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窯
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かま
ふりがな文庫
“
窯
(
かま
)” の例文
「土も同じ、薬も同じ、おそらく
窯
(
かま
)
も同じ一つ窯であろうが、にかかわらず、焼き色、仕上がりに、できふできのあるは不思議だな」
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
楮
(
こうぞ
)
が
繁
(
しげ
)
れば、和紙の産地である。麻が畑に見えれば、麻布を予期していい。同じ
土焼
(
どやき
)
の破片が数あれば、それで
窯
(
かま
)
が見出せたともいえる。
地方の民芸
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「左様。そのため
俄
(
にわか
)
に参じた次第。ほかではないが、折入ってのお頼み、一世一代のお
気組
(
きぐみ
)
で、
御用登
(
ごようのぼ
)
りの
窯
(
かま
)
にかかっては下さるまいか」
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
胸の中に鉄の錘を投げ込まれるような残忍な感じだった。その時彼は、顔の筋肉を引きつらして、閉め切った火葬の
窯
(
かま
)
の鉄の扉を見つめた。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
桑名の西北六里、濃州街道に添うて、
石榑
(
いしぐれ
)
という山村があった。山から石灰石を産するので、石灰を焼く
窯
(
かま
)
が、山の中にいくつも散在した。
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
お茶の用意の爲めに部屋を出たり這入つたりしてゐたダイアナは、私に
窯
(
かま
)
の一番上で燒けた小さなお菓子を運んでくれた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今向かい合っている小さい
窯
(
かま
)
も、奥に切ってある大きい
炉
(
ろ
)
も、落ちかかっているように傾いた棚も、すべて昔のさまとちっとも変わっていなかった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
祖父の光昭は陶樹院と呼ばれるが、若いころから焼物に凝り、麻布の下屋敷に
窯
(
かま
)
を造らせて、みずから皿や鉢や壺や、茶碗などを焼いて一生を終った。
若き日の摂津守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どうかあの倉のなかにある方々の土を加茂川の水で
捏
(
こ
)
ねて、その中へわしの屍骸を入れて一つ
土団子
(
つちだんご
)
をこしらへてくれ、そしてそれを三
日
(
か
)
三
夜
(
よさ
)
栗田
(
あはた
)
の
窯
(
かま
)
で焼いた上
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それが、明治二十年頃からか、ぼつぼつ大聖寺山代及びその附近の村などに
窯
(
かま
)
を築く人が出来て来て、こんな目立たぬ所に、九谷焼の復活の
曙光
(
しょこう
)
が見えて来たのである。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
自分の邸内に
窯
(
かま
)
を造って専門の職人を雇い込んで本式にやっている。御当人はもちろんであるが、その細君もまたおかあさんもそれぞれ熱心なアマチュア芸術家である。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼は鏡のような山の光線で隈なく見入ったときに、元からあった
窯
(
かま
)
きずに、驚いて眼をとめた。
陶古の女人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
呂宋人は
口細
(
くちぼそ
)
の壺を好んで使うが、トンドという村にその
窯
(
かま
)
がある。翌日、そこへ行ってみた。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
三時間ほどすると、重油でやかれた姉はぼろ/\の骨となつて、
窯
(
かま
)
から押出された。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
ここにこうして
窯
(
かま
)
を築き、陶磁器ならびに漆器類を、みずからつくっています。
食器は料理のきもの
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
同じ火の芸術の人で
陶工
(
とうこう
)
の
愚斎
(
ぐさい
)
は、自分の作品を
窯
(
かま
)
から取出す、火のための出来損じがもとより出来る、それは一々取っては
抛
(
な
)
げ、取っては抛げ、大地へたたきつけて
微塵
(
みじん
)
にしたと聞いています。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
焼き場もりの男は
窯
(
かま
)
の後ろの口へまわって
妹の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
粘粉
(
ねりこ
)
でつちて
窯
(
かま
)
に入れるを
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
もっとも
窯
(
かま
)
は益田のものではないが、今も細々と場末の荒物屋に残り、大概は
埃
(
ほこり
)
だらけになって高い棚の隅か、縁の下にうずくまっている。
雲石紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
だが人間はついに、われからその
棲
(
す
)
み
家
(
か
)
を
業
(
ごう
)
の
窯
(
かま
)
として、自分も他人も、煮え立つ
釜中
(
ふちゅう
)
の
豆
(
まめ
)
としてしまった。——天下騒然
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手こそ下しませぬが、この泥斎が殺したも同然、無実の言いがかりに責められるを悲しんで、知らぬまに
窯
(
かま
)
へはいり自害したに相違ござりませぬ。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
店の小さい
窯
(
かま
)
の前には人の善さそうな陶器師の
翁
(
おきな
)
が
萎
(
な
)
えな烏帽子をかぶって、少し猫背に身をかがめて、小さい莚の上で何か壺のようなものを一心につくねていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
要するに、火山丘の熔岩の妖しい美しさは、地球という
窯
