聞分きゝわけ)” の例文
と言つてはまとひついた。殊に年少したの方の文ちやんと来たら、聞分きゝわけの無い年頃で、一度愚図々々言出さうものなら容易に泣止まない。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
随分娼妓こども達には能くしてやる楼主でございますが、花里のように強情ばかり張って申すことを聞分きゝわけませんから、今は意地になって居ります。
はゝ親心附おやごゝろづけれどもなんこととも聞分きゝわけぬとおぼしく、見開みひらきながらくうながめて、あれ奇麗きれいてふてふがとひかけしが、ころしてはいけませんよ、兄樣にいさん兄樣にいさんこゑかぎりにべば、こらうした
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
怜悧りこううまれ聞分きゝわけがあるから、三ツづつあひかはらず鶏卵たまごはせられるつゆも、いま療治れうぢとき不残のこらずになつてることゝ推量すゐりやうして、べそをいても、兄者あにじやくなといはしつたと、こらへてこゝろうち
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むきだし是程に言ても聞分きゝわけ強情がうじやう阿魔あまめ然らば此所で打殺し川へ投込なげこむ覺悟かくごをしろと手頃てごろの木のえだ追取て散々さん/″\に打けるをお梅は片邊に見居たりしが迯出にげいださんとする所を雲助くもすけ眼早めばやく見咎めて爰にも人が居を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
娘が一人有って、名をおいさと申します。これはあちらではエリザと申しまするのでお聞分きゝわけを願います。
「どうして左様さうあんたは聞分きゝわけが無いの?」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)