ねげ)” の例文
引渡されて結構でごぜえます、眼のあいたお奉行様におねげえ申して、長吉、長太の野郎をかえしていただきましょう、長吉、長太を
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
じゃアまアわっしと一緒においでなさい、どうせ彼方あっちへ帰るんですからお連れ申しましょう、其の代りお嬢様に少しおねげえがあるんでげす
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お引き止め申して相済みません。実は、烏滸おこがましゅうございますが、さるお人に代って、おねげえ申したいことがあるんでごぜえます」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
解ったかい、石原の、おねげえだから、その縄を解いて俺に渡してくれ。あの悪戯者いたずらもの誘拐かどわかしの悪者は、俺がキッと探し出して、お前の手柄にさしてやる
ねげさいの河原に接して大野亀という亀の形をした孤丘が海に突出している。船路の目標でもあれば、帆前船の変り目にもなるために、しばしば船方の唄の中に歌われている。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
っておくんなさいよ、飲み過ぎてせつねえんで、助けておくんなさい、おねげえだ。)
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「へえ、千代千兵衛と申しますだ。どうぞハアこれからはお心易く、ねげえてえものでごぜえます」田舎者はこういうと、一向平気で頭を下げた。きもが太いのか白痴ばかなのか、にわかに判断がつき兼ねた。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「あのムクが帰りましたそうでございますが、どうか、さきほどおねげえ申した通り、ムクをお借り申してえんでございます」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
舁夫「御冗談仰しゃらずに、おねげえですから、ホンの飲代のみしろが有れば宜いんです、何うせけえるんですからお安くやりやしょう」
お見かけ申しておねげえがごぜえます。この村の者でがすが、今向うへ行く三人連れの侍がありますだ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雨露しのぐ軒はまだしも、堂やしろの縁の下、石材いしや、材木と一所にのたっている宿なし同然な身の上だで、御挨拶も手続も何も出来ねえですで、そこでもって直訴だでね、生命がけでねげえてえだな。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しの「左様でごぜえますか、始めましてお目にかゝります、わたくしは矢切村のおしのと云うやくざ婆アでござえますが、幾久しくお心安くねげえます」
「お前さんのお頼みは、あとで必ず果して上げますから、その前に、わしがこのまげっぷしを、切るなり、坊主にするなりしておもらい申して、それからの上にねげえてえんです」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
息のとまるまでもおねげえだよ。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
市「えゝ殿さま、今日わし貴方あんたに折入ってねげえがあってめえりやしたが、貴方何うかお庭で剣術ウ教えて下せえな」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうぞおてやわらかにねげえてえものでがんす、借物ですからね、こう見えても、この烏帽子えぼし直垂ひたたれは、土地の神主様からの借物でげすから——自分のものなら質の値が下ってもかまわねえけれど
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
どうかおねげえでがんすから命だけは助けて下さい、殺されて仕まっちゃアわしい義理あるいえへ恩返しをする事が出来やせん、わしはこれから江戸へ出て辛抱して
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
急にこのお屋敷をおいとま申す気にはなれねえでいるところでございます、新屋を一つ建てろとおっしゃって下さることは、直ぐにここで御返事ができます、どうかそうさせていただくことにねげえます。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
親が手を突いて頼むが、何うかまア他家ほかさまならねげにくいが、此方こちらさまだから悪くもして下さるめえから、此方さまへ奉公して、二年か三年辛抱してくれゝば
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そう左様しからばで口をきかれると強気ごうぎと困るんですが、末永く何分お心安くねげえます……えゝお嬢さん此方こっちへお這入んなせえ、お嬢さんはお連れ申しましたが
それに願掛がんがけが利くだねえ、亭主が道楽ぶって他の女にはまってうちけえらぬ時は、女房が心配しんぺえして、何うか手の切れる様にねげえますと願掛すると利くてえ、妙なもので
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
誠に、へい何時いつの間に大事な他人に預かった金もある包を盗まれましたか、何うも風呂敷の縞柄しまがらといい木札が附いて似て居るもんなで、何卒どうぞ御勘弁をはアねげえます。
作「是はまず/\お手をお上げなすって、まず/\、それではうも、エヽ石田作右衞門と申して至って不調法者で、お見知り置かれやして、此ののち御別懇ごべっこんねげえます」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
○「其処そこまで遣って止すてえ事はありません、おねげえだからあとを話しておくんなせえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あとでまた気の静まるときに意見をすれば聴入れてくれる人でござりますから、何うか若し参りましたらば、何卒どうぞあんた逆らわずに柳に受けてお置き下さるようにおねげえ申してえもので
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
權「若旦那様、まゝお待ちなせえまし、貴方あんたう仰しゃって下されば、權六は今首を打斬ぶっきられても名僧智識の引導より有難く受けます、何卒どうぞねげえでごぜえますからわしが首を……」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「わし悪いでがんすから、叔父さんおっかさんに詫言わびごとして下せえ、おねげえでんすから」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宿屋てえもなアいやはやずるいもんでしてね、三四御逗留をねげえてえもんだから、あんな事を申しやす、私は此の辺を歩きます旅商人たびあきんどで、こゝらの船頭に幾干いくらも知った者がありやすから
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お久が居なけりゃア此方こっちも出て往っちまわアな、だからよう、己がわりいから連れて来て呉んな、ちゃんが悪いッて是から辛抱するから、え、おい、おねげえだ、己だってポカリとい目が出れば
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「分家へくって、これは何うも困りやしたなア、叔父さんは物堅ものがてえから、そんな事を聞かせたら怒って、わしい済みませんで出入でへいりも出来なくなりやんすから、どうか御勘弁をねげえてい」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
半「何だって外にわけえのが出来たからさ、おねげえだ己がいう事を聞いてくれ」
何う云う訳って……云えばなア老爺じいさま……訳は云えねえが置いて下すって無闇に剣術を教えて下せえまし……おめえも遠慮しちゃア駄目だから、旦那さまのお暇の時には一本ねげえますって
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
喜「あ痛い……誠に済みませんが、懐から落ちたゞから御勘弁をねげえます」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
半「どうかそんな事を云わずに一寸ちょっと明けておくんなせえ、おねげえだが」
何卒どうかまア早くけえってお出でなさる様にねげえもんで
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)