トップ
>
襤褸
>
らんる
ふりがな文庫
“
襤褸
(
らんる
)” の例文
かくて一方には
大厦
(
たいか
)
高楼
(
こうろう
)
にあって黄金の杯に
葡萄
(
ぶどう
)
の美酒を盛る者あるに、他方には
襤褸
(
らんる
)
をまとうて門前に食を
乞
(
こ
)
う者あるがごとき
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
つまり彼は真白だと称する壁の上に汚い
種々
(
さまざま
)
な
汚点
(
しみ
)
を見出すよりも、投捨てられた
襤褸
(
らんる
)
の
片
(
きれ
)
にも美しい縫取りの残りを発見して喜ぶのだ。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
すなわち
錦緞
(
きんどん
)
・
綸子
(
りんず
)
・綾・錦等の精巧なる織物を製造したるは、これわが邦人民の
襤褸
(
らんる
)
さえ纏うあたわざるものありたればなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「君は計畫に疲れたと云ふが、疲れついでに、君」と、氷峰は義雄に、「いツそ、ずツと格を落して、札幌に
襤褸
(
らんる
)
會社を起して見たら、どうぢや?」
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
蓬頭垢面
(
ほうとうくめん
)
、
襤褸
(
らんる
)
を身に包み、妻子なく、家産なく、たゞ一ヶの
大桶
(
おほをけ
)
をコロガシ歩いて、
飄遊
(
へういう
)
風の如く、
其処
(
そこ
)
の花蔭、
此処
(
ここ
)
の樹下と、一夜一夜の宿りも定まらず。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
手を
拱
(
こま
)
ねきて蒼穹を察すれば、我れ「我」を
遺
(
わす
)
れて、
飄然
(
へうぜん
)
として、
襤褸
(
らんる
)
の如き「時」を脱するに似たり。
一夕観
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
大家族を有つならば、彼が出来るだけ努力しても、
襤褸
(
らんる
)
と赤貧と、及びその結果たる社会における堕落とから、彼らを救い得るということでさえ、確信し得るだろうか。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
自分は
汚
(
むさ
)
い色目も分らぬ
襤褸
(
らんる
)
を着て甘んじ、慾得ずくからの職業産業から得るのでない食物を食って足れりとし、他を排しおのれを護る住宅でもないところに身を安んじ
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
批評家は
之
(
これ
)
を読んで嘲笑し、読者は
呆
(
あき
)
れる。愚作家その
襤褸
(
らんる
)
の上に、更に一篇の醜作を附加し得た、というわけである。へまより出でて、へまに入るとは、まさに
之
(
こ
)
の
謂
(
い
)
いである。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
身には
襤褸
(
らんる
)
をまとい腰には縄の帯をしめ、醜穢をきわめていたものの、手に十字架を握り驢馬にまたがり、一度口をひらくや熱弁奔流の如くにほとばしり聞く者をして涙を流させ切歯扼腕させた。
ローマ法王と外交
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一個
(
ひとり
)
の
幼児
(
おさなご
)
を抱きたるが、
夜深
(
よふ
)
けの人目なきに心を許しけん、帯を解きてその幼児を膚に引き
緊
(
し
)
め、着たる
襤褸
(
らんる
)
の綿入れを
衾
(
ふすま
)
となして、少しにても多量の暖を与えんとせる、母の心はいかなるべき。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女史と相別れし
後
(
のち
)
、
妾
(
しょう
)
は
土倉
(
どくら
)
氏の学資を受くるの資格なきことを自覚し、職業に
貴賤
(
きせん
)
なし、
均
(
ひと
)
しく皆神聖なり、身には
襤褸
(
らんる
)
を
纏
(
まと
)
うとも心に
錦
(
にしき
)
の美を飾りつつ、
姑
(
しば
)
らく自活の道を立て、やがて
霹靂
(
へきれき
)
一声
(
いっせい
)
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
貧しい
襤褸
(
らんる
)
につつまれて 語られ終つたわびしい一つの物語り
駱駝の瘤にまたがつて
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
蓬頭垢面
(
ほうとうこうめん
)
身
(
み
)
に
襤褸
(
らんる
)
をまとい
薦
(
こも
)
を被り椀を手にして犬と共に人家の勝手口を徘徊して残飯を乞うもの近来漸くその跡を絶てり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ゴルチャコフのごとき実にその人なりといえども、もし
襤褸
(
らんる
)
を
纏
(
まと
)
うものをして体に適する新衣を
穿
(
うが
)
たしめ、半ばは土を食うの窮民に向かって肉を与え
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
綺錦
(
ききん
)
の人もあれば
襤褸
(
らんる
)
の人もある、冠りものをしてゐるのもあれば
露頂
(
ろちやう
)
のものもある。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
この
桶中哲人
(
ようちゆうてつじん
)
を思慕する事
甚
(
はなは
)
だ深く、一日彼を緑したゝる
月桂樹
(
ローレル
)
の下蔭に訪ふや、暖かき日光を浴びて桶中に
胡坐
(
こざ
)
し、彼は正に
其
(
その
)
襤褸
(
らんる
)
を取りひろげて
半風子
(
しらみ
)
を
指端
(
したん
)
に捻りつゝありき。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
開卷第一
(
かいかんだいゝち
)
に、
孤獨幽棲
(
こどくゆうせい
)
の
一少年
(
いつしようねん
)
を
紹介
(
しようかい
)
し、その
冷笑
(
れいしよう
)
と
其
(
その
)
怯懦
(
きようだ
)
を
寫
(
うつ
)
し、
更
(
さら
)
に
進
(
すゝ
)
んで
其
(
その
)
昏迷
(
こんめい
)
を
描
(
ゑが
)
く。
襤褸
(
らんる
)
を
纏
(
まと
)
ひたる
一大學生
(
いつだいがくせい
)
、
大道
(
だいどう
)
ひろしと
歩
(
あ
)
るきながら
知友
(
ちゆう
)
の
手前
(
てまへ
)
を
逃
(
に
)
げ
隱
(
かく
)
れする
段
(
だん
)
を
示
(
しめ
)
す。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
襤褸
(
らんる
)
の子ものかげに天をあふげり
駱駝の瘤にまたがつて
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
綺錦
(
ききん
)
の人もあれば
襤褸
(
らんる
)
の人もある、
冠
(
かぶ
)
りものをしているのもあれば
露頂
(
ろちょう
)
のものもある。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
其の旗の色とてもなき
襤褸
(
らんる
)
なりけり
花より雨に
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其の旗の色とてもなき
襤褸
(
らんる
)
なりけり
花より雨に
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
生ける
襤褸
(
らんる
)
をつたひて流る。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
襤
漢検1級
部首:⾐
19画
褸
漢検1級
部首:⾐
16画
“襤褸”で始まる語句
襤褸切
襤褸屑
襤褸片
襤褸布
襤褸錦
襤褸屋
襤褸布団
襤褸船
襤褸巾
襤褸市