細工物さいくもの)” の例文
車のうえに板をわたしたやたい店で、絵はがき、絵本、絵いり雑誌、木や竹のおもちゃ、象牙ぞうげ細工物さいくものなど、いっぱいにならべています。
街の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そのとき、ふと、くに時分じぶんに、荷物にもつなかれてってきた金銀きんぎん細工物さいくものとさかずきのまだ、らずにあったことをおもいつきました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
義昌堂はとう細工物さいくもの、ひいて乳母車、子供用の自転車等を売るので有名だが、支那雑貨をいつの頃からかやりはじめていたが、今はどうかしらん。
新古細句銀座通 (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
仕上の職人がいくら上手でも一度に沢山の細工物さいくものを仕上げる時は一々その細工物の不完全な点を直していられない。イヤいられないのではない、直す力がないのだ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ふみふところにして令孃ひめ部屋へやときは、すゑ姉君あねぎみ此處こヽにありて、お細工物さいくもの最中もなかなるに、いませてはるかるべしと、情實わけもとよりはずなけれど、吾助ごすけともはであそけるが
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
娘のひんや身なりからしても、てッきり、紋くずしの平打ひらうちとかばらの櫛のあつらえとかいうに相違ないと合点がてんしたところが、何か使い古しの細工物さいくものでも金に代えたいらしい口ぶりで
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何だか訳の分らない細工物さいくものや部分品が、そのガラス箱の中にひしめきあっていた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
蛙というものは、天然自然てんねんしぜん細工物さいくものとして、これはたいしたものです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
春重はるしげさん。またおまえ、つまらねえ細工物さいくものでもこしらえたんだな」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
絵はがきや絵本や細工物さいくものが、赤や白や紫の花とならんで、たいへんきれいでした。いろいろなものがよく売れました。
街の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
かれは、むかしからいえにあったものや、金銀きんぎんちいさな細工物さいくものや、また、ながほとけさまにさけげるさかずきになっていた、ひきだしのなかにしまってあった利助りすけのさかずきなどをひとまとめにして
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あゝわたしおぼえて七つのとしふゆでござんした、寒中かんちう親子おやこにんながら古裕衣ふるゆかたで、ちゝさむいもらぬかはしらつて細工物さいくもの工夫くふうをこらすに、はゝけた一つべツついなべかけてわたしものひにけといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「はい。かんざし小金具こかなぐなどの、金銀の細工物さいくものをしておりますので」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)