ちん)” の例文
彼は昼眩ひるまばゆき新調の三枚襲さんまいがさねを着飾りてその最もちんと為る里昂リヨン製の白の透織すかしおり絹領巻きぬえりまき右手めて引摳ひきつくろひ、左に宮の酌を受けながら
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
黄血社といえば国際的なギャングで、首領のダムダムちんというのが中々の腕利うでききであるため、その筋には尻尾しっぽをつかまれないで悪事をやっている。
獏鸚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なるほど考えて見るとこのほどじゅうから自分の脳の作用は我ながら驚くくらい奇上きじょうみょうを点じ変傍へんぼうちんを添えている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「押しかけ女房というは、これありそうらえども、押しかけ亭主も、またちんに候わずや。いずれ近日、ゆるゆる推参、道場と萩乃どのを申し受くべくそうろう
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ちんな話ではつい其処の斗満川原で、鶺鴒せきれいが鷹の子育てた話。話から話と聞いて居ると、片山君夫婦がねたましくなった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ターン・テーブルのレコードは裏返しにされて、あらたに針はおろされました、が、ちんぷんかんぷんは同じことで、三分余りの長広舌も、結局何を言ってるのか少しもわかりません。
で、肩を持たれたまゝ、右のびっこくろどのは、夫人の白魚しらうおの細い指に、ぶらりとかかつて、ひとツ、ト前のめりに泳いだつけ、いしきゆすつたちんな形で、けろりとしたもの、西瓜をがぶり。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
若し此事が六号活字子ごうかつじしの耳に入って、雪江せっこうの親達は観世撚かんぜよりってるそうだ、一寸ちょっとちんだね、なぞと素破抜すっぱぬかれては余り名誉でないと、名誉心も手伝って、急に始末気しまつぎを出し
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そこで西湖の花木竹石かぼくちくせきちんを大船に積み、黄河こうがを下ってきたところが、運悪く、途中でひどい暴風しけい、ついに役目も果し得ず、面目なさに、そのまま田舎に身を隠しておるうち
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小金ヶ原のちんな現象が、江戸の市中までも評判になると、そこに謡言ようげんがある。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古人の如く削氷けづりひを越後の山村さんそん賞味しやうみしたる事ちんとすべし奇とすべし。
親分藤吉を始めいつもは早寝の合点長屋がってんながやの二人までが、こう気を揃えてこの群に潜んでいるのも、なにがなしちんと言えば珍だったが、残暑の寝苦しさはまた格別
で、かたたれたまゝ、みぎびつこくろどのは、夫人ふじん白魚しらうをほそゆびに、ぶらりとかゝつて、ひとツ、トまへのめりにおよいだつけ、ゐしきゆすつたちんかたちで、けろりとしたもの、西瓜すゐくわをがぶり。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それはますますちんだ、ここの主人は洋行した鍛冶屋かじやでもあるのか」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古人の如く削氷けづりひを越後の山村さんそん賞味しやうみしたる事ちんとすべし奇とすべし。
御利益ごりやくで、怪我けがもしないで御堂おどうからうらはうへうか/\と𢌞まはつて、ざう野兎のうさぎ歩行あるきツくら、とちんかたちくと、たちまのちらつくくらがりに、眞白まつしろかほと、あを半襟はんえり爾側りやうがはから
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「坊主の生曝しは近ごろちんだ」
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)