大粒おおつぶ)” の例文
それが、日数ひかずがたつにつれて、それらの野菜やさいは、ふとったり、また、まるまるとえたり、大粒おおつぶみのったりしましたからね。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
白刃しらはえたような稲妻いなづま断間たえまなく雲間あいだひらめき、それにつれてどっとりしきる大粒おおつぶあめは、さながらつぶてのように人々ひとびとおもてちました。
だが朝来ちょうらいの天候は不穏ふおんをつげ、黒雲が矢のようにとび、旋風せんぷうが林をたわめてものすごいうなりを伝える。と見るまに大粒おおつぶの雨が落ちてきた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
がっかりして、しばらくあっちこっちをうろうろした竹童は、とうとう目から大粒おおつぶなみだをポロリポロリとこぼしながら、あかつきの空にむかって声いッぱい!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いいとも。これはうちの宝物たからものなんだから、おっかさんのだよ」そしてホモイは立ってうちの入り口の鈴蘭すずらんさきから、大粒おおつぶつゆを六つほどってすっかりお顔をあらいました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それがふくれ上がりび広がり、やがて空一面まっ黒になって、ざあーっと大粒おおつぶの雨が降り出し、ごろごろと雷が鳴り始めた時、長者は庭のすみのあずまやの中に出ていきました。
雷神の珠 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
白痴ばかにもこれは可笑おかしかったろう、この時ばかりじゃ、真直まっすぐに首をえて厚いくちびるをばくりと開けた、大粒おおつぶな歯を露出むきだして、あの宙へ下げている手を風であおるように、はらりはらり。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すると、青い大粒おおつぶなみだが光っていました。
そのほか、いちごのはたけがあり、なつにかけて、おかのスロープには、大粒おおつぶなぶどうのふさが、みごとにみのるのでした。
子供はばかでなかった (新字新仮名) / 小川未明(著)
風はこくこくはげしく吹き加わり、横なぐりの大粒おおつぶの雨がほおをうった、とはげしい電光が頭上にきらめいた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
それからこけの上をずんずん通り、幾本もの虫のあるく道を横切って、大粒おおつぶの雨にうたれゴム靴をピチャピチャ云わせながら、楢の木の下のブン蛙のおうちに来て高く叫びました。
蛙のゴム靴 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ポツリ、ポツリ、大粒おおつぶの雨がこぼれてきた。空をあおげば団々だんだんのちぎれ雲が、南へ南へとおそろしいはやさで飛び、たちまち、灰色の湖水がピカリッ、ピカリッと走ってまわる稲妻いなずまのかげ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かみなりだ!」とおもった瞬間しゅんかんに、鼓膜こまくやぶれそうなおおきなおとあたまうえでしだして、きゅう大粒おおつぶあめってきました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
今までポシャポシャやっていた雨がきゅう大粒おおつぶになってざあざあとってきたのです。
よく生蕃になぐられては目のまん中から大粒おおつぶの涙をぽろりと一粒こぼしたものだ、今日きょう集まった人々の中で中学校へもいかずに家業においつかわれているものは豊公とチビ公の二人だけであった
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
自分じぶん霊魂たましいは、なにかにけてきても、きっと子供こどもすえ見守みまもろうとおもいました。牛女うしおんなおおきなやさしいなかから、大粒おおつぶなみだが、ぽとりぽとりとながれたのであります。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)