大力だいりき)” の例文
串戯じやうだんはよして、些細さゝいことではあるが、おなじことでも、こゝは大力だいりきい。強力がうりき、とふと、九段坂だんざかをエンヤラヤにこえてひゞきわるい。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大力だいりきの遠山權六は忠義無二との取沙汰とりざたにて百石の御加増に相成りましたという。お芽出たいお話でございますが、長物語でさぞ御退屈。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
分かっていることは、犯人が大力だいりきであることだ。そうでなくては、あの丈夫じょうぶな鉄格子のはいった窓をやぶることはできない。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おに大将たいしょうは、桃太郎ももたろう大力だいりきくびをしめられて、もうくるしくってたまりませんから、おおつぶのなみだをぼろぼろこぼしながら
桃太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかし広太郎豚児とんじではない。剣道にかけては柳生やぎゅう流の免許、大力だいりきではないがわざには達し、据え物斬りでは名人である。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その重いのをじっと我慢をしていた人は、必ず宝を貰い、または大力だいりきを授けられたのであります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「はてと、こんな平和へいわなときに、この大力だいりき豪傑ごうけつはここでなにをしようというのだろう。」
上て引せけるに曲者はこゝぞと思ひ滑々ずる/\と引出す處を半四郎は寢返ねがへりをする體にて曲者のくび股間またぐらはさみ足をからみて締付しめつけけるに大力だいりき無雙ぶさうの後藤にしめ付られて曲者はものを云事もかなはずたゞ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大力だいりき天を貫きて
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
... 解っていますよ。解っているからおわびかたがた途中までもお出迎い申そうというのです。どうぞ放して下さい」お代嬢「ウンニャ放さねい。放したら何処どこへおっ走るか知んねいもの」大原「それならどうすればいいのです」お代嬢「どうすればいいって、マア家へ帰らっせい」大原「帰ってもしようがありません。遅くなっても途中までお出迎い申さなければ」と振放して進まんとするにお代嬢の大力だいりきにて再び後ろに引戻す
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ところで、随筆ずゐひついたはうは、初手しよてから筆者ひつしや用意よういふかい。これはまへにも一寸ちよつとつた。——奥州おうしう会津あひづ諏訪越中すはゑつちう大力だいりきひとあり。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
身体相応の大力だいりきを持っていて役にも立つと思っていたに、顔形にはじず千代に恋慕を仕掛るとは何の事だ、うん權六
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いままたうでずもうをって、いよいよ大力だいりきなのにおどろきました。どうしてこの子はいまにえらい勇士ゆうしになりますよ。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
キンちゃんは大力だいりきだったから正吉はいっしょに退却たいきゃくする外なかった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ふ。われすこちからありて、やわか座頭ざとうおとるまじい大力だいりきのほどがおもはれる。みづからくま張殺はりころしたと名乗なのるのと、どちらが点首うなづかれるかはろんおよばぬ。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
斯程かほど大力だいりきある亥太郎、なか/\一人や二人の力で腕を捩上げるなどという事の出来るものではござりません。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
侍「困るな…すると其の女にこう□□められた時には、身体しんたいしびれるような大力だいりきであった」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と市四郎の胸倉を捉った岡山の手を握ると市四郎は大力だいりきでありますから。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小「あなたも中々の大力だいりきでお強いことで」