-
トップ
>
-
誰一人
>
-
たれひとり
だが、
入院するとしても、
誰一人入院料などを
持合してゐる
筈がないので、
施療患者を
扱ふ
病院へ
入れるより
仕方がなかつた。
私のように何も無い者は、生活に疲れて
路傍に倒れて居ても、
誰一人振向いて見ても呉れない。皆
素通して
匇々と行って了う。
恐ろしい
力があって、
世間から
怖がられている
一人の
魔女でしたから、
誰一人、
中へはいろうという
者はありませんでした。
其の
上、
主が
居て
住む、と
云ふて、
今以て
誰一人釣をするものはねえで、
鯉鮒の
多い
事。……
それから
数えてももうずいぶんの
星霜が
積ったであろう。一たん
神木となってからは、
勿体なくもこの
通り
幹の
周囲に
注連縄が
張りまわされ、
誰一人手さえ
触れようとせぬ。
二
年三
年は
夢の
間に
過ぎ、
未亡人の
操行に
關して
誰一人陰口を
利く
者もなかつた。
貧しくはあつたけれど
彼女の
家柄もよかつたので、
多少の
尊敬の
心持ちも
加へて
人々は
彼女を
信用した。
それにも
拘らず、
太鼓はどん/\
鳴つてゐます。それに
對して、なるほど
夜はだん/\
更けて
行くが、この
更けて
行く
夜を
惜しまない
人が、
誰一人としてあらうか、とかういふ
心持ちです。
幾回ものカンフル
注射が
施されて、
皆は
彼女の
身内の
者が、
一人でも
來てくれる
事を
待ち
望んでゐたが、
電報を
打つたにも
拘らず、
誰一人、たうとう
來なかつた。