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後脚
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あとあし
ふりがな文庫
“
後脚
(
あとあし
)” の例文
白い石が無遠慮にこう言うと、驢馬は長い耳でそれを立聞きして、癪にさえたらしく、いきなり
後脚
(
あとあし
)
を上げて、そこらを蹴飛ばしました。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
舌で舐めたり
後脚
(
あとあし
)
で掻いたりする気持ちはおおよそ想像してみることができても尻尾の振りごこちや曲げごこちは夢想することもできない。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼は極力否定しているが、わたしの想像するところでは、彼の見たのは若い熊が
後脚
(
あとあし
)
で立っていた、その姿に相違あるまい。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
大野順平は腰をかがめて、その
後脚
(
あとあし
)
をつかみあげた。そのとき斃れている鹿の眼がしわりと
瞬
(
またた
)
いたのである。玉目三郎は思わず一足うしろに退った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
其處
(
そこ
)
へあの、
牝
(
めす
)
の
黒猫
(
くろねこ
)
が、
横合
(
よこあひ
)
から、フイと
乘
(
の
)
りかゝつて、お
君
(
きみ
)
のかいた
歌
(
うた
)
の
其
(
そ
)
の
懷紙
(
ふところがみ
)
を、
後脚
(
あとあし
)
で
立
(
た
)
つてて
前脚
(
まへあし
)
二
(
ふた
)
つで、
咽喉
(
のど
)
へ
抱
(
かゝ
)
へ
込
(
こ
)
むやうにした。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
彼奴
(
きゃつ
)
、どうするかと息を
潜
(
ひそ
)
めて
窺
(
うかが
)
つてゐると、
彼
(
かれ
)
は長き尾を地に
曳
(
ひ
)
き二本の
後脚
(
あとあし
)
を
以
(
もっ
)
て
矗然
(
すっく
)
と立つたまゝ、
宛
(
さなが
)
ら人のやうに歩んで行く、
足下
(
あしもと
)
は
中々
(
なかなか
)
確
(
たしか
)
だ。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
烏や
鵲
(
かささぎ
)
が下りて来ると、彼等は身を
僂
(
ちぢ
)
めて
後脚
(
あとあし
)
で地上に強く弾みを掛け、ポンと一つ跳ね上る有様は、さながら一団の雪が舞い上ったようで、烏や鵲はびっくりして逃げ出す。
兎と猫
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
と、狼が走るのを止めて、葉之助の
周囲
(
まわり
)
へ集まって来た。そうして揃って
後脚
(
あとあし
)
で坐り、前脚の間へ鼻面を突っ込み、上眼を使って葉之助を見た。それは親し気な様子であった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
跳ね立ちて今飛ばむずる雄の馬の
後脚
(
あとあし
)
の据わりゆゆしかるかも
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
息
(
いき
)
も激しく苛立ちのぼせ、
後脚
(
あとあし
)
跳ねかし牡馬の如く
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
左衛門尉はかう言ひ捨てて馬に一
鞭
(
むち
)
あてた。馬は自分で偉い者の手本を見せるやうに、
後脚
(
あとあし
)
で砂を蹴つて飛んだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お
互
(
たがひ
)
に——お
互
(
たがひ
)
は
失禮
(
しつれい
)
だけれど、
破屋
(
あばらや
)
の
天井
(
てんじやう
)
を
出
(
で
)
てくる
鼠
(
ねずみ
)
は、
忍
(
しの
)
ぶにしろ、
荒
(
あ
)
れるにしろ、
音
(
おと
)
を
引
(
ひき
)
ずつて
囘
(
まは
)
るのであるが、こゝのは——
立
(
た
)
つて
後脚
(
あとあし
)
で
歩行
(
ある
)
くらしい。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
をかしとよ、早や見えずとよ、
後脚
(
あとあし
)
はねてまた水くぐる。
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
天守
(
てんしゆ
)
の
礎
(
いしずゑ
)
の
土
(
つち
)
を
後脚
(
あとあし
)
で
踏
(
ふ
)
んで、
前脚
(
まへあし
)
を
上
(
うへ
)
へ
挙
(
あ
)
げて、
高
(
たか
)
く
棟
(
むね
)
を
抱
(
いだ
)
くやうに
懸
(
か
)
けたと
思
(
おも
)
ふと、
一階目
(
いつかいめ
)
の
廻廊
(
くわいらう
)
めいた
板敷
(
いたじき
)
へ、ぬい、と
上
(
のぼ
)
つて
其
(
そ
)
の
外周囲
(
そとまはり
)
をぐるりと
歩行
(
ある
)
いた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この男の考へでは、馬が
後脚
(
あとあし
)
で人を蹴る外には、非紳士的な態度といふのはないといふのだ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ちんちろりんは随分な
嫉妬
(
やきもち
)
焼きで雌が
他
(
よそ
)
の雄と
談話
(
はなし
)
でもしてゐようものなら、いきなり相手を
後脚
(
あとあし
)
で蹴飛ばすさうだが、薩摩者もこの点ではちんちろりんに劣らぬ道徳家である。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
栗鼠
(
りす
)
が(註、この篇の談者、小県凡杯は、兎のように、と云ったのであるが、兎は私が
贔屓
(
ひいき
)
だから、栗鼠にしておく。)
後脚
(
あとあし
)
で飛ぶごとく、嬉しそうに、
刎
(
は
)
ねつつ飛込んで、腰を掛けても、その
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“後脚”の意味
《名詞》
うしろあし。あとあし。
(出典:Wiktionary)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
脚
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世