-
トップ
>
-
今迄
>
-
いまゝで
私は
今迄、
朝鮮猫が
始終齒を
露出して
居るなんて
事を
些とも
知りませんでした、
眞個に
知らずに
居ましたわ、
猫が
齒を
露出すなんて
事を
『あゝ、
今迄何の
音沙汰も
無いのは、
稻妻も
途中で
死んでしまつたのでせう。』と、
日出雄少年は
悄然として、
武村兵曹の
顏を
眺めた。
因で、
今迄は
毎月三銭かの
会費であつたのが、
俄に十
銭と
引上げて、四六
版三十二
頁許の
雑誌を
拵へる
計画で、
猶広く社員を
募集したところ、
稍百
名許を
得たのでした
此時今迄は
晴朗であつた
大空は、
見る/\
内に
西の
方から
曇つて
來て、
熱帶地方で
有名な
驟雨が、
車軸を
流すやうに
降つて
來た。
屹度玉ちやんは
世界中で一
番良い
猫に
違ひないわ!おゥ
可愛い
玉ちやん!
私は
今迄のやうに
始終お
前の
傍に
居られるかしら!
私と
武村兵曹とは
今迄の
喜悦も
何處へやら、
驚愕と
憂慮とのために、
全く
顏色を
失つた。
今一息といふ
間際になつて、
此異變は
何事であらう。
最初愛ちやんは
下を
見、それから
今迄の
事を
知らうとしましたが、
眞暗で
何一つ
見えませんでした。
乃で
愛ちやんは
井戸の四
方を
見て、
其處が
蠅帳や
棚で一ぱいになつてることを
知りました。