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直截
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ちょくせつ
ふりがな文庫
“
直截
(
ちょくせつ
)” の例文
「だいぶきびしいな」と七十郎は書状を巻いた、「このまえ諸家へ配ったものより、字句がずっと
直截
(
ちょくせつ
)
で手きびしいようじゃないか」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私は人間らしいという抽象的な言葉を用いる代りに、もっと
直截
(
ちょくせつ
)
で簡単な話をKに打ち明けてしまえば好かったと思い出したのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
君も
悧巧
(
りこう
)
になったね、君がテツさんに昔程の愛を感じられなかったなら、別れるほかはあるまい、と汐田の思うつぼを
直截
(
ちょくせつ
)
に言ってやった。
列車
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いや、むしろ
直截
(
ちょくせつ
)
に云いましょう。だいたい
装飾灯
(
シャンデリヤ
)
が再び点いた時に、左
利
(
きき
)
であるべき貴方が何故、
弓
(
キュー
)
を右に
提琴
(
ヴァイオリン
)
を左に持っていたのですか
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それだのに何で自分が彼を殺す気になったのか、
直截
(
ちょくせつ
)
に言えば彼の鼻である。彼の鼻が自分の気に喰わなかったからである。
鼻に基く殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
全
(
あら
)
ゆる新流行に対して、その深い原理性を丹念に研究しなくとも
直截
(
ちょくせつ
)
に感覚からして
其
(
そ
)
の適応性優秀性を意識
出来
(
でき
)
る
敏感
(
びんかん
)
さを目立って発達させて来た。
異性に対する感覚を洗練せよ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この北条早雲の名において、『早雲寺殿二十一条』という
掟書
(
おきてがき
)
が残っているが、これはその内容の
直截
(
ちょくせつ
)
簡明な点において非常に気持ちの好いものである。
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
実に、
寸毫
(
すんごう
)
といえども意趣遺恨はありません。けれども、未練と、
執着
(
しゅうぢゃく
)
と、
愚癡
(
ぐち
)
と、卑劣と、悪趣と、
怨念
(
おんねん
)
と、もっと
直截
(
ちょくせつ
)
に申せば、狂乱があったのです。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
攘夷
(
じょうい
)
家の
口吻
(
こうふん
)
を免れずといえども、その
直截
(
ちょくせつ
)
痛快なる、
懦夫
(
だふ
)
をして起たしむるにあらずや。
述懐
(
じゅっかい
)
の詩にいわく
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その理論を
直截
(
ちょくせつ
)
に支持することのほうが、危険の度は少ないだろうということを、少しも考えてはいなかった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
直截
(
ちょくせつ
)
にいえば、どの政党も皆官僚の変形であって、官僚が政党を
罵
(
ののし
)
り、政党が官僚を罵るのは
鴉
(
からす
)
が互に色の黒いのを罵るのに等しく、笑うべきことであるのです。
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
一首の意は、夜の床でも可哀いい妻だが、昼日中でもやはり
可哀
(
かあ
)
いくて忘れられない、というので、その言い方が如何にも素朴
直截
(
ちょくせつ
)
で愛誦するに
堪
(
た
)
うべきものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
親々
(
おやおや
)
はこの恋を許さざりき、その
故
(
ゆえ
)
はと問わば言葉のかずかずもて許し難き
理由
(
いわれ
)
を説かんも、ただ相恋うるが故にこの恋は許さじとあからさまに言うの
直截
(
ちょくせつ
)
なるにしかず。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
為兼は心に感ずるところを
直截
(
ちょくせつ
)
に詠もうとする。そういう為兼は歌の理想を『万葉集』に見る。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
沼南が議政壇に最後の
光焔
(
こうえん
)
を放ったのはシーメンス事件を
弾劾
(
だんがい
)
した大演説であった。沼南の
直截
(
ちょくせつ
)
痛烈な長広舌はこの種の弾劾演説に掛けては近代政治界の第一人者であった。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
われわれの生命をゆする程、われわれの感情に
直截
(
ちょくせつ
)
なものは、今使われている国語なのだから、詩語と日常語とが同じであると言う事は、一通りも二通りも考えてよいことだ。
詩語としての日本語
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
この論文と
僅少
(
きんしょう
)
の時日の隔たりしか持たぬ小説『クロイツェル・ソナタ』の中で、作者が
直截
(
ちょくせつ
)
に
喝破
(
かっぱ
)
しているところによると、人間の欲望は善の目的到達を妨げる障碍であって
クロイツェル・ソナタ:02 解題
(新字新仮名)
/
米川正夫
(著)
此女が定基に対して求めたことは無論
恋敵
(
こいがたき
)
の力寿を遠ざけることであったろうが、定基は力寿に首ったけだったから、それを承知すべくは無いし、又
直截
(
ちょくせつ
)
な性質の人だったから
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いつ、どこでも、何人も、必ずそう信ぜねばならぬ、不朽の真理を、きわめて
直截
(
ちょくせつ
)
簡明に説いているのが、この『心経』です。般若の哲学、それは決して古いインドの哲学ではありません。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