(
かま
)
の中でつくられた
窯変
(
ようへん
)
の美しさである。
黒い月の世界
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
陶物
(
すえもの
)
を出す
窯
(
かま
)
はほかにもあるのだ。市外のパリアンに
明
(
みん
)
人の窯があるというので、翌日、行ってみたが、安南あたりのものらしいというだけで、かくべつな意見もなかった。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
もしそれがお祖父さんでなかったら、くたくたにのして今戸焼の
窯
(
かま
)
ん中へたたっこむところである。悠二郎は口惜しさのあまりぽろぽろ涙をこぼし、それをげんこで
擦
(
こす
)
りながら云った。
桑の木物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さびをし溶かす
窯
(
かま
)
なりや
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一カ所に多くは数個のまたは十数個の
窯
(
かま
)
を有つから窯数からすれば概算少なくとも二百には達するであろう。私たちはこのために長い旅をつづけた。
現在の日本民窯
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
見たんです。ちらりと、ちらりとあれがあの
窯
(
かま
)
の中にはいるところを見かけたような気がしましたんです。何を
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彦右衛門の高笑いに、
彼方
(
かなた
)
に
屈
(
かが
)
んでいた福太郎は、びっくりしたように
窯
(
かま
)
の前から伸びあがって振り向いた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瀬戸
(
せと
)
の
窯
(
かま
)
は古くかつ広く、早くより歴史家から注意せられた。特に「
志野
(
しの
)
」や「
織部
(
おりべ
)
」は好んで茶人間に
玩
(
もてあそ
)
ばれた。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
こうなると、百助の
冴
(
さ
)
えた腕は、恐ろしい悪事の構成に利用される。彼は
窯
(
かま
)
の中の
陶器
(
すえもの
)
を、巧みに、火加減をもって
悪作
(
あくさく
)
なものと変質させようとするのである。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
祥瑞
(
ションズイ
)
の亡き後、捨次郎はその松坂を去って、郷里の
尾張
(
おわり
)
へひき移り、この土地の瀬戸村で産出する陶器をはじめ、諸国の
窯
(
かま
)
の製品も扱って、那古屋、清洲、京
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大体飾りのない、
素地
(
きじ
)
の荒い焼物で、そこに雅致が認められ、茶人たちに好まれた
窯
(
かま
)
であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
耕介の横びんに
薄禿
(
うすはげ
)
があって、鼠に
齧
(
かじ
)
られたような
腫物
(
できもの
)
に、
膏薬
(
こうやく
)
が貼ってあるところなど——
窯
(
かま
)
の中で
傷
(
きず
)
になった
陶器
(
やきもの
)
の自然のくッつきとも見えて、一だんと
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
町の人といえどもそんな粗物に意を留めたことはないのである。それに
窯
(
かま
)
は更に五、六里も奥の山間にある。馬の背で町に運ばれて売られる時も、多くは十数銭で買えるのである。
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「ははあ、ではあれは、それを焼く
窯
(
かま
)
でございましたか。しかし茶わんなど作って、どうなさいますか」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東洋の「形」の正しい格が保たれているのでありまして、これと同様の力は朝鮮にはまだ幾分ありますが、日本内地では一、二の
窯
(
かま
)
を除いてはもうほとんど残っていないのであります。
台湾の民芸について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
窯
(
かま
)
は小さいので、一窯に二個か三個ぐらいしかはいらない。その中には割れもできる。だから、日は経っても、そこに並ぶ茶碗が、目立って増えることもなかった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瀬戸の周囲には
品野
(
しなの
)
、
赤津
(
あかづ
)
などの
窯
(
かま
)
があり、この系統が引いて美濃の方にまで及びました。瀬戸の町に行きますと、何百年かの窯の煙が、町そのものを黒くしているくらいであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
たちまち
窯
(
かま
)
の肌がドス黒く、
火口
(
かこう
)
の焔も弱って
真
(
ま
)
っ
暗
(
くら
)
になってきた。久米一生涯の
神品
(
しんぴん
)
も、今はどうなったか計られない。百助はそれを眺めてニタッ……と
嘲笑
(
あざわら
)
った。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一つは
氷坂
(
ひさか
)
と呼ぶ
窯
(
かま
)
のことであります。郡は
丹生
(
にゅう
)
で村は吉野であります。福井や武生の陶器屋に行くと、この窯のものをよく見かけます。壺や
甕
(
かめ
)
が主で、黒の胴に白の
流釉
(
ながしぐすり
)
を垂らします。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
遠い唐の時代から
窯
(
かま
)
が築かれ、宋元の頃には、宮廷の御用品を焼く
官窯
(
かんよう
)
が出来、それに附随する役所だの、商家だの、職人町などで、当時、支那第一の
陶府
(
とうふ
)
といわれるほど
殷賑
(
いんしん
)
を極めていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“窯”の解説
窯(かま)は、なんらかの素材を加熱して硬化したり、焼成したり、乾燥させたりする目的のほか、外気環境から熱的に絶縁された空間を確保する目的で造られる構築物もしくは工作物。
(出典:Wikipedia)
窯
常用漢字
中学
部首:⽳
15画
“窯”を含む語句
窯業
窯鼎
窯器
窯業地
御用窯
定窯
窯場
窯元
宋窯
官窯
民窯
陶器窯
雑窯
窯変
何窯
築窯
窯戸
窯業場
窯業科
窯焚
...