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入相
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いりあひ
ふりがな文庫
“
入相
(
いりあひ
)” の例文
入相
(
いりあひ
)
を告げる蓮華寺の鐘の音が宿直室の
玻璃窓
(
ガラスまど
)
に響いて聞える頃は、
殊
(
こと
)
に烈しい胸騒ぎを覚えて、何となくお志保の身の上も案じられる。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
野寺の鐘の
入相
(
いりあひ
)
の声すごく、分くる草葉の露しげみ、いとど御袖濡れまさり、嵐烈しく、木の葉みだりがはし。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
押
(
おし
)
莞爾
(
にこ/\
)
顏して我家へ
這入
(
はひり
)
しあとにお光はまた
米
(
こめ
)
淅了
(
とぎをは
)
り我家の中に入し頃は護國寺の
鐘
(
かね
)
入相
(
いりあひ
)
を
告
(
つげ
)
ければ
其所等
(
そこら
)
片付
(
かたづけ
)
行燈
(
あんどう
)
に火を照し附け明るけれど
暗
(
くら
)
からぬ身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
弓張月の漸う光りて、
入相
(
いりあひ
)
の鐘の音も収まる頃、西行は
長谷寺
(
はせでら
)
に着きけるが、問ひ驚かすべき
法
(
のり
)
の友の無きにはあらねど問ひも寄らで、観音堂に参り上りぬ。
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
さう云ふ罪人を載せて、
入相
(
いりあひ
)
の鐘の鳴る頃に漕ぎ出された高瀬舟は、黒ずんだ京都の町の家々を兩岸に見つつ、東へ走つて、加茂川を横ぎつて下るのであつた。
高瀬舟
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
翌日は花また二ツ咲きぬ、いづれも
入相
(
いりあひ
)
の頃しぼみて
東雲
(
しのゝめ
)
に別なるが開く、
三朝
(
みあさ
)
にして四日目の昼頃見れば花唯一ツのみ、葉もしをれ、根も乾きて、昨日には似ぬ
風情
(
ふぜい
)
、咲くべき蕾も探し当てず
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
入相
(
いりあひ
)
の
鐘
(
かね
)
の
聲
(
こゑ
)
陰
(
いん
)
に
響
(
ひゞ
)
きて
塒
(
ねぐら
)
にいそぐ
友烏
(
ともがらす
)
今宵
(
こよひ
)
の
宿
(
やど
)
りの
侘
(
わび
)
しげなるに
誰
(
た
)
が
空
(
うつ
)
せみの
夢
(
ゆめ
)
の
見初
(
みはじ
)
め、
待合
(
まちあひ
)
の
奧二階
(
おくにかい
)
の
爪彈
(
つめび
)
きの
三下
(
さんさが
)
り
簾
(
すだれ
)
を
洩
(
も
)
るゝ
笑
(
わら
)
ひ
聲
(
ごゑ
)
低
(
ひく
)
く
聞
(
きこ
)
えて
思
(
おも
)
はず
停
(
とま
)
る
行人
(
ゆくひと
)
の
足元
(
あしもと
)
、
狂
(
くる
)
ふ
煩惱
(
ぼんなう
)
の
犬
(
いぬ
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
入相
(
いりあひ
)
の鐘の
音
(
ね
)
に
梵缶
(
ぼんふう
)
の響き
幽
(
かすか
)
なるも哀れなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
身の
入相
(
いりあひ
)
の鐘とこそ聞け
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
入相
(
いりあひ
)
の鐘にありけれ
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
奪ひ取り
行掛
(
ゆきがけ
)
の
駄賃
(
だちん
)
にして
呉
(
くれ
)
んと獨り
笑壺
(
ゑつぼ
)
に
入相
(
いりあひ
)
の
鐘
(
かね
)
諸
(
もろ
)
ともに江戸を
立出
(
たちい
)
で品川宿の相摸屋へ上り
飮
(
のめ
)
や
唄
(
うた
)
へとざんざめきしが
一寸
(
ちよつ
)
と
床
(
とこ
)
に入り
子刻
(
こゝのつ
)
の
鐘
(
かね
)
を
相※
(
あひづ
)
に相摸屋を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼
(
あれ
)
が
左様
(
さう
)
だあね。誰も
彼男
(
あのをとこ
)
を庄太と言ふものは無い——
皆
(
みん
)
な「庄馬鹿」と言つてる。日に
五度
(
ごたび
)
づつ、
払暁
(
あけがた
)
、朝八時、十二時、
入相
(
いりあひ
)
、夜の十時、これだけの鐘を
撞
(
つ
)
くのが
彼男
(
あのをとこ
)
の
勤務
(
つとめ
)
なんださうだ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
日も
入相
(
いりあひ
)
のその頃は
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
言込
(
いひこみ
)
下されよとは言聞が如き
體
(
てい
)
では支度の程も
覺束
(
おぼつか
)
なければ夫等は一
式
(
しき
)
此方で致して
遣
(
やつ
)
て
苦
(
くるし
)
くなき故此儀も心得給ひねと
一個子
(
ひとりこ
)
だけに子に
甘
(
あま
)
き親は
言葉
(
ことば
)
も
行屆
(
ゆきとゞ
)
き落なく言れて忠兵衞が是も一つの安心と
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
し
店
(
みせ
)
の方へ行しに頃は春の日もやゝ
暮初
(
くれそめ
)
て石町の
入相
(
いりあひ
)
の
鐘
(
かね
)
響
(
ひゞ
)
きけり斯て
管伴
(
ばんたう
)
忠兵衞は此
婚姻
(
こんいん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
入
常用漢字
小1
部首:⼊
2画
相
常用漢字
小3
部首:⽬
9画
“入相”で始まる語句
入相頃