忠義ちゅうぎ)” の例文
「それはいかにもつらいことです。なにぶん忠義ちゅうぎ召使めしつかいでしたから。」こう影はいって、ためいきをつくようなふうをしました。
「これがまた、なんのやくにたつかわからないのだ。あの男のするとおりにさせておけ。忠義ちゅうぎこのうえもないヨハネスのことだ。」
甲斐源氏かいげんじ御曹子おんぞうし武田伊那丸たけだいなまるさまへ忠義ちゅうぎをつくすため、また、お師匠ししょうのおいいつけをまもらんがためしていることだぞ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやそうでない。家来けらいどもが、毎日まいにちおれ苦痛くつうわすれてはならないという、忠義ちゅうぎこころからあつさをこらえさせるのであろう。」とおもわれたこともあります
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
弁慶べんけい義経よしつねといっしょに度々たびたびいくさに出て手柄てがらをあらわしました。のち義経よしつね頼朝よりともなかわるくなって、奥州おうしゅうくだったときも、しじゅう義経よしつねのおともをして忠義ちゅうぎをつくしました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
にもかくにも、落城後らくじょうごわたくしおんなながらも再挙さいきょはかるつもりで、わずかばかりの忠義ちゅうぎ従者じゅしゃまもられて、あちこちにひそめてりました。領地内りょうちない人民じんみんたいへんわたくしたいして親切しんせつにかばってくれました。
忠義ちゅうぎのためのうそまこと
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「だまって、あの男のやるとおりにさせておけ。忠義ちゅうぎこのうえもないヨハネスのことだ。それに、これがまた、なんのやくにたつかもしれぬ。」
忠義ちゅうぎいぬのおはかだといって、みんながおまいりをして、はなやお線香せんこうげました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
天子てんしさまは、ごろから忠義ちゅうぎ家来けらいでありましたから、そんならなんじにその不死ふしくすりりにゆくことをめいずるから、なんじひがしほううみわたって、絶海ぜっかい孤島ことうにゆき、そのくに北方ほっぽうにある金峰仙きんぷせんのぼって
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし、あるところに、ひとりの王子おうじがおりました。王子はのなかを歩きまわってみたくなりましたので、忠義ちゅうぎ家来けらいをひとりだけつれてでかけました。
王さまは、たったひとりのために、忠義ちゅうぎ家来けらいをのこらずうしなってしまうのをかなしく思いました。そして
「お約束は、かならずおまもりいたします。そして、お父上ちちうえさまにたいするのとおなじように、あなたさまにも、いのちをなげだして、忠義ちゅうぎをはげみたいとぞんじます。」
わかい王さまと忠義ちゅうぎ家来けらいは、ふたりで、夜を日についで、力のかぎりこぎました。ですから、小舟はとぶように走って、ほかのものよりもさきに、年とった王さまのもとへつきました。