)” の例文
と思うと、どういう訳か、窓の外に降る雨脚あまあしまでが、急にまたあの大森の竹藪にしぶくような、寂しいざんざりの音を立て始めました。
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
藻掻いていると、確か女が来てから一週間目だったかと思う、朝からのビショビショりが昼過ても未だ止まない事があった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それでもまあ、んだ晩においでになりましたもので! ひどい荒れと吹きりじゃございませんか……。こんな道中を
まだ可なり吹きりの中を、お馨さんによくた十四五、十一二の少女が、片手に足駄をげ、頭から肩掛しょうるをかぶり、跣足はだしで小学校に出かけて行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
が、をりから、ざあ/\りにかぜ吹添ふきそつて、つぎ金屏風きんびやうぶ青味あをみびて、少々せう/\すゞしくぎた。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
言葉の終らないうちに、ゴウッ!——家棟やむね震動しんどうして、パラリ、屋根のどこかに音がしたかと思うと、冬の雨はあしが早い。早やつづけさまに軒をたたいて——本りだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
尾州の領分からは、千人もの人足が隣宿美濃落合おちあいのおしょ(継立ての場所)へ詰めることになって、ひどい吹きりの中を人馬共にあの峠の下へ着いたとの報知しらせもある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「何にしろ、あの吹きりに国境を見て来たんだからね。少々は変になるだろう。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
尼「吹掛ふっかりですから其処そこに立ってお出でゞはさぞお困りでございましょう、すぐ前に井戸もありまするから足を洗って此方こちらあがって、お茶でも飲みながら雨止をなすっていらっしゃいまし」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうもほんりになりましたね、おとっさん」
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
しやにお約束やくそく期限きげんはせまるし、……じつ十五夜めいげつまへばんあたり、仕事しごとにかゝらうとおもつたのである。ところが、あさからのりで、れると警報けいはう暴風雨ばうふううである。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
八幡樣はちまんさまうらわたようとおもつて、見當けんたう取違とりちがへて、あちらこちらうらとほるうちに、ざんざりにつてた、ところがね、格子かうしさきへつて、雨宿あまやどりをして、出窓でまどから
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
電燈でんとうえるし、どしやりだし、かぜはさわぐ、ねずみはれる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)