そなへ)” の例文
井戸は小屋をかけかはやは雪中其物をになはしむべきそなへをなす。雪中には一てん野菜やさいもなければ家内かない人数にんずにしたがひて、雪中の食料しよくれうたくはふ。
煙草盆たばこぼんかうかをりのみして、にいまだ人影ひとかげなきとき瀧君たきくん光景くわうけいは、眞田さなだ六文錢ろくもんせん伏勢ふせぜいごとく、諸葛亮しよかつりやう八門遁甲はちもんとんかふそなへる。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼は逐はれて後チェーザレに説き、人そなへ成りてなほためらはゞ必ず損害そこなひをうくといひてその疑ひを鎭めしことありきといふ 九七—九九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
耐忍たへしのびて田原町に到りけるに見世には客有りて混雜こんざつの樣子なれば裏へ廻りて勝手口よりひそか差覗さしのぞくに今日は餅搗もちつきと見えてそなへを取もあれば熨斗のしを延もあり或はなます
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし、直助にも違算がありました。往來へ飛降りる同時に、身體のそなへもきまらぬところへ
で、武芝は返還をせまると、かへつて干戈かんくわそなへをしてぐわんとして聴かず、暴を以て傲つた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
やはかゆるがむ此のそなへ
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
永遠とこしへに治め給ふみかどは、かのおぼつかなき軍人いくさびと等の爲に、かれらの徳によるにあらでたゞ己が恩惠めぐみによりてそなへをなし 四〇—四二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
里言さとことばにこれを雁の総立そうだちといふ。雁のそなへある事軍陣ぐんぢんごとし、とりになき事也、他国の雁もしかならん。田舎人ゐなかうどにはめづらしからねど都会とくわいの人の話柄はなしぐさにいへり。
守らせおきの方は船手ふなてへ申付深川新地しんちより品川おき迄御船手ふなてにて取切御そなへの御船は沖中おきなかへ押出し其外鯨船げいせん數艘すそうを用意し嚴重げんぢうこそそなへける然ば次右衞門は桐棒きりぼう駕籠かごに打乘若徒わかたう兩人長柄ながえ草履ざうり取を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
平次もそなへを立て直す氣になりました。事件は容易ならぬ形相を持つて居ります。
はたこは我等の全く悟る能はざる福祉さいはひのためいと深き聖旨みむねの奧に汝の設けたまふそなへなるか 一二一—一二三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)