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した
女ながらも心
男々しき
生質なれば大岡殿の
詞に
隨がひ私し苦界へ
沈し事は父が人手に掛り其上姉の身の代金も
奪はれしとの事を
さりとて
是れにも
隨がひがたきを、
何として
何にとせば
松野が
心の
迷ひも
覺め、
竹村の
君へ
我が
潔白をも
顯されん、
何方にまれ
憎くき
人一人あらば、
斯くまで
胸はなやまじを
隨がつてやかましくもあらう六づかしくもあろう
夫を
機嫌の
好い
樣にとゝのへて
行くが
妻の
役、
表面には
見えねど
世間の
奧樣といふ
人達の
何れも
面白くをかしき
中ばかりは
有るまじ
運よくは
萬の
身代十
萬に
延して
山梨縣の
多額納税と
銘うたんも
斗りがたけれど、
契りし
詞はあとの
湊に
殘して、
舟は
流れに
隨がひ
人は
世に
引かれて、
遠ざかりゆく
事千
里、二千
里、一萬
里
取りて
前の
世では
何でありしやら
兄弟にもなき
親切この
後とも
頼むぞや
是よりは
別しての
事何ごとも
汝の
異見に
隨がはん
最早今のやうな
事云ふまじければ
免してよと
詫らるゝも
勿体なく
待てば
甘露と申ますぞやと
輕るげに
云へど
義理は
重し
袖に
晴れ
間は