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離屋
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はなれ
ふりがな文庫
“
離屋
(
はなれ
)” の例文
「驚きましたよ、親分。手代の小半次が寮の
離屋
(
はなれ
)
に主人が殺されてゐると騷ぎ出したので、盃を投り出して飛んで行つて見ると——」
銭形平次捕物控:209 浮世絵の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
佐伯氏は、
茜
(
あかね
)
さんという、すごいような
端麗
(
たんれい
)
な顔をした妹さんと二人で
別棟
(
べつむね
)
の
離屋
(
はなれ
)
を借り切って、二階と
階下
(
した
)
に別れて住んでいる。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
行燈
(
あんどん
)
の
燈
(
ひ
)
で
草双紙
(
くさぞうし
)
のようなものを読んでいた。それは微熱をおぼえる初夏の
夜
(
よ
)
であった。そこは
母屋
(
おもや
)
と離れた
離屋
(
はなれ
)
の部屋であった。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
十一娘は泣いて
留
(
と
)
めて、
離屋
(
はなれ
)
におらした。そこで葬式の飾りにした道具を売って、それを生活費にあてたので、どうにか不自由がなかった。
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
彼は八畳と三畳との二室の
離屋
(
はなれ
)
を借りて、それを一軒の家みたいにして住んでいる。食事は一切うちの人がしてくれるし、身辺の面倒までみてくれる。
夢の図
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
ばたばたと、
母屋
(
おもや
)
から
離屋
(
はなれ
)
の
周
(
まわ
)
りを、そのとき、
旅籠
(
はたご
)
の雇人たちが三、四名駈けていた。亭主のすがたをここに見ると、一人の番頭が、あわてていった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奥には四畳半の
離屋
(
はなれ
)
があるので、急病人をそこへ運び込んで介抱していると、幸いに病人は正気に戻った。
影を踏まれた女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
並
(
なみ
)
の席より
尺余
(
しゃくよ
)
床
(
ゆか
)
を高くして置いた一室と
離屋
(
はなれ
)
の茶室の一間とに、家族十人の者は
二分
(
にぶん
)
して寝に就く事になった。幼ないもの共は茶室へ寝るのを非常に悦んだ。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
田舎から呼寄せられて
離屋
(
はなれ
)
に宿泊していた大工の
杢
(
もく
)
さんからも色々の話を聞かされたがこれにはずいぶん露骨な性的描写が
入交
(
いりま
)
じっていたが、重兵衛さんの場合には
重兵衛さんの一家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
梅や、
楓
(
かえで
)
や、青桐やの植込みの間を飛石伝いに
離屋
(
はなれ
)
の前へ立つと
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
「昨夜
亥刻
(
よつ
)
少し過ぎ(十時過ぎ)小僧の
乙松
(
おとまつ
)
が
離屋
(
はなれ
)
の前で嫁のお袖に逢つたさうですよ。月は良かつたし、間違ひはないつて言ふが」
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
岡本は一時間近くもお高の
室
(
へや
)
にいて引返して来た。
離屋
(
はなれ
)
には半ちゃんが酒を飲んでいる前に、あの
壮
(
わか
)
い男とお杉が小さくなって坐っていた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
……
離屋
(
はなれ
)
の悦二郎の書斎へでも行って見なさい。
懸巣
(
かけす
)
がいてね、それが、よく馴れて面白いことをする……光るものを投げてやると、
嘴
(
くちばし
)
でヒョイと受けるよ
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
往来から路地をはいって来て、ここの袋地内の畑や
離屋
(
はなれ
)
に、勝手がちがったらしくこう
呟
(
つぶや
)
いているのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奥には四畳半の
離屋
(
はなれ
)
があるので、急病人をそこへ運び込んで介抱してゐると、幸ひに病人は正気に戻つた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分等は
離屋
(
はなれ
)
にいたのでその騒ぎを翌日まで知らなかった。
海水浴
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「此處は
離屋
(
はなれ
)
で、誰も聽く筈はありません。娘も奉公人も
母屋
(
おもや
)