その
直截
(
ちょくせつ
)
な表現は、ひろ子の心持とも云えた。お花さんが、その話をきいて
乳房
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
長島を攻めたり、北陸を攻めたり、みな枝葉末節です。なぜ抜本
直截
(
ちょくせつ
)
的に、その
傀儡
(
かいらい
)
者たる本願寺を討ち、また大挙、中国攻略の軍を決断なさらぬのか……官兵衛は実に歯がゆいと思います
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
直截
(
ちょくせつ
)
に語れ。脂粉と
嬌飾
(
きょうしょく
)
とをなくして語れ。理解されるように語れ。一群の
精緻
(
せいち
)
な人々からではなく、多数の人々から、もっとも単純な人々から、もっとも微々たる人々から、理解されることだ。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
極めて
直截
(
ちょくせつ
)
に表現し得る「古いオルガン」を捜したと言われている。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
それは
明瞭
(
めいりょう
)
で
直截
(
ちょくせつ
)
で公明であって、何らの疑雲をも起こさせないことである。しかしながら、隔離生活の権利は、その障害と弊害とをもってしてもなお、確認され許容されんことを欲するものである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
吾々のルンペン道は甚だ簡明
直截
(
ちょくせつ
)
である。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
僕自身だって、いま、日本の忠義の一元論のような、明確
直截
(
ちょくせつ
)
の哲学が体得できたら、それでもう救われるのですからね。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
私はその時自分の考えている通りを
直截
(
ちょくせつ
)
に打ち明けてしまえば好かったかも知れません。しかし私にはもう
狐疑
(
こぎ
)
という
薩張
(
さっぱ
)
りしない
塊
(
かたま
)
りがこびり付いていました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、平民のだれかと話すのにいつも窮屈さを覚えはしたけれど、笑顔をしながら
強
(
し
)
いて話をしようとつとめた。ところがこんどは、ごく簡単な
直截
(
ちょくせつ
)
な言葉を発することができた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
サー・ゼームス・マッキントッシュ曰く「文明諸国の立法のもっとも重要なる点をば
直截
(
ちょくせつ
)
に、全体に、かつさらに復古すべからざるほどの変革を及ぼせしはおそらくはただこの一書ならん」
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「母に
障
(
さは
)
らば」という方が
直截
(
ちょくせつ
)
でいい。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
平次の問いは
直截
(
ちょくせつ
)
で
仮借
(
かしゃく
)
しません。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は
直截
(
ちょくせつ
)
に生活の
葛藤
(
かっとう
)
を切り払うつもりで、かえって
迂濶
(
うかつ
)
に山の中へ迷い込んだ
愚物
(
ぐぶつ
)
であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その小説の描写が、
怪
(
け
)
しからぬくらいに
直截
(
ちょくせつ
)
である場合、人は
感服
(
かんぷく
)
と共に、一種不快な疑惑を抱くものであります。うま過ぎる。淫する。神を冒す。いろいろの言葉があります。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
もちろん、ジャックリーヌのほうがいっそう真実で
直截
(
ちょくせつ
)
で熱烈であった。小さな彼女の一身のうちには、勇ましい生活にたいする
憧憬
(
どうけい
)
が、ほとんど勇壮とも言える願望が、宿っているのだった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼れ英邁の資を以て、親藩の威望を擁し、その
直截
(
ちょくせつ
)
的哲理を
鼓吹
(
こすい
)
す、天下
焉
(
いずく
)
んぞ
風靡
(
ふうび
)
せざらんや。尊王の大義は、
元和
(
げんな
)
偃武
(
えんぶ
)
未
(
いま
)
だ五十年ならざるに、徳川幕府創業者の孫なる彼の口より宣伝せられぬ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
周さんの発見した神の国の清潔
直截
(
ちょくせつ
)
の一元哲学を教えて啓発してやるのだと意気込んでいたが、やがて夏休みになり、周さんは東京へ、私は山奥の古里に、二箇月ばかり別れて暮し、九月
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「よろしい。それじゃ
直截
(
ちょくせつ
)
に言って、戦争だということにしよう。」
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「彼にはただ、情熱のもっとも
直截
(
ちょくせつ
)
なはけ口が欲しかったのである。考えることよりも、唄うことよりも、だまってのそのそ実行したほうがほんとうらしく思えた。ゲエテよりもナポレオン。ゴリキイよりもレニン」
猿面冠者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すると彼は
直截
(
ちょくせつ
)
に答えた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“直截”の意味
《名詞・形容動詞》
直 截(ちょくせつ)
回りくどい表現でなく、率直でわかりやすいこと。
直ちに決裁をとること。
(出典:Wiktionary)
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
截
漢検1級
部首:⼽
14画
“直截”で始まる語句
直截的