車室しやしつ)” の例文
ゆめらすやうな、朦朧まうろうとした、車室しやしつゆかに、あかち、さつあをふさつて、湯気ゆげをふいて、ひら/\とえるのを凝然じつると、うも
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鐵檻てつおりくるま出入口でいりぐちは、不思議ふしぎにも車室しやしつ頂上てうじやうまうけられて、鐵梯てつていつたつて屋根やねから出入でいりするやうになつてる。
車が動き出して二分にふんも立つたらうと思ふ頃例の女はすうと立つて三四郎の横を通り越して車室しやしつそとへ出て行つた。此時女の帯の色が始めて三四郎の眼に這入はいつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
車室しやしつうちはさのみ不潔ふけつ人間計にんげんばかりではなかつたが、ミハイル、アウエリヤヌヰチはすぐ人々ひと/″\懇意こんいになつてたれにでもはなし仕掛しかけ、腰掛こしかけから腰掛こしかけまはあるいて、大聲おほごゑで、這麼不都合こんなふつがふきはま汽車きしやいとか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
車室しやしつからりたのは自分じぶん一人ひとりだつたかれに、海拔かいばつ二千じやくみねけるプラツトフオームは、あたかくもうへしつらへたしろ瑪瑙めなう棧敷さじきであるがごとおもはれたから、驛員えきゐんたいする挨拶あいさつ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、この冐險鐵車ぼうけんてつしや特色とくしよく水中すいちうほか如何いかなる險阻けんそみちでも進行しんかうぬといふことはなく、險山けんざんのぼるには通常つうじやう車輪しやりんほか六個ろくこ強堅きようけんなる齒輪車しりんしやと、車室しやしつ前方ぜんぽう裝置さうちされたる螺旋形らせんけい揚上機やうじやうき
どう/\となかを、がうとやまこだましてく。がらんとした、ふるびた萠黄もえぎ車室しやしつである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)