雨樋とい)” の例文
火は、本丸のたちにも燃え移っていた。大廂おおびさし雨樋といはしる火のはやさといったらない。長政は、そのあたりをくぐって来る一隊の鉄甲てつかぶとをみとめて
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雨樋といあふれるドシャ降りと、青光りの稲妻に障子をしめて、お綱はグッスリ枕についた……、しきい一重ひとえの隣には、宵に、お綱のなまめいたしゃくに酔った孫兵衛が、これもグーッと寝ついている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大屋根の雨樋といをあふれる雨水が、軒に滝をなしている。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)