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ふうじや
暑気
甚し。再び鎌倉に遊ばんかなどとも思ふ。
薄暮より
悪寒。検温器を用ふれば八度六分の熱あり。
下島先生の
来診を乞ふ。流行性感冒のよし。母、
伯母、妻、
児等、皆多少
風邪の気味あり。
口惜しげに
相手を
睨みしこともありしがそれは
無心の
昔なり
我れ
性來の
虚弱とて
假初の
風邪にも
十日廿日新田の
訪問懈れば
彼處にも
亦一人の
病人心配に
食事も
進まず
稽古ごとに
行きもせぬとか
「
風邪の
跡で持病の
疝痛痔疾が起りまして、
行歩が
愜ひませぬ。」