りゅう)” の例文
新字:
その辺はりゅうひげなぞの深い草叢くさむらをなして、青い中に点々とした濃い緑が一層あたりを憂鬱ゆううつなくらいに見せているところである。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これは私の住んでいる五台山のりゅうだ。五百の小龍のうちで其の一つが行くえ不明になったので、三年前から探していたのだ。
頭は剃りこぼちても、まだ遠藤盛遠の血は、こんなふうに深淵しんえんりゅうのごとき本性を喪失そうしつしていないのである。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
アラ、御存知ありませんの。うちりゅうちゃんがピッタリ予言しましたのよ。事件の二日前の晩でした。突然トランスになって、誰か女の人がむごたらしい死に方を
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
また字を書いたのでは、わし獅子ししとらりゅう、嵐、魚、鶴、などと大体凧おおだこの絵や字は定まっている。
凧の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
年郎としろうくんのあたらしいりゅうのたこは、たびたび一ばんだことなって、大空おおぞらからみんなのたこを見下みおろろしましたが、まえにたびたび一ばんだことなった六かくだこは、どうしたのか
西洋だこと六角だこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
先年せんねんあなたのおくに太子たいしあおりゅうくるまって、五百にん家来けらいしたがえて、はるばるひがしほうからくもの上をはしっておいでになって、ふる法華経ほけきょうの一かんっておいでになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
蓮華れんげじい鹿島槍かしまやり、五りゅう……とのびて、はるか北、白馬しろうまやりにいたるまで、折からの朝日を受けて桜色というか薔薇色というか、澄み切った空にクッキリと聳えているではないか。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
「辰? ほう、いい干支えとだ。おれは、の年だから、蛇を入れたが、兄ちゃんなら、ピシャリ、りゅうだなあ。彫りあがったら、惚れぼれするぞ。おれのは、こんなに、汚ねえが……」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
長三角形の板へ指してその側面から二頭ののぼりゅうが上って行くところの飾物です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「南海のりゅう、衰えたよ」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
蛟はりゅうのたぐいである。かれらにはそれぞれのあざなをあたえて、大を当洪とうこうといい、次を破阻はそといい、次を撲岸ぼくがんと呼んだ。
りゅううそぶきとらえるありさま、ややしばらく、人まぜもせず、石火せっかの秘術をつくし合ったが、すきをみて、走りよった伊那丸いなまるが、陣刀一せん、又八の片腕サッと斬りおとす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一つの白いりゅうが渭水から出て来て、仏殿の軒にとどまって、それから更に東をさして行くのである。
九度山の伝心月叟でんしんげっそうこと——真田幸村さなだゆきむらこそは油断のならぬおとこである。あれをこそ、まことの曲者くせものとはいうべきだろう。いつ風雲によって、どう変じるかも知れぬ惑星だ。深淵しんえんりゅうだ。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき早く、ふたたび民部の采配が、りゅうを呼ぶごとくさっとうごいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きょう、二りゅう山下さんかに出会い、その後の花和尚かおしょう魯智深ろちしんがこと
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
りゅうさん」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)