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音物
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いんもつ
ふりがな文庫
“
音物
(
いんもつ
)” の例文
世の中には、
呆痴
(
こけ
)
がいる。人へ
音物
(
いんもつ
)
をよこすに、餌を食わせたり、世話がやけたり、その上に、やがては死ぬと
極
(
きま
)
っている厄介物を
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これだけの
音物
(
いんもつ
)
を持つて來たんだ、安く扱つて貰ひ度くねえ——と言つた傲慢さが、獅子つ鼻の先にブラ下がつて居ります。
銭形平次捕物控:249 富士見の塔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いよいよ留守と決まったので、小坂部は中間に持たせて来た
音物
(
いんもつ
)
を縁の端に置き列べさせて、自分はそっと内へあがった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
公卿
(
くげ
)
、町人——総がかりで隠居隠居と、わしを持てはやし、さまざまな
音物
(
いんもつ
)
が、一日として新しく、わしの
庫
(
くら
)
を充たさぬということもないのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
禄高に応じた手土産
音物
(
いんもつ
)
を献上してのち、何かと儀式やかましい御機嫌伺いの挨拶をするのが面倒なところから、中の才覚達者なのが考えついて
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
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「
音物
(
いんもつ
)
はお贈りする人の心の、誠の現われでございますれば、眺めて快く受けて楽しいよろしきものにございます」
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、
音物
(
いんもつ
)
をやらなければ、贈り物をしなければうまくゆかない。このようなことを悟ったのでありますが、こういうことは全部、本国へ云い送っているのであります。
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
三栖庄からして巨口細鱗の鱸がとれたとて進献になると、先ずその一尾を東福寺の斎藤のもとにやった。富松庄の代官が土産を持って来ると、すぐにその一部を土岐への
音物
(
いんもつ
)
にした。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
八百兩にて
請出
(
うけいだ
)
し
嫁
(
よめ
)
となし
吉之助
(
きちのすけ
)
が
勘當
(
かんだう
)
をも免し
目出度
(
めでたく
)
夫婦
(
ふうふ
)
として喜八夫婦には
横山町
(
よこやまちやう
)
角屋敷
(
かどやしき
)
穀物店
(
こくものみせ
)
に三百兩
附
(
つけ
)
て
與
(
あた
)
へ家主
平兵衞
(
へいべゑ
)
へは
右
(
みぎ
)
横山町
(
よこやまちやう
)
地面
(
ぢめん
)
間口
(
まぐち
)
十
間
(
けん
)
奧行
(
おくゆき
)
十八
間
(
けん
)
の
怙劵
(
こけん
)
に
種々
(
いろ/\
)
音物
(
いんもつ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と、馳走した上、
音物
(
いんもつ
)
を贈って、さまざま
君前
(
くんぜん
)
を申しなだめて貰いもし、また、営中の形勢をも
問
(
と
)
い
訊
(
ただ
)
そうとしたのだが、飛騨守は、
袂
(
たもと
)
を払って
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
来れば人の及びもつかぬ
珍
(
めずら
)
かな
音物
(
いんもつ
)
を携え、召使にも愛想をこぼし、わけて登子を笑わすことに妙をえていた。で、大蔵の家中誰でも、彼を
目
(
もく
)
すに
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なるべく
音物
(
いんもつ
)
届けずに済むようと、気に入らぬ所業ばかり致すのでな、頂かぬものは即ち貸し分じゃ。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「伊豆殿、
私
(
わし
)
はこう思うので、
音物
(
いんもつ
)
は政治の活力だとな」こう云ったのは六十年輩の、長身、
痩躯
(
そうく
)
、童顔をした、威厳もあるが卑しさもあり、貫禄もあるが軽薄さもある
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
然
(
され
)
ば今日の
變事
(
へんじ
)
に付稻葉家に於ては大いに
心配
(
しんぱい
)
致され
取敢
(
とりあへ
)
ず日野殿の御
機嫌伺
(
きげんうかゞ
)
ひとして
家老
(
からう
)
の中を
遣
(
つか
)
はされんと城代稻葉
勘解由
(
かげゆ
)
を以て京都日野方へ參入致させ
種々
(
しゆ/″\
)
の
音物
(
いんもつ
)
山の如く贈られて今日の
變事
(
へんじ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一見、軽い
音物
(
いんもつ
)
のようだったが、その中の青
柚子
(
ゆず
)
一箇に刺してあった小刀を抜いてみたら、当時千金とも評価されていた名工後藤の秋草彫りの小