で、廊下を人が來ると直ぐ知れますよ。——一體どんな御用で、親分?」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
住職は六人の者を
離屋
(
はなれ
)
に隠して、
何人
(
だれ
)
にも知らせないようにと、飯時には握飯を拵えて
己
(
じぶん
)
でそれを持って往った。
八人みさきの話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
例の
旅籠屋
(
はたごや
)
である。石ころの多い坂の途中から、汚い長屋門の下を駈けぬけ、畑の奥の
離屋
(
はなれ
)
まで来ると
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庭下駄
(
にわげた
)
をはいて、三十歩も歩けば行かれる
離屋
(
はなれ
)
の書斎が、
雲煙万里
(
うんえんばんり
)
の向うにあるような気がする。
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
僅かに垣を隔てて建った林中の
庵
(
いおり
)
で、これが不思議なことに、下屋敷の中にある
離屋
(
はなれ
)
と一対になった、恰好と言い、場所の関係に
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
長谷川時雨女史
(
はせがわしぐれじょし
)
の実験談であるが、女史が
佃島
(
つくだじま
)
にいた
比
(
ころ
)
、
令妹
(
れいまい
)
の春子さんが腸チブスに
罹
(
かか
)
って
離屋
(
はなれ
)
の二階に寝ていたので、その
枕頭
(
まくらもと
)
につきっきりで看護していた。
疫病神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
植木屋を連れて、三人で近くの津村の
控邸
(
ひかえ
)
へ行くと、下町の
古舗
(
しにせ
)
の大旦那といった上品な老人が、巻帯に白足袋といった恰好で、
縁
(
えん
)
の落ちた数寄屋風の
離屋
(
はなれ
)
から出てきた。
蝶の絵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この
離屋
(
はなれ
)
は橋廊下をへだてて、二重壁となっている一見奇怪なからくり
普請
(
ぶしん
)
。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「子供の声で自働電話からかけて来たんです。それにしてもおかしいなア、兎に角
離屋
(
はなれ
)
を見せて下さい、まだ警官は来て居ないでしょう」
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平三郎は刀を持ったなりにすごすごと
離屋
(
はなれ
)
の
室
(
へや
)
へ帰って来た。帰りながらも不思議でたまらないから、若党のいる室へ往って将棋をやっていた二人を呼びだした。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ものの二十歩も歩いたと思ったら、もう
離屋
(
はなれ
)
の玄関へ行きついてしまった。
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
もう一つ、後で鶴吉の奉公人どもに訊くと、最初船から上がって、
離屋
(
はなれ
)
へ入った時、万三郎は羽織を着ていなかったと申します。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
崖の
離屋
(
はなれ
)
では三人の男が顔をあわしていた。三人のうちの一人は四十四五で、素肌へ茶の縦縞の薄い
丹前
(
たんぜん
)
を
被
(
き
)
ていたが、
面長
(
おもなが
)
の色の白い顔のどこかに
凄味
(
すごみ
)
があった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「それなら解つて居る。吊臺は邪魔になるから、——と言つて外へ置くわけにも行かず、お隣りの酒屋、森川屋の
離屋
(
はなれ
)
に預けてある筈だ」
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
木立の寂のある庭があって其の前に
離屋
(
はなれ
)
になった小さな草葺の簷が見えた。其処には遣水があってそれが木立の間から出て飛石を横切り、そして、また木立の中に隠れていた。
人面瘡物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「ここは
離屋
(
はなれ
)
で、誰も聴くはずはありません。娘も奉公人も
母屋
(
おもや
)
で、廊下を人が来るとすぐ知れますよ。——一体どんな御用で、親分?」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
広巳は
庖厨口
(
かってぐち
)
からゆるゆると出て往った。出口には車井戸があって
婢
(
じょちゅう
)
の一人が物を洗っていた。車井戸の向うには一軒の
離屋
(
はなれ
)
があった。それが広巳の
起臥
(
ねおき
)
している
室
(
へや
)
であった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「誰もこの
離屋
(
はなれ
)
には来ないことになっていますよ、
母屋
(
おもや
)
の方では、ちょうど晩飯の真っ最中のようだし、——おや、そこにいるのは誰だい」
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
