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姐御
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あねご
ふりがな文庫
“
姐御
(
あねご
)” の例文
それからお富
姐御
(
あねご
)
すまないけれど、その時間になったら、コックの留公に用が出来るんだから、どこにも行かずに待たせて置いとくれ。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ただの女芸人と思っているのかい。これでも江戸では、丹頂のお粂といわれた
姐御
(
あねご
)
だよ。さあ、立派に殺してもらいましょう」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
も一つその底の慾には朝夕虐げられつけている母に向って一ときでも立優った気持になり
姐御
(
あねご
)
になり度いのでございましょう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「どうしたい
姐御
(
あねご
)
、バカに息を切らしてさ! 陽気の変り目で、ちいっと心浮き浮き、てえところじゃねえのかね?」ときた。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
庸三はきまりがわるくなったので、にわかに茶の間へ出て行って見た。葉子は
姐御
(
あねご
)
のようなふうをして、
炉側
(
ろばた
)
に
片膝
(
かたひざ
)
を立てて坐っていたが
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
「オ!
姐御
(
あねご
)
! これあまア、おめずらしいところで。イヨウ! 死んだと思ったお藤さんとは、ヘヘヘ、丹下の旦那でも気がつくめえッてネ」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「親分、寒かったでしょうね、——その女は橋番所に引渡して大急ぎで帰りましょう。
姐御
(
あねご
)
は一本付けて待ってますぜ」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここを日本のメロドラマでゆくと、
委細
(
いさい
)
呑
(
の
)
み込んだ
姐御
(
あねご
)
が、湯上りの身体を鏡台の前に
据
(
す
)
えて
諸肌
(
もろはだ
)
脱いで盛大な塗立工事にかかろうというところ。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「「
蝶々牡丹
(
ちょうちょうぼたん
)
のお京」といったら、関東では、すこしは知られた
姐御
(
あねご
)
さ。それが、こんな若松みたいな田舎に来たのも、みんな、金五郎さんのためよ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「こいつあいけねえ、ねえちゃんも腹がへってるんだっけな……上海の
姐御
(
あねご
)
、すまねえがひとつ頼むぜ、女は女同士ってこともあるからな、へっへっへ」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「そうか、じゃあ、けえるまで、またせて貰おうか——実は、ちっと、
姐御
(
あねご
)
と、折り入って、話があってな——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
一葉は、あの細っこい体で、
一文菓子
(
いちもんがし
)
の仕入れにも行くのだそうだが、客好きで、
眉山
(
びざん
)
などから聞くと
不断
(
ふだん
)
は無口だが、文学談になると
姐御
(
あねご
)
のようになる。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それを気に病んでゐるのは帝劇の尾上梅幸で、菊五郎に遭ふといつも
姐御
(
あねご
)
のやうな世馴れた口調で
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
たとえ百成が俺を見限ろうとも、自分が
後楯
(
うしろだて
)
になって面倒を見てやると
姐御
(
あねご
)
のような口をきいた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
かくて駕籠と大八車とが押並んで、駕籠の中のキンキンする
姐御
(
あねご
)
と、大八車の梶棒にしがみついた
精悍
(
せいかん
)
なる小冠者とが、そぐわない調子を、つとめて合わせながらの物語。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何やかや指図して大の男を使いこなしている様子は
天晴
(
あっぱ
)
れ
姐御
(
あねご
)
であったが、そういうこの人は私の心を動かさなかった。私は笑いを追いつづけた。それはひどく高潔だった。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
半歳の間、痛さと発熱を
堪
(
こら
)
えて施した刺青は、ただ、
姐御
(
あねご
)
の資格を肉体に付け、他の女と区別するためのものであり、その図柄は有名な刺青師に任かせ切りにしたものである。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
旦那は無闇に弱い女や人を
打
(
ぶ
)
つような方じゃアねえ、お
前
(
めえ
)
の
処
(
とこ
)
の
姐御
(
あねご
)
が何か悪い事をしたのだろうが、銭を貰っちゃア親方に済まねえと云うが、そんな事を幾ら云っても果てしはつかねえ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
姐御
(
あねご
)
気取りが重荷になって、精根を疲らせ病気のもとになったんだ、——飲みたくもない酒を、気負って飲んで、ありもしない力をあるようにみせかける、もうそんなことはやめにするんだ
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ここをのがれても都の空の方角さえ見当つかず、女はこうなると度胸がよい、ままよと観念して、夫には優しくされ手下の者たちには
姐御
(
あねご
)
などと言われてかしずかれると、まんざら悪い気もせず
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
おまえをあたし達の仲間の
姐御
(
あねご
)
にすると二人が云い出すと、おとくはすぐに出て行って、平気で蛇のとぐろのなかへ手を突っ込んで、例の切髪をつかみ出したので、なんにも知らない見物人は勿論
半七捕物帳:34 雷獣と蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
姐御
(
あねご
)
はこっちに腰掛けたら……」
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
亭主が死んでも彼女は
姐御
(
あねご
)
です。
乞はない乞食
(新字旧仮名)
/
添田唖蝉坊
(著)
姐御
(
あねご
)
真実
(
まったく
)
だ、
最
(
も
)
う
堪
(
たま
)
らぬ。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
姐御
(
あねご
)
、って、商売だ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「御親切は有難いが、少し内密なことなので、じかに聞いて貰いたいと先方からも頼まれているので、どうも
姐御
(
あねご
)
に話すわけにはまいらんて」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
知らずのお絃は——お絃流の、なに、そんなものはないが、とにかく、喧嘩の
真中
(
まんなか
)
へ割り込んで、
婉
(
えん
)
然にっこり名たんかを切ろうという
物凄
(
ものすご
)
い
姐御
(
あねご
)
。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「親分がまた腕を組んだ、この
双六
(
すごろく
)
も上がりが近いぜ。ね、お静さん——おっと
姐御
(
あねご
)
、この秋は少し遠走りして、湯治にでも行こうじゃありませんか」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かまわねえから、
姐御
(
あねご
)
! 踏ん
込
(
ご
)
みなせえ、踏ん込みなせえ!
