トップ
>
一隅
>
ひとすみ
ふりがな文庫
“
一隅
(
ひとすみ
)” の例文
豆はその中から断えず下へ落ちて行って、平たく引割られるのだそうだ。時々どさっと音がして、三階の
一隅
(
ひとすみ
)
に新しい砂山ができる。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、にんじんとしては、牛乳一杯しか出さないことにしてある。彼は茶碗を
一隅
(
ひとすみ
)
に置き、猫を押しやって、そしていった——
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
様子ではどうせ見込みのない女だと思っていても、どこか心の
一隅
(
ひとすみ
)
から吉弥を可愛がってやれという命令がくだるようだ。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
関
(
かか
)
り合いになるまいと、船の
一隅
(
ひとすみ
)
へかたまって縮み上がっていた乗合客は、彼らの狼狽ぶりに、
硬
(
こわ
)
ばっていた神経のどこかを
擽
(
くす
)
ぐられたが、誰もくすりとも声を出さなかった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つつましやかな氣持で
甲板
(
かんぱん
)
の
一隅
(
ひとすみ
)
にぢつと
佇
(
たゝず
)
みながら、今まで心の中に持つてゐた、人間的なあらゆる
醜
(
みにく
)
さ、
濁
(
にご
)
り、曇り、
卑
(
いや
)
しさ、暗さを
跡方
(
あとかた
)
もなくふきぬぐはれてしまつたやうな
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
▼ もっと見る
そして、店の
一隅
(
ひとすみ
)
に、さっき立花先生がもちこんだ、あの
大花瓶
(
だいかびん
)
もおいてあった。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
庭は
一隅
(
ひとすみ
)
の
梧桐
(
あおぎり
)
の繁みから次第に暮れて来て、ひょろ
松
(
まつ
)
檜葉
(
ひば
)
などに
滴
(
したた
)
る
水珠
(
みずたま
)
は夕立の後かと
見紛
(
みまご
)
うばかりで、その
濡色
(
ぬれいろ
)
に夕月の光の薄く映ずるのは何とも
云
(
い
)
えぬすがすがしさを
添
(
そ
)
えている。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
先
(
さき
)
に——七
里半
(
りはん
)
の
峠
(
たうげ
)
を
越
(
こ
)
さうとして
下
(
お
)
りた
一見
(
いつけん
)
の
知己
(
ちき
)
が
居
(
ゐ
)
た、
椅子
(
いす
)
の
間
(
あひだ
)
を
向
(
むか
)
うへ
隔
(
へだ
)
てて、
彼
(
かれ
)
と
同
(
おな
)
じ
側
(
かは
)
の
一隅
(
ひとすみ
)
に、
薄青
(
うすあを
)
い
天鵝絨
(
びろうど
)
の
凭掛
(
よりかゝり
)
を
枕
(
まくら
)
にして、
隧道
(
トンネル
)
を
越
(
こ
)
す
以前
(
いぜん
)
から、
夜
(
よる
)
の
底
(
そこ
)
に
沈
(
しづ
)
んだやうに
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
曠野
(
ひろの
)
なる蒙古の
築地
(
ついぢ
)
一隅
(
ひとすみ
)
に物見つくれど見んものは無し
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
つれなき壁の
一隅
(
ひとすみ
)
を
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
兄弟は
寛
(
くつ
)
ろいで
膳
(
ぜん
)
についた。御米も遠慮なく食卓の
一隅
(
ひとすみ
)
を
領
(
りょう
)
した。宗助も小六も
猪口
(
ちょく
)
を二三杯ずつ干した。飯にかかる前に、宗助は笑いながら
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
兄弟
(
きやうだい
)
は
寛
(
くつ
)
ろいで
膳
(
ぜん
)
に
就
(
つ
)
いた。
御米
(
およね
)
も
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
食卓
(
しよくたく
)
の
一隅
(
ひとすみ
)
を
領
(
りやう
)
した。
宗助
(
そうすけ
)
も
小六
(
ころく
)
も
猪口
(
ちよく
)
を二三
杯
(
ばい
)
づゝ
干
(
ほ
)
した。
飯
(
めし
)
に
掛
(
か
)
ゝる
前
(
まへ
)
に、
宗助
(
そうすけ
)
は
笑
(
わら
)
ひながら
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
土山の
一隅
(
ひとすみ
)
が少し欠けて、下の方に暗い穴が半分見える。その
天井
(
てんじょう
)
が厚さ六尺もあろうと云うセメントででき上っている。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
固
(
もと
)
より四階裏の
一隅
(
ひとすみ
)
だから広いはずはない。二三分かかると、見る所はなくなってしまった。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分はその
一隅
(
ひとすみ
)
にただ一人の知った顔を見出した。それは
伶人
(
れいじん
)
の姓をもった眼の大きい男であった。ある協会の主要な一員として、舞台の上で
巧
(
たくみ
)
にその大きな眼を利用する男であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“一隅”の意味
《名詞》
片側の隅。片隅。
ある見解や考え方
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
隅
常用漢字
中学
部首:⾩
12画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