別れていた捕卒はいつの間にかいっしょになって、最後の奥まった
離屋
(
はなれ
)
に往った。そこは一段高い室になって、一人の色の白い女が坐っていた。着物の赤や青の綺麗な色彩が見えた。
雷峯塔物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
もう一つ、後で
鶴吉
(
つるよし
)
の奉公人共に訊くと、最初船から上がつて、
離屋
(
はなれ
)
へ入つた時、萬三郎は羽織を着て居なかつたと申します。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
書生は
扉
(
ドア
)
を開けて出ようとしてふり返った。主翁も引きずられるように
跟
(
つ
)
いて往った。主翁は
庭前
(
にわさき
)
を歩いていた。庭には池の水が暗い中に
鼠
(
ねずみ
)
色に光っていた。池の
縁
(
へり
)
を廻ると
離屋
(
はなれ
)
の
縁側
(
えんがわ
)
になった。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
離屋
(
はなれ
)
の鍵は小栗がひそかに造って、秀子に与えたもの、ビンと一緒にその晩のうちに捨てる筈のを、さすがにあわてて果さなかったのです。
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは曲者——當夜
離屋
(
はなれ
)
を訪ねた怪しの男は主人丹右衞門を絞め殺した上、何んの目的で大骨を折つて長押に吊つたかといふことがその一つ。
銭形平次捕物控:209 浮世絵の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
庭下駄を突つかけて、
離屋
(
はなれ
)
までには五六間ありましたが、その間に物置の袖が出て居たり、生け垣が邪魔をしたり、なか/\の厄介な道です。
銭形平次捕物控:251 槍と焔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
視野を
遮
(
さへ
)
ぎるのは長崎屋の巨大な
棟
(
むね
)
、——その下には、百萬の富を護るために抱へて置くといふ、二人の浪人者の住んでゐる
離屋
(
はなれ
)
も見えます。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
吾妻屋へ旅装束のままで行った平次は、内外の様子を念入りに見た上、一人一人を呼び出して、
離屋
(
はなれ
)
の、二階で調べました。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
父が二階から降りると、その後から直ぐお若さんが降りましたが、それつきり何時まで經つても——降りて來ないので、私は
離屋
(
はなれ
)
へ歸りました
銭形平次捕物控:176 一番札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
土藏の蔭へ廻ると、もと
隱居
(
いんきよ
)
家に使つたといふ三間四方程の小さい
離屋
(
はなれ
)
があつて、半分開けたまゝの障子の隙間から、中の樣子はよく見えます。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へツ、見ちや居られませんよ、夜になるとあの生つ白い番頭野郎が、
離屋
(
はなれ
)
に入浸つて、ベタベタして居るさうで、へツ」
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尤も現場を見ると、一應
離屋
(
はなれ
)
の中に泊つた者の仕業のやうだが、耳の遠い女主人と、伜の專之助と、あの可愛らしいお筆ぢや疑ふ氣になれない。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「大變な奴だ、——棒一本で塀を越した上、
離屋
(
はなれ
)
の
庇
(
ひさし
)
に登つて、
忍返
(
しのびがへ
)
しを
除
(
よ
)
け/\此處まで來ると、欄間をコジ開けて音も立てずに入るとは——」
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香爐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いくら報道機敏でも、家の者が知らずに居るのに、密閉した
離屋
(
はなれ
)
で主人が死んで居るのを、新聞社が先に嗅ぎ付けると言うのはあり得ないことです。
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
離屋
(
はなれ
)
の一と間で、誰とも知れぬ者の手で、胸を一とゑぐり、聲も立てずに死んだのでせう。縁側に
崩折
(
くづを
)
れたまゝ、血汐の中に息が絶えて居りました。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一應金を受取つた後で、お篠さんが歸るとすぐ、その二百兩を持つて湯島の山名屋へ行き、案内知つた木戸を開けて、いきなり
離屋
(
はなれ
)
の戸を叩きました
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
離
常用漢字
中学
部首:⾫
19画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“離”で始まる語句
離
離室
離座敷
離縁
離家
離亭
離々
離別
離房
離反