さけ)” の例文
大なるは七八けん、種々のかたちをなし大小ひとしからず、川のひろき所とせまき処とにしたがふ。あしたさけはじめてゆふべにながれをはる。
ひだりたもとがびり/\とさけてちぎれてとれたはづみをくつて、踏占ふみしめたあしがちやうど雨上あまあがりだつたから、たまりはしない、いしうへすべつて、ずる/\とかはちた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
清吉は、ただうらめしそうに教師の顔を見上ていると、冷淡な教師は見向きもせんでさっさと行き過ぎる。清吉はもう胸が張りさけんばかりにもどかしくなって
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たとい地さけくだくとも驚かぬ覚悟を極め居たり。今更風声鶴唳に驚くべきわけもなし。然れども余は驚きたり。驚きたりとて心臓の鼓動を感ずるまでに驚きたるにはあらず。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
まけたとて大敗軍もねへもんだ其樣な少量けちな事を聞みゝへ此馬鹿八めとのゝしるにぞ目玉の八は負腹まけばらにて心地宜らぬ折柄をりから故大いにいかりナニ馬鹿八だと此拔作め口の横にさけまゝに餘り大造を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さらにぐつたりとしをれた鳳仙花ほうせんくわえだがすかりとさけさきについた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
早化はやけるるならんか)鮞水にある事十四五日にして魚となる。かたいとの如く、たけ一二寸、はらさけちやうをなさず、ゆゑに佐介さけの名ありといひつたふ。
以て百ばかつゞけ打に打せければあはれむべし傳吉は身のかはやぶにくさけて血は流れて身心しんしん惱亂なうらんし終に悶絶もんぜつしたるゆゑ今日のせめは是迄にて入牢じゆらうとなり之より日々にせめられけるが數度の拷問がうもんに肉落て最早こしも立ずわづかに息のかよふのみにて今は命のをはらんとなす有樣なり爰に於て傳吉思ふやうかゝ無體むたいの拷問はひとへに上臺憑司が役人とはら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
春にいたれば長じて三寸あまりになる、これをばかならずらぬ事とす。此子鮏こさけ雪消ゆきげの水にしたがひて海に入る。海に入りてのちさけたるはらがつしてちやうをなすと漁父ぎよふがいへり。