“とい”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トイ
語句割合
53.3%
25.2%
都尉3.0%
土肥3.0%
2.2%
2.2%
雨樋2.2%
1.5%
徒為1.5%
息吐1.5%
1.5%
1.5%
質問0.7%
刀伊0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ひとりの男が、長いといをつたって、だんだん下へおりてくるのです。この真夜中に、焼けビルの樋をはう男、じつにふしぎな光景です。
透明怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
お君は八五郎のといには答えず、廊下にヘタヘタと崩折くずおれてしまいました。内から応じたうめき声も、ついには絶えてしまった様子。
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
と、策を議して、北海ほっかい山東省さんとうしょう・寿光県)に急使を派し、孔子二十世の孫で泰山の都尉とい孔宙こうちゅうの子孔融こうゆうに援けを頼んだ。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただしこの県伊豆の東西の海岸におのおの一所ずつある土肥といは、これとは別物であろうと思う。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わけも申さずう申しては定めて道理の分らぬやつめと御軽侮おさげすみはずかしゅうはござりまするし、御慈悲深ければこそ縄までといて下さった方に御礼もよくは致さず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小山君夫婦が僕のために中川君同胞をといてその心を僕の方へ傾けしめたに違いない。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
雨樋といあふれるドシャ降りと、青光りの稲妻に障子をしめて、お綱はグッスリ枕についた……、しきい一重ひとえの隣には、宵に、お綱のなまめいたしゃくに酔った孫兵衛が、これもグーッと寝ついている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鍋へ牛乳を沸かして塩と砂糖とバターを入れて米利堅粉めりけんこかあるいはくずといてそれへ加えて汁をドロドロにした処を火から卸して玉子を入れてき廻すとかけ汁が出来る。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
一、壮大を好む者総ての物に大の字を附して無理に壮大ならしめんとするは往々徒為といに属す。その物已に小ならば大の字を附して大ならしむべし。大牡丹、大幟おおのぼり、大船、大家等の如し。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
凍る深夜の白い息吐といきが——そしてたちまちはげしい自棄の嘆きが荒く飛んで聴衆はほとんど腸を露出するまでに彼女の唄の句切りに切りさいなまれると
巴里の唄うたい (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
湯気の白くいっぱいにこもった中に、箱洋燈はこらんぷがボンヤリと暗くついていて、といから落ちる上がり水の音が高く聞こえた。湯殿ゆどのは掃除が行き届かぬので、気味悪くヌラヌラとすべる。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
わが発句の口吟こうぎん、もとより集にあむべき心とてもなかりしかば、書きもとどめず、年とともに大方おおかたは忘れはてしに、おりおり人のとい来りて、わがいなむをも聴かず、短冊色帋しきしなんどわるるものから
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
イヤしかしそなたの質問とい大分だいぶんわし領分外りょうぶんがい事柄ことがらわたってた。産土うぶすなのことなら、わしよりもそなたの指導役しどうやくほうくわしいであろう。
答『これはいかにも無理むり質問といじゃ。本来ほんらいこちらの世界せかい年齢ねんれいはないのじゃから……。が、人間にんげん年齢ねんれいなおしてたら、はっきりとはわからぬが、およそそ五六百年位ねんぐらいのところであろうか……。』
すなわちあまり熟睡をするなという意味としか思われぬので、私は直ちに元寇げんこう刀伊といの乱等の、昔の悲惨な記念かと空想していたのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)