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御禮
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おれい
『
皆樣は、
其樣にあの
兒を
可愛がつて
下さつたのですか。
妾は
何と
御禮の
言葉もございません。』と
雪のやうなる
頬に
微※の
波を
湛えて
帳塲の
女主もかけ
出して
唯今は
有がたうと
同音の
御禮、
頼んで
置いた
車が
來しとて
此處からして
乘り
出せば、
家中表へ
送り
出してお
出を
待まするの
愛想、
御祝儀の
餘光としられて
……
張合のない
例の
寢坊が
朝飯を
濟ましたあとだから、
午前十時半頃だと
思ふ……どん/\と
色氣なく
二階へ
上つて、やあ、いゝお
天氣だ、
難有い、と
御禮を
言ひたいほどの
心持で
申さねば御渡し下されぬとなら
是非もなしと涙にむせぶ有樣如何にも
實情に見えければ九助は感じ扨々御前は孝心
厚き御人故
殘らず
渡して進ぜませうと
財布の
儘渡せしにぞ彼の者大いに
悦び全く御
蔭にて老母の
療治も出來ますと
押戴き/\
猶遠からず
御禮に上りますが少しも早く母へ見せ悦ばせ度存じますと
叮嚀に禮を
いや、
此は
惡かつた。まあ、
更めて、
更めて
御禮を
申します。……
實際、
此の
手紙を
遺失したと
氣が
附かなかつた
中に、
貴女の
手から
戻つたのは、
何とも
言ひやうのない
幸福なんです。
後には
力ちやん
大明神樣これにも
有がたうの
御禮山々。