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荒唐無稽
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こうとうむけい
ふりがな文庫
“
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)” の例文
で、あのひどく
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な「黄金仮面」の風説も、やっぱりその、五十年百年に一度の、社会的狂気の
類
(
たぐい
)
であったかも知れないのだ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
というものには、人の悲しさを
唆
(
そそ
)
る力はないものである。ところがファルスというものは、荒唐無稽をその本来の面目とする。
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
解釈するのはどうだろう? あまりに
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
かしら? とまれその後山崩れが起こり、湛慶滝も、富士見の高原から消えてしまった。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ただ現在のビンボー類似の作品はあまりに
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な刺激を求め過ぎて遠からず観客の
倦怠
(
けんたい
)
を来たすおそれがありはしないかと思われる。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
敬虔
(
けいけん
)
な一個の女性としてのバーグレーヴ夫人が、この事実談を一つの
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な物語に粉飾するような婦人でないことを信じているのである。
世界怪談名作集:07 ヴィール夫人の亡霊
(新字新仮名)
/
ダニエル・デフォー
(著)
▼ もっと見る
しかもそんな
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
があるだろうか。ひとしく自画像である中にも、主観的態度の画風もあるし、純客観風の画風もある。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
崇高な
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な心境を至るところにもち出そうと熱中してる、末流の詩的修辞家らと、本物のコルネイユとを、彼はもはや区別しなかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ファウスト博士特有の装飾癖が壮観
嗜
(
ごの
)
みであるにもせよ、とうていそのような
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な事実が、現実に混同していようとは信じられぬのである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかりといえども、この編もし
過
(
あやま
)
りて専門学者の
眼
(
まなこ
)
に触るることあらば、おそらく
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
のそしりを免れざらんか。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
芝居にしても、
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な
荒事
(
あらごと
)
から自然主義的な人情劇にかわり、明治大正には新劇という少しの芝居もしない自然そのままの芝居になってしまった。
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
小初の女学校時代からのたった一人の親友、女流文学者豊村女史にある時、小初は水中の世界の
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な歓びを、切れ切れの体験的な言葉で語った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
こんなことが言い伝えに残りましたら、昔の
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な、誇張の多い小説の筋と同じように思われることでしょう。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
淫祠は大抵その
縁起
(
えんぎ
)
とまたはその
効験
(
こうけん
)
のあまりに
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な事から、何となく滑稽の趣を伴わすものである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
アウグスチヌスは青年時代に、聖書の記事が合理的でなく、
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
であるとして、これを軽蔑していた。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
この話が
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
の作り話であることは勿論であるが、これが我国古代の作り話であったならば、必ず祈祷「まじない」などで
怨霊
(
おんりょう
)
退散という結末であろうのに
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
そういう
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
なことの捜査は、本庁ではやりませんよ。だから、お嬢さんの失踪先をなお一層探すことと、川北という教師の行方及びその素行調査をすること。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おかしな事には、己はあの
時分
(
じぶん
)
、
其
(
そ
)
れ
等
(
ら
)
の
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な妄想を、決して妄想だとは思って居なかった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
実験室の生命の話は、いかにも
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な話のようであるが、この生命を感知し得る神経を育てることは、研究者の一つの
躾
(
しつけ
)
として、案外大切なことのような気がする。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
聞くからに
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
である。第一、浅学
寡聞
(
かぶん
)
の筆者が、講談、俗話の、佐賀、有馬の化猫は別として、ほとんど馬五郎談と同工異曲なのがちょっと思い出しても二三種あります。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伝説の
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な宝物ではなく、悪魔の手形よりはもっとまじめな、もっと実際的な獲物があって、道路工夫はきっとその秘密を半ば
嗅
(
か
)
ぎ出したのだろう、と思ってる者もあった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
半信半疑というところであったが、余人はいざ知らず私だけには事あの三人に関する限りこういう
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な風説をも一概に一蹴することのできぬある割り切れぬものを感じていた。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかし、それにしてもあまり現実にかけ離れている
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
に近い話であるから、その話と今の女をいっしょにすることはできなかった。謙作はふとあれは
狂人
(
きちがい
)
ではあるまいかと思った。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
としか思われない事ですが、兼ねてあの婆の怪しい
呪力
(
じゅりき
)
を心得ている泰さんは、さらに疑念を挟む気色もなく、アイスクリイムを
薦
(
すす
)
めながら、
片唾
(
かたず
)
を呑んで聞いてくれるのです。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な『西遊記』などを読まなかったら、私は物理学者にならなかったであろう——と、いう意味のことを、雪の学者中谷宇吉郎博士が、なんかに書いていたのを見たことがある。
随筆銭形平次:14 捕物帖談義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに対する
毀誉褒貶
(
きよほうへん
)
はまちまちで、在来の芝居を
一途
(
いちず
)
に
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
と
罵
(
ののし
)
っていたその当時のいわゆる知識階級と一部の
