聞分きゝわ)” の例文
至高處いとたかきところには榮光神にあれ。衆皆斯くいひゐたり、かくいひゐたるを我は身に近くしてその叫びの聞分きゝわけうべき魂によりてさとれるなりき 一三六—一三八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おあとからゆきまする、こひしききみ、さることばをば次第しだいなくならべて、此處こゝこゝろはもぬけのからになりたれば、ひとへるは聞分きゝわくるよしもく、たのしげにわらふは無心むしんむかしゆめみてなるべく
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とんさんの厚意こういだし、こゑいたら聞分きゝわけて、一枚いちまいづゝでもつけようとおもふと、れてもククともかない。パチヤリとみづおともさせなければ、ばんはまた寂寞しんとしてかぜさへかない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何と心得居る虚實きよじつは此の方にて聞分きゝわけるぞこゝ横道者わうだうものめと大聲にしかられしかば大膽不敵の久兵衞も威光ゐくわうに恐れ一縮ひとちゞみと成てひかへ居るに大岡殿コリヤ民其方久兵衞よりもらひし百兩は如何致せしやと有りければお民は久兵衞のかた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夜學やがくはもとよりのこと明日あしたつとめにるさへがりて、一すんもお美尾みをそばはなれじとするに、あゝお前樣まへさま何故なぜそのやう聞分きゝわけてはくださらぬぞとあさましく、たがひのおもひそはそはにりて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
てふなにない、あに此處こゝだから、ころしはせぬから安心あんしんして、な、いか、えるか、あにだよ、正雄まさをだよ、取直とりなほして正氣しやうきになつて、おとつさんやおつかさんを安心あんしんさせてれ、こらすこ聞分きゝわけて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)