
愁眉
(
しゅうび
)
を開けり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいたのである。思わず頭を
低
(
さ
)
げてしまった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
この口上を聞いて、俊成卿は
愁眉
(
しゅうび
)
を開いた。
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
私はいつもこのテヽンで
愁眉
(
しゅうび
)
を開く。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいて、人々は、上水の川尻へ眼をやった。
大曲
(
おおまがり
)
の方から、川端を、
悠長
(
ゆうちょう
)
に練ってくる一列の提灯と
駕
(
かご
)
とが、それらしく見える。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それより照子、
鬱々
(
うつうつ
)
として
愉
(
たのし
)
まず、
愁眉
(
しゅうび
)
容易に開けざるにぞ、在原夫人は
語
(
ことば
)
を尽して、
賺
(
すか
)
しても、慰めても頭痛がするとて額を
押
(
おさ
)
え、弱果てて見えたまえば、見るに見かねて
侍女等
(
こしもとども
)
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と初めて
愁眉
(
しゅうび
)
を開いてくれた。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
願いにやった使者は、途中からお呼び戻しになった。塩税の未納金やらその他のお取立てが、案外に順調に集まるので、この分ならばと、大石殿も、
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいて居らっしゃる
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに突然珍客ありて、告ぐるに金時計を還さん事をもってせり。へいげんは快然
愁眉
(
しゅうび
)
を開きしが、省みれは
衷
(
うち
)
に
疚
(
やま
)
しきところ無きにあらず。もし彼にして懸賞金百円を請求せんか。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
福知山方の面々は俄かに喜色を
漲
(
みなぎ
)
らせ思わず浮腰になって伸び上がる者もあり、殊に正面の松平忠房は、初めて
愁眉
(
しゅうび
)
を開いた顔を傍らの正木作左衛門に向けて意味深長に
北叟
(
ほくそ
)
笑んだのであった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「うむ。そうか」とのみで、彼の
愁眉
(
しゅうび
)
はひらかれなかった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいた彼の臣下は、同時に、蔡瑁を憎み憤った。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、やや
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいて云った。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宋江、
愁眉
(
しゅうび
)
をひらき。
病尉遅
(
びょううっち
)
の
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、皆は
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“愁眉”の意味
《名詞》
心配や愁いでしかめた眉。心配そうな表情。
(出典:Wiktionary)
愁
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
眉
常用漢字
中学
部首:⽬
9画
“愁”で始まる語句
愁
愁然
愁歎
愁傷
愁嘆場
愁訴
愁歎場
愁嘆
愁色
愁夜曲