柄
(
づか
)
だった。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
音物
(
いんもつ
)
献上品
(
けんじょうひん
)
を出しおしみ勝ちな大名が通行の際は、雨の日風の日の差別なく、御陣屋前の川に糸を垂れてこれを待ちうけながら、魚と共に大名釣を催されるのが、しきたりだったために
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そこで、秀郷は、将来のため、また、その折にあずかって庇護をうけた右大臣忠平へ、かさねて、莫大な
音物
(
いんもつ
)
をたずさえて、はるばる上洛したわけであった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
王允
(
おういん
)
は、秘蔵の
黄金冠
(
おうごんかん
)
を、
七宝
(
しっぽう
)
をもって飾らせ、
音物
(
いんもつ
)
として、使者に持たせ、呂布の私邸へ贈り届けた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一行は
冷遇
(
れいぐう
)
を
喞
(
かこ
)
った。第一、柴田家からの沢山な
音物
(
いんもつ
)
にたいしても、目録を収めたきりで挨拶もない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
音物
(
いんもつ
)
を伝えたということなどからして、数正はよけいに、痛くもない腹をさぐられ勝ちであった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
外国への
音物
(
いんもつ
)
に領土の人間は用いないであろうにと、彼はそのとき左右の者に語ったが、若い黒人は、なかなか愛嬌者に見えたので、
御小人
(
おこびと
)
の中に預け、外出の時など
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ、いつもお珍しい贈り物をいただいて」と、郭汜夫人は、まず珍貴な
音物
(
いんもつ
)
の礼をいって
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういう
音物
(
いんもつ
)
に対しては、中味が何であろうと、極めて潔白な伝八郎は、すぐ眉をひそめて
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
役儀表は、主君忠房の
音物
(
いんもつ
)
をもたらして、福井の城主松平越前守のご機嫌伺いであった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、そこへ
広蓋
(
ひろぶた
)
に載せた
種々
(
くさぐさ
)
な
音物
(
いんもつ
)
に、一
嚢
(
のう
)
の砂金まで贈っていた。幕府内の有力な者が地方へ出れば、ところの地頭や守護は、あいさつとして、通例、こういう礼を執ってくる。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その数には入らない者でも、それらの者の
黄金色
(
こがねいろ
)
な世界を挙げて
羨望
(
せんぼう
)
した。武士すらその風潮にそまり、それと妥協しそれと
音物
(
いんもつ
)
のやりとりすることを、公然と表門からしていた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この鍋鶴は、
縁喜
(
えんぎ
)
がようない。支那では、不吉な鳥というそうだが、ほんとに不吉だぞよ。どこの大名か、この厄介者を
音物
(
いんもつ
)
に
担
(
かつ
)
ぎこんで来たのが、今年の正月の十四日じゃった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
北ノ庄の遠くから勝家が
鄭重
(
ていちょう
)
な使者と
音物
(
いんもつ
)
を
齎
(
もたら
)
して来たことにたいしては、それきり答礼もせず、書信も送らず、
柳
(
やな
)
ヶ
瀬
(
せ
)
役
(
えき
)
の
帰趨
(
きすう
)
が明らかになってから、却って、無沙汰の秀吉の方へ
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上洛者のたれかれを問わず、これを
奏聞
(
そうもん
)
に達して、それらの武門が望む
叙爵
(
じょしゃく
)
栄職
(
えいしょく
)
の名を
聴許
(
ちょうきょ
)
し、武家の
音物
(
いんもつ
)
や
黄白
(
こうはく
)
を収入とするのが、ともあれ、この人々の唯一な生きる道ではあった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠国の路を、数々の
音物
(
いんもつ
)
、心入れなことよ。
匠作
(
しょうさく
)
には、相かわらずかの。——云いわすれたが、故右府殿のお妹、久しゅう後家でおわしたお市
御料人
(
ごりょうにん
)
を先頃お室へ迎えられたそうな。めでとう存ずる。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
数正への
音物
(
いんもつ
)
もあった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
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音
音信
音色
音沙汰
音楽
音頭
音曲
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音羽
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