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兇器
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きょうき
ふりがな文庫
“
兇器
(
きょうき
)” の例文
勿論、
兇器
(
きょうき
)
は離さない。
上
(
うわ
)
の
空
(
そら
)
の足が
躍
(
おど
)
つて、ともすれば局の袴に
躓
(
つまず
)
かうとする
状
(
さま
)
は、
燃立
(
もえた
)
つ
躑躅
(
つつじ
)
の花の
裡
(
うち
)
に、
鼬
(
いたち
)
が狂ふやうである。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
人間を傷つけるに
兇器
(
きょうき
)
にこと
欠
(
か
)
いたのかはしらぬが、歯をもって
咬
(
か
)
み殺すとは何ごとであるか。まるで
獣
(
けもの
)
のような殺し方である。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかしこういう立派な心の歌もです、強盗をする場合に用いますとその歌は
兇器
(
きょうき
)
となりその人は大悪人とならざるを得ない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
かれの姿を、現代と昔との二面鏡にとらえてみても、彼の剣が単なる
兇器
(
きょうき
)
でないことは誰にも分ることとおもう。
宮本武蔵:01 序、はしがき
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
突っ立ったまま腕を水平に
洋袴
(
ズボン
)
ポケット
上衣
(
うわぎ
)
、伯爵は身体を探らせている。別に
兇器
(
きょうき
)
を帯びている気配もない。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
それ燕王は叔父たりと
雖
(
いえど
)
も、既に爵を削られて庶人たり、庶人にして
兇器
(
きょうき
)
を
弄
(
ろう
)
し王師に抗す、其罪
本
(
もと
)
より
誅戮
(
ちゅうりく
)
に当る。
然
(
しか
)
るに
是
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
きの令を出征の将士に下す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こっちはクサリ鎌も、
斧
(
おの
)
も、ピストルも、何ひとつ
兇器
(
きょうき
)
をもっているわけではないし、愛想わらいをまで浮かべているのだが、それでもやはり強盗あつかいにされるのだ。
嫁入り支度
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
まず屍体をずたずたに斬ったのち、彼はどこへ行って手や
兇器
(
きょうき
)
を洗うか。いかにしてその血だらけの着衣を始末するか。
何人
(
なんぴと
)
が彼を
庇護
(
ひご
)
してそれらの
便宜
(
べんぎ
)
を提供しているか。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
文明開国の世の中に
難有
(
ありがた
)
そうに
兇器
(
きょうき
)
を腰にして居る奴は馬鹿だ、その刀の長いほど大馬鹿であるから、武家の刀は
之
(
これ
)
を名けて馬鹿メートルと
云
(
い
)
うが好かろうなどゝ放言して居れば
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
兇器
(
きょうき
)
を抜いた浪人者が横行したり、貧窮組が出来たり、この末世はどうなって行くことかと市民が心配していること、それゆえ
滅多
(
めった
)
に外出はできないこと、附近に薩州を初め内藤家
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ことに不思議なるは同人の頸部なる
創
(
きず
)
にして、こはその際
兇器
(
きょうき
)
にて
傷
(
きずつ
)
けられたるものにあらず、全く日清戦争中戦場にて負いたる創口が、
再
(
ふたたび
)
、破れたるものにして、実見者の談によれば
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのうちに、彼は、ある日、はしなくも、卑劣な一上級生によって、忍びがたい侮辱を加えられ、ついに
敢然
(
かんぜん
)
として立ちあがることになった。この時、彼は、彼の手に小さな
兇器
(
きょうき
)
をさえ握っていた。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「
兇器
(
きょうき
)
は例の
釵
(
かんざし
)
で心臓を一と突きだそうです」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「そうです。うまく撮ったつもりです。——だが閣下は殺害されました。
