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尖
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とん
ふりがな文庫
“
尖
(
とん
)” の例文
燃えさしの薪を靴の
爪尖
(
つまさき
)
で踏みつけると、真赤な焚きおとしが灰の上にくずれて、新らしい
焔
(
ほのお
)
がまっすぐに
尖
(
とん
)
がって燃えあがった。
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
雪江さんは
屹度
(
きっと
)
斯ういう。これが伯父さんの先生でも有ろうものなら、口を
尖
(
とん
)
がらかして、「もッと
手廻
(
てまわし
)
して早うせにゃ
不好
(
いかん
)
!」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
まだ
生々
(
いきいき
)
としている小さな
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
は、まるで
二十日鼠
(
はつかねずみ
)
が暗い穴から
尖
(
とん
)
がった
鼻面
(
はな
)
を突き出して、耳を
欹
(
そばだ
)
てたり、髭をピクピク動かしながら、どこかに猫か
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
廊下で
喧嘩
(
けんか
)
をしている、
尖
(
とん
)
がった
新造
(
しんぞ
)
の声かと思って、目がさめると、それが隣りの婆さんであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
其うちの
二人
(
ふたり
)
は熊本の高等学校の教師で、其
二人
(
ふたり
)
のうちの
一人
(
ひとり
)
は運
悪
(
わる
)
く
脊虫
(
せむし
)
であつた。女では宣教師を
一人
(
ひとり
)
知つてゐる。随分
尖
(
とん
)
がつた顔で、
鱚
(
きす
)
又は
魳
(
かます
)
に類してゐた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
皆さん、本当の避雷装置というのは、あの
尖
(
とん
)
がった長い針を屋根の上に載せて置くだけでは駄目です。あの針は、雷を引き寄せるだけの働きしか持っていないのです。
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「むむ、」と
頷
(
うなず
)
いたがうしろ
向
(
むき
)
になって、七兵衛は口を
尖
(
とん
)
がらかして、
鍋
(
なべ
)
の底を下から見る。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「御冗談で——、そんな怨みを買うあっしじゃありません。酔っ払って、下水へ転がり落ちるはずみに、
雨樋
(
あまどい
)
の先の
尖
(
とん
)
がったところで、ほんの少し引っ掻いただけなんで——」
銭形平次捕物控:044 お民の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女は帰った様子ゆえ
何
(
なん
)
とも云わず黙っていたが、翌晩も又来てこそ/\話を致し、
斯
(
こ
)
ういう事が丁度三晩の間続きましたので、女房ももう我慢が出来ません、ちと鼻が
尖
(
とん
)
がらかッて来て
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
緋房のついた
尖
(
とん
)
がり帽子がしをらしや。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
三角の
尖
(
とん
)
がりが持つ力なり
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
面倒だから、いっそさよう仕ろうか、敵は大勢の事ではあるし、ことにはあまりこの辺には見馴れぬ
人体
(
にんてい
)
である。
口嘴
(
くちばし
)
が
乙
(
おつ
)
に
尖
(
とん
)
がって何だか
天狗
(
てんぐ
)
の
啓
(
もう
)
し
子
(
ご
)
のようだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と口を
尖
(
とん
)
がらかしたも道理こそ。
此方
(
このほう
)
づれの
体
(
てい
)
は、と見ると、私が
尻端折
(
しりぱしょり
)
で、下駄を持った。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女は床づいていて、真蒼な不安な顔をして、眼のふちが
黯
(
くろ
)
ずんで鼻が
尖
(
とん
)
がり、唇は乾ききって、髪はぐったりと崩れていました。すべての様子が、病院でしばしば見る重病患者にそっくりでした。
麻酔剤
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
荷物が有りますと、口を
尖
(
とん
)
がらかすと、荷物が有るならお出しなさい、というから、車屋に手伝って貰って、荷物を玄関へ運び込むと、其女が片端から受取って、ズンズン何処かへ持ってッて了った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
尖
(
とん
)
がり
帽
(
ぼう
)
の
緋房
(
ひぶさ
)
も
伊達
(
だて
)
ぢやない。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
船頭はゆっくりゆっくり
漕
(
こ
)
いでいるが熟練は
恐
(
おそろ
)
しいもので、
見返
(
みか
)
えると、浜が小さく見えるくらいもう出ている。
高柏寺
(
こうはくじ
)
の五重の
塔
(
とう
)
が森の上へ
抜
(
ぬ
)
け出して針のように
尖
(
とん
)
がってる。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一番高い
尖
(
とん
)
がった巌の上に、
真暗
(
まっくら
)
な中に、黒い
外套
(
がいとう
)
にくるまって、足を投げ出して、
皆
(
みんな
)
の取って来たものを
指環
(
ゆびわ
)
だの、
黄金
(
きん
)
時計だの、お
金子
(
かね
)
だの、一人々々、数をいいますのを
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渋紙した顔に
黒痘痕
(
くろあばた
)
、
塵
(
ちり
)
を飛ばしたようで、
尖
(
とん
)
がった目の光、髪はげ、眉薄く、頬骨の張った、その
顔容
(
かおかたち
)
を見ないでも、夜露ばかり雨のないのに、その高足駄の音で分る、本田
摂理
(
せつり
)
と申す
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
代助は口を
尖
(
とん
)
がらかして、兄を
凝
(
じっ
)
と見た。そうして二人で笑い出した。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は
口
(
くち
)
を
尖
(
とん
)
がらかして、
兄
(
あに
)
を
凝
(
じつ
)
と見た。さうして
二人
(
ふたり
)
で笑ひ出した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何だか、口の
尖
(
とん
)
がった、色の黒い奴が乗っていたようですぜ。」
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尖
漢検準1級
部首:⼩
6画
“尖”を含む語句
尖端
尖塔
尖頭
槍尖
刀尖
鋒尖
尖々
筆尖
尖頂
尖角
切尖
爪尖
尖鋭
剣尖
足尖
尖鋭化
尖先
肺尖加答児
火尖
刃尖
...