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きゝわ
弴さんの
厚意だし、
聲を
聞いたら
聞分けて、
一枚づゝ
名でもつけようと
思ふと、
日が
暮れてもククとも
鳴かない。パチヤリと
水の
音もさせなければ、
其の
晩はまた
寂寞として
風さへ
吹かない。
何と心得居る
虚實は此の方にて
聞分けるぞ
爰な
横道者めと大聲に
叱られしかば大膽不敵の久兵衞も
威光に恐れ
一縮みと成て
控へ居るに大岡殿コリヤ民其方久兵衞より
貰ひし百兩は如何致せしやと有りければお民は久兵衞の
方を
何とおいひでも
肯分けないものだから
母様が