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しようかうぐち
私は
宙を
飛んで
船室の
方に
向つた。
昇降口のほとり、
出逢ひがしらに、
下方から
昇つて
來たのは、
夫人と
少年とであつた。
五
分間停車と
聞いて、
昇降口を、
峠の
棧橋のやうな、
雲に
近い、
夕月のしら/″\とあるプラツトフオームへ
下りた
一人旅の
旅客が、
恍惚とした
顏をして
訪ねた
時、
立會せた
驛員は、……
恁う
答へた。
火夫、
船丁等の
周章狼狽は
言ふ
迄もない、
其内に
乘客も
※半睡眠より
醒めて、
何事ぞと
甲板に
走り
出でんとするを、
邪魔だ/\と
昇降口の
邊より
追返さんと
嘈く二三
船員の
聲も
聽える。
其の
臭さと
云つては、
昇降口の
其方の
端から、
洗面所を
盾にした、いま
此方の
端まで、むツと
鼻を
衝いて
臭つて
來る。
番町が、
又大袈裟な、と
第一近所で
笑ふだらうが、いや、
眞個だと
思つて
下さい。
前檣と
後檣との
間を四五
回も
往復する
内に
其惡感も
次第/\に
薄らいで
來たので、
最早船室に
歸つて
睡眠せんと、
歩む
足は
今や
昇降口を一
段降つた
時、
私は
不意に一
種異樣の
響を
聽いた。