兇器
(
きょうき
)
は鍼で、同じように延髄を刺しつらぬいています」
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これ悪漢が持てりし
兇器
(
きょうき
)
なるが、渠らは白糸を
手籠
(
てご
)
めにせしとき、かれこれ
悶着
(
もんちゃく
)
の間に取り
遺
(
おと
)
せしを、忘れて捨て行きたるなり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兇器
(
きょうき
)
を振るって死に至るまで決闘を続けなければならなかったのか、思い当るところがさらにないと、両氏を知る交遊関係は異口同音に、当惑し切っている。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかし、それにも
訓
(
おし
)
えられて、彼の奉じる「剣」は乱世の
兇器
(
きょうき
)
から、平和を守る愛の剣へと変って行った。権力と武力ばかりをかざす器具に、人間本能を自戒する大切な「道」をもたせた。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おお! こりゃ
兇器
(
きょうき
)
で
殺
(
や
)
られてる。みんな傍へ寄っちゃいかん! 大変だ。君、急いで手配をして見張って
呉
(
く
)
れ
給
(
たま
)
え!」
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
兇器
(
きょうき
)
が手を離るゝのを
視
(
み
)
て、局は
渠
(
かれ
)
が
煙草入
(
たばこいれ
)
を探す
隙
(
すき
)
に、そと身を起して、
飜然
(
ひらり
)
と一段、天井の雲に
紛
(
まぎ
)
るゝ如く、廊下に
袴
(
はかま
)
の
裙
(
すそ
)
が
捌
(
さば
)
けたと思ふと、
武士
(
さむらい
)
は
武
(
む
)
しや
振
(
ぶ
)
りつくやうに
追縋
(
おいすが
)
つた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
同判事宅に
逗留
(
とうりゅう
)
中の、同じく東京高等裁判所判事井沢孝雄氏(四十六歳)と判明、前後の事情より推して、二、三日前両氏は、ひそかに人なき孤島に上陸、
兇器
(
きょうき
)
をもって互いに
斬
(
き
)
り結び
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「もう一度、この部屋をねん入りに
捜査
(
そうさ
)
してくれたまえ。
兇器
(
きょうき
)
、
指紋
(
しもん
)
、
証拠物件
(
しょうこぶっけん
)
、死者の特別の事情に関する物件など、よくさがしてくれたまえ」
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「博士、御来客です。
醤買石閣下
(
しょうかいせきかっか
)
の
密使
(
みっし
)
だそうです。はい、只今、X線で、身体をしらべてみましたが、何も
兇器
(
きょうき
)
は所持して居りません。どういたしますか」
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「いや、大まじめで、あなたのご意見をうかがっているのです。……そしてその恐るべき
兇器
(
きょうき
)
は人目にもはいらない速さで、遠くへ飛んでいってしまう……」
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
被害者宮川のうしろから忍びよって
兇器
(
きょうき
)
をふるったことを、こんどははっきりした語調でのべました
脳の中の麗人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
七頭のニシキヘビは貴方の研究材料であると共に、貴重な
兇器
(
きょうき
)
を生むものだった。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「お三根さんがそのような
兇器
(
きょうき
)
で殺されたばかりでなく、きょうここへきたわれわれの仲間がふたりまで、その同じ凶器によって重傷を
負
(
お
)
っているのです。これでもおとぎばなしでしょうか」
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“兇器”の意味
《名詞》
兇 器 (きょうき 「凶器」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
刀剣などの人を殺傷するために用いられる道具。
(出典:Wiktionary)
“兇器(
凶器
)”の解説
凶器(きょうき、兇器、英語: Aweapon)とは、ヒトの生命・身体に危害を与え、殺害や傷害のために用いられる道具の総称。主に刃物や銃など。
(出典:Wikipedia)
兇
漢検準1級
部首:⼉
6画
器
常用漢字
小4
部首:⼝
15画
“兇”で始まる語句
兇暴
兇状持
兇悪
兇賊
兇漢
兇状
兇行
兇刃
兇変
兇徒