反抗はんこう)” の例文
よ、愚劣ぐれつな×(2)に対してこぶし子供こどもらを、かほをそむけてのゝしをんなたちを、無言むごんのまゝ反抗はんこう視線しせんれつきつけるをとこたちを!
しかし、だれも、それにたいして反抗はんこうするものはなかったのです。すべて、すぎの若木わかぎのいうとおりだったからです。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
新兵衛はやや嘲笑ちょうしょうの気味で投げるように笑った。自分はそれに反抗はんこうする気力はなかった。ただもう胸がわくわくしてひとすじに隣のようすに気がとられた。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「とんだ災難さいなんさ。巡査に反抗はんこうしたことを証明しょうめいすれば、あのじいさんは刑務所けいむしょへやられるだろう、きっと」
ひとしく時の政府に反抗はんこうしたるものにして、しも西郷がこころざしを得て実際じっさいに新政府を組織そしきしたらんには、これを認むることなお維新政府いしんせいふを認めたると同様なりしならんのみ。
そのような運命を作り上げるのが天なら、自分は天に反抗はんこうしないではいられない。天は人間とけものとの間に区別を設けないと同じく、善と悪との間にも差別を立てないのか。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
かれら四人は、ふんぜんとれをはなれて甲板かんぱんの片すみに立ち、反抗はんこう気勢きせいを示そうとした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
しかし主命ですから反抗はんこうする訳にも行きませんので、料理人に命じて秋刀魚の細い骨を毛抜けぬきで一本一本かして、それを味淋みりんか何かにけたのを、ほどよく焼いて、主人と客とに勧めました。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これを開拓の時、一時にり取らんとする時は労して功少なし。百事その如し。村里を興復せんとすれば必ず反抗はんこうする者あり。これを処するまたこの理なり。決してかかわるべからず、さわるべからず。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そうわれる度に真佐子は、取り返しのつかない絶望におちいった、蒼ざめた顔をして、復一をじっと見た。深く蒼味がかった真佐子の尻下しりさがりの大きい眼に当惑とうわく以外の敵意も反抗はんこうも、少しも見えなかった。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「フム、ひと言尻ことばじりつかまへて反抗はんこうするんだな。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
細君は、主人からある場合ばあいになにほどどなられても、たいていのことでははらをたてたり、反抗はんこうしたりせぬ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
馬子まごは、はらだちまぎれに、あらあらしく、たづなをくと、うまは、あたま上下じょうげにふって、反抗はんこうをしめし、前足まえあしちからをいれて、大地だいちへしがみつこうとしました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かわいそうな小ざるは、いつもなら自分のきらいなことをされると反抗はんこうするくせに、もういまはなにもかもあきらめていた。かれは見向きもしないで、しっかりだかれていた。
青年の態度からは次第に反抗はんこうの色が消えて、ようやく謹聴きんちょうの様子に変って来る。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「しかし、そうなればそれでもいいんじゃありませんか。どうせ友愛塾の運動は時代への反抗はんこうでしょう。今の時勢では、正しいものが孤立するのはむしろ当然ですし、それでこそかえって大きな役割が果たせるとも言えると思うんです。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
猛然もうぜん立ちあがった糟谷はわが子を足もとへたおし、ところきらわずげんこつを打ちおろした。芳輔はほとんど他人たにんとけんかするごとき語気ごき態度たいど反抗はんこうした。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ただ、ときどきわすれていたのをおもしたように、彼女かのじょがおとなしくあそんでいるところへいって、「きつね。」といいますと、彼女かのじょは、もうけていずに、反抗はんこうしました。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは親方の見せたお手本で、警官けいかん監察官かんさつかん反抗はんこうすると、どんな目に会うかわかっていた。わたしはかれに二度と命令めいれいをくり返させなかった。わたしは急いでわき道へにげだした。
すべてのものの運命うんめいをつかさどっているあなたに、なんで汽車きしゃ反抗はんこうできますものですか。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
てつという、堅固けんごなものが存在そんざいして、自分じぶん反抗はんこうするようにかんがえたからです。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)