心掛こゝろが)” の例文
落葉おちば樣子やうすをして、はうきつて技折戸しをりどから。一寸ちよつと言添いひそへることがある、せつ千助せんすけやはらかな下帶したおびなどを心掛こゝろがけ、淺葱あさぎ襦袢じゆばんをたしなんで薄化粧うすげしやうなどをする。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
卯平うへいみじか時間じかんであつたががついてから心掛こゝろがけたので財布さいふにはいくらかのたくはへもあつた。わづか衣物きものであるがそれでもすゝけたやうにめた風呂敷ふろしきおほきなつゝみが二つ出來できた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
生來せいらい貴方あなた怠惰者なまけもので、嚴格げんかく人間にんげん其故それゆゑ貴方あなたんでも自分じぶん面倒めんだうでないやう、はたらかなくともむやうとばか心掛こゝろがけてゐる、事業じげふ代診だいしんや、其他そのたのやくざものにまか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ねえ、私達はいさぎよくその恩を被ようではありませんか! さうして愛をゆたかに持つことにつとめ、それをすべてにさゝげることに、決して自分の利益りえきを考へないやうにと心掛こゝろがけませう。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
だからひと何時いつくらうちからおきをがむやうに心掛こゝろがけなければならぬ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それだから、自分の昔し世にしよした時の心掛こゝろがけでもつて、代助もらなくつては、うそだといふ論理になる。尤も代助の方では、なにうそですかと聞き返した事がない。だから決して喧嘩にはならない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一寸ちよつと言添いひそへることがある、ごろから元二げんじやはらかな下帶したおびなどを心掛こゝろがけ、淺黄あさぎ襦袢じゆばんをたしなんで薄化粧うすげしやうなどをする、もつといまでこそあれ、時分じぶん仲間ちうげんかほ仙女香せんぢよかうらうとはたれおもひがけないから
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)