-
トップ
>
-
きゝわけ
母の
親心附けれども
何の
事とも
聞分ぬと
覺しく、
眼を
見開きながら
空を
眺めて、あれ
奇麗な
蝶が
蝶がと
言ひかけしが、
殺してはいけませんよ、
兄樣兄樣と
聲を
限りに
呼べば、こら
何うした
怜悧な
生で
聞分があるから、三ツづつあひかはらず
鶏卵を
吸はせられる
汁も、
今に
療治の
時不残血になつて
出ることゝ
推量して、べそを
掻いても、
兄者が
泣くなといはしつたと、
耐へて
居た
心の
内。
受たる十三兩三分は
勘辨するにより
殘りの金を只今
返されよと云ふに文右衞門扨々
聞譯のなき男かな然れば
是非に及ばず是を見て
疑ひを