風邪ふうじや)” の例文
過しけるが或時喜内は不※ふと風邪ふうじやをかされてふしたるに追々熱氣強く十日餘りも床に着ければ其間若黨二人一夜代り/\に次の間へ打臥うちふし夜中の藥を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
現時げんじひとよりうらやまるゝほど健康けんかうたもれども、壯年さうねんころまでは體質たいしついたつてよわく、頭痛づつうなやまされ、み、しば/\風邪ふうじやをかされ、えずやまひためくるしめり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
しづかな境内けいだい入口いりくちつたかれは、はじめて風邪ふうじや意識いしきする場合ばあひ一種いつしゆ惡寒さむけもよほした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
暑気はなはだし。再び鎌倉に遊ばんかなどとも思ふ。薄暮はくぼより悪寒をかん。検温器を用ふれば八度六分の熱あり。下島しもじま先生の来診らいしんを乞ふ。流行性感冒のよし。母、伯母をば、妻、児等こら、皆多少風邪ふうじやの気味あり。
口惜くちをしげに相手あひてにらみしこともありしがそれは無心むしんむかしなり性來せいらい虚弱きよじやくとて假初かりそめ風邪ふうじやにも十日とをか廿日はつか新田につた訪問はうもんおこたれば彼處かしこにもまた一人ひとり病人びやうにん心配しんぱい食事しよくじすゝまず稽古けいこごとにきもせぬとか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
風邪ふうじやあとで持病の疝痛せんつう痔疾ぢしつが起りまして、行歩ぎやうほかなひませぬ。」
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
付ざればもらうて呉る人もなし又もらちゝに行度にも初めの程は機嫌能きげんよくのませて呉し家にても今日は用事で他行たぎやうせり今朝けさから風邪ふうじや心地こゝちにてちゝの出樣も少なく成うちの子にさへ飮足らねば御氣の毒だとことわりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)