其道そのみち)” の例文
其道そのみちに志すこと深きにつけておのがわざの足らざるを恨み、ここ日本美術国に生れながら今の世に飛騨ひだ工匠たくみなしとわせん事残念なり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかし着実な其道そのみちの人の批判ではたとひ一円にさがつても会社経営では四五割、個人経営では六七割の利益は確かだと云つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「なになか呉服屋ごふくやまうぎてるのさ」と宗助そうすけ其道そのみちあかるいやうことを、このたん銘仙めいせんから推斷すゐだんしてこたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼者かのもの迷惑めいわくして、「つひに獻立こんだてつかまつりたるおぼえござなく、其道そのみちいさゝか心得候こゝろえさふらはねば、不調法ぶてうはふさふらふ此儀このぎ何卒なにとぞ餘人よじん御申下おんまをしくださるべし」とこうじたるさまなりけり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おとつさんは刎橋はねばし番屋ばんやるよとならはずして其道そのみちのかしこさ、梯子はしごのりのまねびにアレしのびがへしをおりりましたとうつたへのつべこべ、三びやくといふ代言だいげんもあるべし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
不埓ふらちをんなめツ」とわたくしくちびるんだ、が、悲哉かなしやわたくし其道そのみちにはまつたくの無藝むげい太夫たゆう
それは其道そのみちでは敏腕の聞え高い博文館の本田という外交記者で、彼は殆ど春泥係りの様にして、春泥に原稿を書かせる仕事をやっていた時代があったし、彼はその上、外交記者丈けあって
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
これは文化ぶんかすゝんだくにとしては地震ぢしん見舞みまはれる機會きかいおほいからにもよるのであるが、なほ一因いちいんとして明治維新後めいじいしんご、わがくに文化開發事業ぶんかかいはつじぎよう補助者ほじよしやとして招聘しようへいした歐米人おうべいじんが、おほくは其道そのみちおい
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
諦めてから其道そのみちを行くときめ
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
あれ程ありし雪も大抵はきえ仕舞しまいました、此頃このごろの天気のさ、旅路もさのみ苦しゅうはなし其道そのみち勉強のために諸国行脚あんぎゃなさるゝ身で、今の時候にくすぶりてばかり居らるるは損という者
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)