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退儀
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たいぎ
ふりがな文庫
“
退儀
(
たいぎ
)” の例文
翌朝
(
よくあさ
)
眼が
覚
(
さ
)
めると
硝子戸
(
ガラスど
)
に日が射している。たちまち文鳥に
餌
(
え
)
をやらなければならないなと思った。けれども起きるのが
退儀
(
たいぎ
)
であった。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人はいよいよ身を斜にして道を譲りながら、ふと見れば、乱れた島田の
髱
(
たぼ
)
に
怪
(
あや
)
し
気
(
げ
)
な
癖
(
くせ
)
のついたのもかまわず、歩くのさえ
退儀
(
たいぎ
)
らしい女の様子。矢田は
勿論
(
もちろん
)
の事。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ことに
今日
(
けふ
)
は
頭
(
あたま
)
の
具合
(
ぐあひ
)
が
好
(
よ
)
くないので、
膳
(
ぜん
)
に
向
(
むか
)
つても、
御米
(
およね
)
は
何時
(
いつ
)
もの
樣
(
やう
)
に
力
(
つと
)
めるのが
退儀
(
たいぎ
)
であつた。
力
(
つと
)
めて
失敗
(
しつぱい
)
するのは
猶
(
なほ
)
厭
(
いや
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
見す見す閑地の外を
迂廻
(
うかい
)
して赤羽根の川端まで出て見るのも
業腹
(
ごうはら
)
だし、そうかといって通過ぎた酒屋の角まで立戻って坂を登り閑地の裏手へ廻って見るのも
退儀
(
たいぎ
)
である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ことに今日は頭の具合が好くないので、膳に向っても、御米はいつものように
力
(
つと
)
めるのが
退儀
(
たいぎ
)
であった。
力
(
つと
)
めて失敗するのはなお
厭
(
いや
)
であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「おじさん、おそいねえ。あたい、ペコペコだよ。」と叱りつけるような鋭い調子で言ったが、爺さんは別に返事もせず、やはり
退儀
(
たいぎ
)
そうな、のろまな
手付
(
てつき
)
で岡持の
蓋
(
ふた
)
をあけ
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
身体
(
からだ
)
を
拭
(
ふ
)
くさえ
退儀
(
たいぎ
)
だから、いい加減にして、
濡
(
ぬ
)
れたまま
上
(
あが
)
って、風呂場の戸を内から
開
(
あ
)
けると、また驚かされた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
慶応義塾のつとめもかくては日に日に
退儀
(
たいぎ
)
となりぬ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
数寄屋
(
すきや
)
橋で
乗
(
の
)
り
易
(
か
)
え様と思つて、
黒
(
くろ
)
い
路
(
みち
)
の
中
(
なか
)
に、待ち
合
(
あ
)
はしてゐると、小供を
負
(
おぶ
)
つた
神
(
かみ
)
さんが、
退儀
(
たいぎ
)
さうに
向
(
むかふ
)
から近
寄
(
よ
)
つて
来
(
き
)
た。電車は
向
(
むか
)
ふ
側
(
がは
)
を二三度
通
(
とほ
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
実は新聞を見るのも
退儀
(
たいぎ
)
なんだが、男がこれしきの事に
閉口
(
へこ
)
たれて仕様があるものかと無理に
腹這
(
はらば
)
いになって、
寝
(
ね
)
ながら、二頁を開けてみると
驚
(
おど
)
ろいた。昨日の喧嘩がちゃんと出ている。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
退儀
(
たいぎ
)
な
身體
(
からだ
)
を
無理
(
むり
)
に
動
(
うご
)
かす
割
(
わり
)
に、
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
は
少
(
すこ
)
しも
動
(
うご
)
いて
呉
(
く
)
れないので、
又
(
また
)
落膽
(
がつか
)
りして、ついには
取
(
と
)
り
放
(
はな
)
しの
夜具
(
やぐ
)
の
下
(
した
)
へ
潛
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
んで、
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
を
遠
(
とほ
)
ざける
樣
(
やう
)
に、
眼
(
め
)
を
堅
(
かた
)
く
閉
(
つぶ
)
つて
仕舞
(
しま
)
ふ
事
(
こと
)
もあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
退儀
(
たいぎ
)
な
身体
(
からだ
)
を無理に動かす割に、頭の中は少しも動いてくれないので、また
落胆
(
がっか
)
りして、ついには取り放しの夜具の下へ
潜
(
もぐ
)
り込んで、人の世を遠ざけるように、眼を堅く
閉
(
つぶ
)
ってしまう事もあった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ことによると口をきくのが
退儀
(
たいぎ
)
なのかも知れない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
とりますと、御湯に行くのも
退儀
(
たいぎ
)
になりましてね
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
退
常用漢字
小6
部首:⾡
9画
儀
常用漢字
中学
部首:⼈
15画
“退”で始まる語句
退
退屈
退治
退引
退出
退嬰
退潮
退却
退去
退散