毒蛇
(
コブラ
)
様の眼は、ダテに付いちゃアいねえんだから
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
こうしてお由は娘から忽ち
姐御
(
あねご
)
へと変り、あられもない「白蛇のお由」と自分から名乗って
伝法
(
でんぽう
)
を見習うようになったが、若いに似ずよく親分の世話をして
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
駆け出して、川向うまで、一足飛び——大てい、この辺だろうと、お杉の
姐御
(
あねご
)
が言うものだから、見当はつけて来たが、
若
(
も
)
し一あし違えになったら大変だと思って——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「文藝春秋」できかれた「
姐御
(
あねご
)
ぶり」といふものは、勢ひさうした見方からいつて、およそ、わたしのきらひなものだ。姐御とは、さうした
輩
(
ともがら
)
の細君を敬稱したものかと思ふ。
凡愚姐御考
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
して、一ぱしの
姐御
(
あねご
)
なんだからね。
妾
(
わたし
)
はあの女が、小学校の時分から知ってるんだよ
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
柳橋
(
やなぎばし
)
で
左褄
(
ひだりづま
)
とったおしゅんという
婀娜物
(
あだもの
)
ではあるが、今はすっかり
世帯染
(
しょたいじ
)
みた小意気な
姐御
(
あねご
)
で、その上心掛の至極いゝ
質
(
たち
)
で、弟子や
出入
(
ではい
)
るものに目をかけますから誰も悪くいうものがない。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「まあ、上海の
姐御
(
あねご
)
とかいうひと、そんなおそろしいひとだったんですの!」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
ほんとに話せないねえとお八重はすっかり
姐御
(
あねご
)
気取りで考えていた。
舞馬
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
女は
姐御
(
あねご
)
気どりでたしなめた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「親分が又腕を組んだ、この
雙六
(
すごろく
)
も上がりが近いぜ。ね、お靜さん——おつと
姐御
(
あねご
)
、この秋は少し遠つ走りして、
湯治
(
たうぢ
)
にでも行かうぢやありませんか」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
姐御
(
あねご
)
、どうぞあちらの御用をごゆっくりと。——手前はお手数をかけずに、ここで頂戴いたしていることにする」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明かせば、いまだに左膳へ対して抱いている
恋心
(
こいごころ
)
から、
姐御
(
あねご
)
は、さっそく左膳のほうへ
味方
(
みかた
)
をするにきまっている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
姐御
(
あねご
)
はやっぱり、眼が
高
(
たけ
)
えぜ。
代物
(
しろもの
)
は、ボール函包みの中だア、
絶対
(
ぜってえ
)
間
違
(
ちげ
)
えはねえ。もう袋の中の
鼠
(
ねずみ
)
だア」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
出来ごころで、のぞいたって、そう
易々
(
やすやす
)
、向うさまが出迎えちゃくれねえのだ。
姐御
(
あねご
)
も女は女、とかく、
癇癪
(
かんしゃく
)
で、気短かで、やべえものさ。でも、引っかえして来てくれてよかった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
無理にきまってる処をあんたはそっくり博奕に持ってって、妾は昨日、
姐御
(
あねご
)
に百両借りて、やっと、コッペパンとおかずと手巻きのモクを買ったんだよ、逆さになったって鼻血も出ねえや
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
職工長「ところがそうじゃないとよ。だから本職の
姐御
(
あねご
)
が怒っていたよ」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
茶舟
(
ちゃぶね
)
の船頭で
五斗俵
(
ごとびょう
)
を
担
(
かつ
)
ぐと云う程の力の人でございます、
其処
(
そこ
)
の
姐御
(
あねご
)
は至極情け深い人で、
然
(
そ
)
う云う強い人の女房でございますから鬼の
女房
(
にょうぼ
)
に
鬼神
(
きじん
)
の
譬
(
たとえ
)
、ものゝ道理の分った婦人で有りますから
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お藤の
姐御
(
あねご
)
が先月から家をあけているのと折柄の好天気を幸いに、そそくさとわらじの紐をはきしめて、こうして奥州中村への旅に出て来たのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いや
姐御
(
あねご
)
つて言ふんだつけ——、親分の顏を
剃
(
あた
)
るのはよいが、右から左からいゝ男つ振りを眺めてばかり居ちや、
剃
(
そ
)
り上げないうちに、後から/\
生揃
(
はえそろ
)
つて來ますぜ、へツへツへツ
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あ、こりゃ
姐御
(
あねご
)
でしたかえ」と洞門の権右衛門はちょっと足を止めて
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
市松お六といって、深川の
羽織上
(
はおりあが
)
り、神保造酒の妻とも
妾
(
めかけ
)
ともつかず、この道場を切り廻している大
姐御
(
あねご
)
なのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「勘なら、
姐御
(
あねご
)
なんざ大したものだぜ、あっしの腹の中から、財布の中まで見透しだ」
銭形平次捕物控:055 路地の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
姐
漢検準1級
部首:⼥
8画
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
“姐御”で始まる語句
姐御分