半可通
(
はんかつう
)
とは、今後の演劇は当然こうならなければならないもののように賞讃した。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうでないと、とんだ
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
に見えるかもしれませんので
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「そりゃ困りますね、新聞種としては、かえってその方が読者に受けるんですから、それに、このうわさは博士が人に言いふらしていたということですから、風説の出どこもまるで
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
ではないんです」
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
が、それもまんざら根のない
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
とはいいきれない。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしては自分の
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な小さい頭脳の中に逃げ込んで、いろんな話をみずから考え出した。愛し愛されたい激しい女らしい欲求をもっていた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それは、夢の様に
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
で、非常に不気味な事柄でした。でも、その不気味さが、いいしれぬ魅力となって、私をそそのかすのでございます。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「間違いの多い昔話などを申していたのでしょう。怪しくなりました記憶から取り出します話には
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な夢のようなこともあるのでございますよ」
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
空想に終始したものであって、
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
であることはいうまでもないが、科学に趣味を持つ者にとって、このような表題について想を
練
(
ね
)
ることは
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
愉快なものである。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
なもののように思うのは大間違いで、昔は軍陣、忍術者の食糧として必要だったばかりでなく、避穀法として、凶作
飢饉
(
ききん
)
に備えるために、各藩
挙
(
こぞ
)
って学者に研究さしたものでした。
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
全く
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
なことならば、この夢はかなり上等な夢であるかもしれない。
八月三日の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な怪談ではあるまい。
黒衣聖母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は今では、そういう怪物がこの世にいたということが、何か
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
なおとぎ話のようにさえ思いなされるのであった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
劇詩の筋は
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
で、まったく訳がわからなかった。クリストフは何にも見分けることができなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お化けとか幽霊とかいうものも、いちがいに
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
といって片づけられないのだと思う。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その十歳の少年を殺したなどという
考
(
かんがえ
)
は、余りに
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
で
且
(
か
)
つ幻想的であった為か、常識に富む其筋の人々の満足を買うことが出来なかった様である。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
で彼は、自分がたいへん強いりっぱな者になったこととし、同時に、彼女が自分に恋をしてるときめた。そして彼は例の
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な話を一つみずから語り始めた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
やれ
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
じゃ何じゃと流れ弾がとんでくることであろうが、本篇の巧拙価値はまず措き、とにかくわれわれ日本民族はもっと「科学の夢」「冒険の夢」を持たないことには
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と云って、井戸側の漆喰に仕掛けがあって、地下に抜け穴を通じているなどは、余りに
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な想像である。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
生きている
腸
(
はらわた
)
は「週刊朝日」に発表したものである。これは一見はなはだ
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
であるけれど、これでなかなか示唆に富んだ未来小説だと作者自身はひとりでおそろしがっている次第である。
『十八時の音楽浴』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は電車道を探して暗い町を歩きながら、ふと子供の時分に聞いた、狐や
狸
(
たぬき
)
が人を化かす話を思い出していた。あの
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な恐怖が、彼の背筋を冷くした。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこに人間大の蠍が蠢いているなんて、余りに
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
、余りに信じ難いことではないか。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
併し僕は理外の理を信じる気にはなれません。あの部屋で寝るものが、揃いも揃って、気違いになったという様な
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な解釈では満足が出来ません。あの黄色い奴が
曲物
(
くせもの
)
だ。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やっぱり悪人が椅子の中へかくれて、いたずらをする話ですが、その小説家の
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
を、『黒トカゲ』はまんまと実行して見せました。今お話しのよごれものにしてもそうですよ。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
若し諸君が、私の記述を信じて下さるならば、そして、この
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
とも見える物語を最後まで聞いて下さるならば、では、これからその秘密譚というのを始めることに致しましょうか。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
病後の
養生
(
ようじょう
)
にかこつけて学校を休んだし、中学時代には、一年の内半分程は仮病を使って登校をせず、書斎をしめ切って、家人の
這入
(
はい
)
って来ない様にして、そこで小説本と、
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な幻想の
中
(
うち
)
に
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今夜話したことは、全部
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
の作り話で、小説家佐川春泥のごきげんをとりむすんだばかりだと答えます。常識人には、殺人会社なんてとっぴな話は、なかなか信じられるものではありませんよ。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
唐
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
稽
常用漢字
中学
部首:⽲
15画
“荒唐無稽”で始まる語句
荒唐無稽趣味